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債券反落、急激な金利低下の反動で長期債中心に売り-株安が下支え

債券相場は反落。前日に約7年ぶり の低水準まで到達した長期ゾーンを中心に現物売りが優勢だった。一方 株式相場の下落を背景に先物はもみ合いとなった。

岡三アセットマネジメントの山田聡債券運用部長は、米国で金融緩 和継続の時間軸が長期化する中、国内債市場での潜在需要はなお旺盛だ としながらも、「10年債などが想定以上のピッチで利回り低下したので 相場が足踏みするのはやむを得ない」と指摘した。

東京先物市場の中心限月9月物は前日比7銭高い141円13銭で開始 した。株安を手掛かりに141円18銭まで上昇し、中心限月としては日中 ベースで9日以来となる高値を更新した。結局は変わらずの141円6銭 で週末の取引を終えた。

24日の米国株市場は輸送用機器を除く耐久財受注額の伸びが鈍かっ たことが嫌気されダウ工業株30種平均など主要な株価指数が下落。為替 相場がドル安・円高気味に推移していることもあり、この日の日経平均 株価が2週間ぶり安値圏で取引されたことが債券先物相場を支えた。

しかし、午前に現物債に戻り売りが膨らむと、先物相場もいったん は上昇ピッチが鈍る展開となった。9月物は16日に付けた直近の安値 140円20銭から1週間強で1円近くも上昇したことから高値警戒感も くすぶった。大和住銀投信投資顧問の伊藤一弥国内債券運用第2グル ープリーダーによると、株安を受けた買いが先行したが、現物市場の 売りに押される格好で徐々に上値が重くなったと言う。

10年債利回りは1.14%

現物市場で新発10年物の308回債利回りは、前日比1ベーシスポイ ント(bp)高い1.135%で始まり、午前には売りが先行して1.15%ま で上昇した。しかし、午後に再び買いが入るとその後は1.13-1.14% に戻し、午後4時31分現在では1.5bp高の1.14%で推移している。

308回債は24日午後の取引で1.125%まで低下して、新発10年債と して2003年8月以来の低い水準まで到達したため、朝方には株安の下 でも売りが優勢となった。大和住銀投信の伊藤氏は、株価が下げ止ま らないことは買い材料としながらも、10年超の年限ではさすがに売り が出始めたとも言い「予想以上の金利低下後の健全な調整が入った」 との見方も示した。

来週は、流動性供給入札以外に長期ゾーンの発行がない一方で、投 資家の買い意欲は引き続き強いことなどから、債券需給は逼迫(ひっ ぱく)した状態が続くとみられる。

前日の国内債市場では、米連邦準備制度理事会(FRB)が慎重な 景気認識を示したことを受け、買いが膨らんだ。岡三アセットマネジ メントの山田氏は、米国の低金利政策が長期に及ぶ可能性が強まった ことで、投資家はあらためて債券残高を積み増す必要性を感じている と言い「今後もこうした運用資金がじわりとにじみ出てくる環境が維 持されそう」との見方を示した。

超長期ゾーンには午後に入って買いが優勢となった。20年物の118 回債利回りは午前に0.5bp高の1.89%に上昇する場面があったが、午 後にはじりじりと買い進まれて2bp低下の1.865%まで低下。新発20 年債利回りとしては昨年3月12日以来の低水準を付けた。その後は

1.875%で推移している。

来週の10年債は1.1%台中心か

市場関係者の間では、来週の10年債利回りは1.1%台が中心レンジ になるとの見方が多い。

欧州に続いて米国でも景気不安が高まったことで、今後も運用資金 の債券シフトが続くとみられる。富国生命保険の奥本郷司資金債券部 長は、各国政府が金融規制強化や財政再建に軸足を移す中、リスク資 産である株式を取り巻く環境は厳しい一方、日米ともインフレ期待は 高くないため現在の水準でも債券買いを正当化できるとも言い、「4 -6月期の相場を見誤った投資家が買いに動いている」と話す。

シティグループ証券の佐野一彦チーフストラテジストは、当面の債 券は過熱感を伴わずに推移すると指摘。今後は7月からの新しい四半 期入り後の投資家動向を見極めたいとした上で、「来週の予想レンジ は1.11-1.175%程度ではないか」と話した。

来週は流動性供給入札のほかには利付国債の入札が予定されておら ず、市場では経済統計の発表にも注目が集まりそう。主だったところ では、29日に5月の鉱工業生産指数、7月1日には6月調査の企業短 期経済観測調査(日銀短観)が公表される。

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