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消費税増税ならデフレ・景気悪化も、雇用100万人増が先-クレディS

消費税率の引き上げを急ぐと、 消費者物価の上昇は続かず、むしろ消費の低迷を起点とした景気減 速・デフレ深化・税収減を通じ、財政赤字の拡大を招く恐れがある-。 クレディ・スイス証券の白川浩道チーフエコノミストは22日、日本 の公的債務残高は国内総生産(GDP)の約1.8倍と主要国で最悪 だが、財政赤字を国内の民間貯蓄で賄える状況は続くと予想。菅直人 内閣が財政再建を焦る必然性は低く、景気刺激策を継続すべきとの見 方を示した。

白川氏は22日付の顧客向けリポートで、現在5%の消費税率を 10%に引き上げた場合、生活必需品に対する軽減税率を考慮すると、 消費者物価は3-4%上昇すると推計した。今後数年間の平均的な実 質経済成長率が潜在成長率並みの0.6%前後で推移した場合、2013 年度の雇用者所得は前年比0.5-1%増にとどまると予測。同年度に 消費税率を引き上げると、実質的な所得の減少が消費に逆風となり、 国内総生産(GDP)ギャップは0.8-1.4%悪化すると分析した。

GDPギャップの悪化(供給過剰)は翌14年度からの3年間だ けで消費者物価(食料品・エネルギーを除く)を0.4-0.5%押し下 げると推計。白川氏は21日のインタビューで、菅内閣は「景気回復 を優先すべきだ。消費税増税を急ぐと、むしろデフレの深化を招く恐 れがある」と指摘。消費の減少によるデフレショックを緩和するため には「短期間で少なくとも110万-190万人の雇用を創出する必要 がある」と強調した。

政府は22日、国債費などを除く歳出の大枠を11年度からの3 年間については今年度並みの年71兆円以下に抑えるとした「中期財 政フレーム」を閣議決定。基礎的財政収支の黒字化を遅くとも20年 度までに実現する目標も掲げた。歳入面では個人所得税、法人税、消 費税、資産課税など税制の抜本的な改革を行うため「早期に具体的内 容を決定する」などと強調。11年度の新規国債発行額を今年度の約

44.3兆円以下に抑制する方針も示した。

財務省によると、国債・借入金・政府短期証券を合わせた国の債 務残高は10年3月末に過去最大の882兆9235億円。前年度末から 36兆4265億円増えた。菅首相は8日の就任会見で「強い経済、強 い財政、強い社会保障を一体として実現する」と述べた。17日には 消費税率について「自民党が提案している10%を1つの参考」にす ると表明。引き上げの時期に関しては21日、「少なくとも2、3年」 は制度設計などに必要だと語った。

オバマ米大統領はトロントで26、27日開催される20カ国・地 域(G20)首脳会議を控え、首脳らに宛てた書簡で「中期的な」財 政再建を支持する一方で、世界的な金融危機後の雇用創出のため「自 律的な回復が続くことが必須だ」と指摘。景気減速の懸念が生じた場 合には「再び迅速かつ強力に対応する心構えでいなければならない」 と主張し、成長重視の姿勢を鮮明にした。

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