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関西最後の一等地、「北ヤード」再開発スタート-供給過剰に懸念も

「関西最後の一等地」と呼ばれるJ R大阪駅前北地区、通称「北ヤード」の再開発工事がスタートした。地 盤沈下が叫ばれる関西復権をかけたプロジェクトだが、大阪駅前での大 型物件の建設ラッシュでオフィスビルの空室率が高水準で推移する中、 供給過剰に拍車を掛けるとの懸念も渦巻いている。

北ヤードは24万平方メートルの貨物駅跡地。延べ面積はロンドン の金融エリア「カナリー・ワーフ・タワー」の4倍、東京・日比谷公園 の1.5倍だ。うち先行開発区域の約7万平方メートルは、三菱地所やオ リックス不動産など12社の企業連合が担当。3月31日に着工式が行わ れた。開業予定は当初2011年春だったが、2度の延期を経て13年3月 と正式に決まった。

不動産仲介業の三鬼商事の発表資料によると、大阪ビジネス地区の 5月末時点のオフィスビル平均空室率は前月比0.10%上昇の11.96%。 昨年10月末まで24カ月連続で悪化。11月に0.05%低下といったん小幅 改善したが、その後、再び6カ月連続で悪化を続けている。新築ビルに 限定すると空室率は53.43%に跳ね上がり、東京の38.65%、名古屋の

43.68%と比べると高い水準だ。

三鬼商事によると、大阪駅周辺ではさらに今年だけで「梅田阪急ビ ル」や「新・大阪富国生命ビル」など大型物件の完成ラッシュ。オフィ ススペースはそれぞれ10万3000平方メートル、6万2400平方メート ルで、これに加えて北ヤードの先行開発区域だけで23万平方メートル のスペースが新たに供給される。

「非常に厳しい」

企業連合に参加するオリックス不動産の西名弘明会長は6月10日 に大阪市内で開かれた北ヤード関連イベントで、テナントの誘致状況に ついて「非常に厳しい」と話した。三菱地所の長島俊夫専務執行役員は 「マーケット環境は非常に難しい」と述べながらも、「企業からの打診 はかなりきている」という。

北ヤードの用地落札価格は非公表だが、三鬼商事大阪支店の小畑大 太次長は「北ヤードのビルが購入価格に見合った賃料を支払うテナント で埋まるにはバブルのような景気にならないと難しいだろう」とみてい る。

他の地区が衰退

北ヤード計画について、三菱地所の山口修一大阪支店プロジェクト 推進室長は、「不動産は立地がすべて。景気に変動はあっても好立地の 物件はいい位置を保ち続ける」と自信をみせるが、アナリストの間では 本社機能を東京へ移す企業の増加など大阪の地盤沈下を根拠にプロジ ェクトに疑問を投げ掛ける声も上がっている。

大阪にはかつて住友銀行(現三井住友銀行)や三和銀行(現三菱東 京UFJ銀行)など大手銀行が本社を構えていたが、いずれも東京に移 転。大手で大阪に本社を残しているりそなホールディングスも本社を東 京へ移転することを検討している。広報担当の三浦正豊氏によると、持 ち株会社社員は実態としてすでに9割以上が東京本社で勤務している という。

「大阪はビジネス都市としての力が衰えている」と指摘するのは、 みずほ証券チーフ不動産アナリストの石澤卓志氏。「東京なら街自体の 業務集積が大きいので各エリアの共存共栄が可能だが、大阪の場合は北 ヤードが栄えると市内の他のところが衰退する可能性がある」とみる。

新生証券の松本康宏シニアアナリストは北ヤードを含む大阪駅周 辺の再開発について、「経済が良かったころに計画されたもの」とした 上で、「高層ビルを建設すれば多くの企業を引き付けるかもしれないが、 それで総需要が増えるわけではなく、近くのオフィスビルから移ってく るだけだ」と話している。

--取材協力:桑子かつ代 Editors: Kenzo Taniai、Hideki Asai

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