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【コラム】中国が先制点、先進国は反撃しなければならない-ペセック

先進国の皆さん、次はあなた方の 出番です-。これが中国のメッセージだ。人民元相場の弾力性強化を 発表した中国は、巧妙かつ明白なやり方で、先進国側にその責任を果 たすよう求めてきた。

為替政策で中国がついに動いたといっても、ガイトナー米財務長 官と彼のチームはシャンパンの栓を開け祝うのを我慢しなければなら ない。今度は米国が不均衡是正への取り組みを始める時だ。過去2年 間の米国の債務急拡大は、ずっと続けられるような政策ではないと言 うほかなく、世界の安定に対する脅威が広がっている。

チェスを制するのは、最も先の手まで読める者だ。中国は少なく とも現時点では、ゲーム展開を読む点で上手のようだ。今や問題は、 ガイトナー長官と彼のパートナーが、史上最悪の債務状況の中で何を するかだ。

中国が脅されて行動を起こしたと結論付けるのは間違いだ。元高 容認を決めたことで、カナダのトロントで26日から始まる20カ国・ 地域(G20)首脳会議(金融サミット)を前に、中国側は一息つくこ とができた。やがて、人民元の上昇は資産バブルを和らげ、インフレ リスク抑制をしやすくするだろう。13億人を抱える中国の購買力を高 めることにもなる。過度の輸入依存を減らす取り組みはすでに進めら れている。

選択の機会

今回の動きで、中国以外の国・地域にある程度の調整が求められ ることになる。中国の輸入活動拡大とともに、賃上げを求める労働争 議が中国国内で突然頻発し始めた。

中国側の取り組みも、米国が抱える問題の根本原因が人民元の過小 評価だと言わんばかりのリンゼー・グラム(共和、サウスカロライナ 州)、チャールズ・シューマー(民主、ニューヨーク州)両米上院議員 をなだめるものではないだろう。

だが、中国があらゆる面で支持者の利益を損ねているとの口実を 口にしていた米議員は今や、新たなスケープゴートを探し出す必要が ある。そうでなければ、きちんと鏡に向き合い、米国をより持続可能 な経済の軌道に乗せる方法を選ぶしかない。

今週末のG20サミットは、そうした選択の機会だ。人民元は、先 進国の財政赤字というテーマの影に隠れることになる。新興国・地域 の当局者らが先進7カ国(G7)をしかりつけるのはかなりの見もの だ。

過去2年間、危機の震源となったのは、世界経済の周辺部ではな く中心部だ。米国とユーロ圏、日本、英国の無責任な政策が市場を危 機にさらした。決して中国やインド、ブラジルの政策ではない。

菅政権

日本には興味がそそられる。就任したばかりの菅直人首相は、日 本の財政がギリシャと同じ道をたどりかねないと警告し、多くの人を 驚かせた。日本の政治家を20年に及ぶ眠りから目覚めさせるためには、 こうした誇張法が必要だ。政治家が居眠りし既得権益に固執している 間に、日本の債務水準は先進国で最悪となり、事実上のゼロ金利政策 からの出口戦略を見いだし得ないでいる。

米国と英国、ユーロ圏が日本の二の舞いを演じつつあることにつ いては、相当の自己分析がなされている。多くの面で、他の先進国は、 それでもいまだ崩壊していない日本と同じような幸運を願わずにいら れないだろう。日本には約1450兆円の個人金融資産があり、公的債務 の9割以上が国内で保有されている。投資家が円から逃げ出すリスク はほとんどない。

だがドルとユーロ、ポンドもそうだとはいえない。ここ1年で金 相場が30%余り上昇した理由を考えてほしい。最も流動性の高い通貨 を多くの投資家は全く信頼していないのだ。

超大国が借金を重ねるごとに、こうした羨望(せんぼう)の的だ った「トリプルA」の信用格付けは日々にその意味を失いつつある。 もしG20首脳が信頼回復への道を探らずにトロントでのサミットを 終えたなら犯罪だろう。

中国は国内経済のバランスを再調整するため、まだ多くのなすべ きことがある。元高容認はこうしたプロセスを加速させるための中国 の新たな自信を示唆し、そして、新興国にすべての重労働を押し付け ている先進国をあざ笑うかのようだ。(ウィリアム・ペセック)

(ウィリアム・ペセック氏は、ブルームバーグ・ニュースのコラ ムニストです。このコラムの内容は同氏自身の見解です)

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