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【日本株週間展望】1万円攻防、悲観巻き戻しは一巡-欧米動向注視

6月第4週(21-25日)の日本株 相場は、日経平均株価が1万円を挟むもみ合いとなりそう。欧州の財 政事情、米国景気の先行きに対する過度な悲観の修正で、株式などリ スク資産は見直されてきたが、それにも一巡感が出てきた。株主総会 シーズン、参院選控えと国内材料面で買い上がりにくく、欧米株式、 為替動向に左右される展開が続く。

6月3週の日経平均は、前週末比3%高の9995円で終了。16日 にことし初の5連騰となり、約1カ月ぶりに1万円の大台を回復した。 米格付け会社のムーディーズは14日、ギリシャ国債の格付けを4段階 下げ、投資不適格級としたが、ユーロの対円相場は7日の108円8銭 を底に反転傾向を維持。米経済統計はまだら模様ながら、上期末に接 近する海外投資家の需給事情もあり、悪材料での打たれ強さを見せた。

米S&P500種株価指数の予想変動率を示し、投資家心理を映す シカゴ・オプション取引所(CBOE)のボラティリティ・インデッ クス(VIX)は、17日に25.05と5月5日以来の水準に低下。5月 20日には09年3月来の高水準となる45.79を記録、6月月初も30台 で推移していただけに、足元の落ち着きぶりは顕著だ。

東海東京証券エクイティ部の倉持宏朗部長は、1万円回復の過程 を「6月の月中平均をにらんだ米年金資金とみられる買いが入り、そ れが売り方の買い戻しを誘った面が強い」と指摘した。実際、米商品 先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、シカゴ日経平 均先物(円建て)の売り建ては8日時点で1万7290枚と、過去1年で 最高水準に達しており、9日に年初来安値(9378円)を付けた後の反 発局面で、これらが縮小方向に向かった公算は大きい。

5、6月株安の行方

5月以降の世界的株安は、ギリシャの財政危機問題がポルトガル やスペインなど南欧、さらにハンガリーなど東欧にも飛び火し、ユー ロ急落を通じて6月初めにピークを迎えた。しかし、ハンガリーの財 政赤字の対国内総生産(GDP)比率は09年時点で3.9%(三菱UF Jモルガン・スタンレー証券調べ)と、ギリシャの13.6%、スペイン の11.2%と比べ格段に低く、不安心理の行き過ぎは否めないところだ。

独立系シンクタンクの武者リサーチ代表、武者陵司氏はギリシャ 国債の格下げに市場が反応しなかった例を挙げながら、株価は「いっ たん底入れをした可能性が強い。一度はリーマン・ショックの再現、 国際流動性危機ぼっ発まで織り込み、過剰悲観が市場を覆ったが、そ れは昨年1年間の8割以上上昇後の絶好の調整口実」と指摘。しかし、 現在の国際金融市場の関心事は「ソブリンリスクではなく、その先に 何が待っているのかに移っている」と言う。

MSCIワールド指数は終値ベースで、4月15日の高値から6月 7日の安値まで16%調整、17日には安値から約7%戻した水準にあり、 チャート上のいわゆる半値戻しに近づいた。対円のユーロチャートに も頭打ち感があり、戻り一巡から次の展開待ちの局面に入ったようだ。

欧州の金融規制・監督、外国人売り

ドイツ銀行の米国債調査責任者、ムスタファ・チャウドリー氏は 「足元のリスクは公的債務の持続性や流動性不安ではなく、一部の欧 州銀行セクターの状態に起因する」ととらえている。欧州連合(EU) は17日、ベルギーで開いた首脳会議で、銀行や金融取引に対する世界 規模での課税を推進させる方針を表明、金融機関を対象にしたストレ ステスト(健全性審査)の結果を公表することでも合意した。

一方、東京証券取引所の発表によると、6月2週に外国人投資家 は日本株を8562億円売り越し、週間の売越額としては2008年3月に 次ぐ過去3番目の大きさを記録した。世界的な金融規制、監督強化の 流れが再び市場で意識され始める中、外国人動向への警戒が一層強ま れば、株式相場の反発力を鈍らせる要因になりそうだ。

東海東京証の倉持氏は、政局不透明感、株主総会を控え国内機関 投資家は動けないなど国内の主体性に乏しい上、「米国の経済統計も明 確な方向性を見出しづらく、欧州問題もなお不透明。ユーロへの不安 はぬぐえず、日本株も下値が固まったとは言い難い」と話している。

FOMC、サミット

第4週の日本株に影響を与えそうな経済統計は、海外で22日に米 国の中古住宅販売件数、独Ifo景況感指数、24日に米耐久財受注、 国内で25日に消費者物価指数の発表など。また、米国では22、23日 に連邦公開市場委員会(FOMC)が開催予定、連邦準備制度理事会 (FRB)の景気認識や金融政策をめぐる声明内容は気掛かりだ。25 -27 日はカナダで主要8カ国(G8)、20カ国・地域(G20)首脳会 議(サミット)があり、菅直人首相は就任後初の国際会議デビューで、 各国からの信頼感を得られるかどうか、注視される。

輸出、金融など相場の方向性を左右する時価総額上位セクターを 積極的に手掛けにくい材料が多いだけに、目先は中小型株、新興市場 などに投資資金が向かう可能性がありそうだ。

【市場関係者の当面の日本株見通し】
●みずほ証券投資情報部の瀬川剛エクイティストラテジスト
  「海外投資家の関心は南アフリカに向かっているため、来週も薄
商いの日が多くなる。買いも少ない代わりに売りも少なく、決して悪
いことではない。24日の参院選公示日を控え、与党と野党第1党が消
費増税を打ち出している。マーケットがどうこれを消化していくのか
に注目したい。1989年の消費税導入時も、97年の税率引き上げ時も、
高額品の駆け込み消費が発生し、その反動が出た。今回も同じ動きが
繰り返されるのか見極めたい」

●中央証券の大越秀行株式部長
  「目立った経済指標もなく、材料の谷間。焦点は26-27日のG20
で、政策協調や金融規制問題について形が見えてくるか。特に金融規
制は、銀行課税やヘッジファンドに対する規制の行方がどうなるか不
透明で、好材料・悪材料どちらに転ぶか分からない。週末に向け見極
めムードが強まりそうなことから、日経平均1万円を挟んで上下300
円ずつの狭いレンジでのこう着感の強い相場になろう」

●水戸証券投資情報部の門馬且康課長
  「日経平均は9800円から1万円をやや上回る程度で、小幅なレン
ジと見る。為替のユーロ安一服を受けた、リターン・リバーサル的な
買い戻し相場は一巡した。国内では株主総会シーズン入りすることで、
持ち合い解消の売りは出にくくなろう。信用取引での評価損が高水準
にあり、個人投資家は様子見姿勢になりやすく、薄商いの『省エネ相
場』が続きそうだ」

●東洋証券情報部の大塚竜太部長
  「日経平均1万円の水準を固める動きになろう。欧州の財政不安
などの悪材料はあらかた織り込んでしまい、売り込む理由はない。一
方、ここから上を買う材料も特にはない。米国で5月の中古住宅販売
件数、新築住宅販売件数など住宅統計の発表が相次ぐため、これらを
見極めながらの展開になる。週末にG8首脳会議を控え、為替政策な
どを見極めようと、徐々に商いは減少する可能性は高い。外部環境の
影響を受けにくい好業績の内需銘柄などを拾いたい」

--取材協力:長谷川敏郎、河野敏、常冨浩太郎、鷺池秀樹 Editor:Makiko Asai

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