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月例報告:判断上方修正、自律回復の基盤も-回復宣言先送り

荒井聡国家戦略兼経済財政相は 18日午後、6月の月例経済報告を関係閣僚会議に提出した。「景気は 着実に持ち直してきており、自律的回復への基盤が整いつつある」と して、基調判断を3カ月ぶりに上方修正した。同時に「失業率が高水 準にあるなど依然として厳しい状況」との認識も示し、景気「回復宣 言」は先送りした。

「回復宣言」に至らなかった背景には、2008年9月のリーマン・ ショックによる景気後退からの持ち直し局面が、輸出や政策効果に支 えられている側面が強く、自律的回復に不可欠な設備投資や個人消費 の増加も十分でなかったと判断したためだ。また、企業収益の改善を 背景に業況判断は改善しているものの、中小企業の先行きについては 慎重な見方となっている。

個別項目では、設備投資は「下げ止まっている」とし、前月の「下 げ止まりつつある」から3カ月ぶりに上方修正。一方、住宅建設につ いては「持ち直してきたが、このところ横ばいとなっている」とし、 前月の「持ち直している」から12カ月ぶりに下方修正した。公共投資 も「総じて低調に推移している」とし、前月の「このところ弱含んで いる」から2カ月ぶりに判断を下げた。

荒井戦略相は会議後の記者会見で「国内民間需要に底堅さが出 ており、所得・支出面の好循環という意味での自律的回復が視野に入 っている」と述べる一方、景気「回復宣言」については、「残念なが ら、まだだ」と語った。

内閣府の津村啓介政務官は、基調判断で新たに「自律的回復への 基盤が整いつつある」との表現を盛り込んだことについて、設備投資 の下げ止まりで「従来より若干、自律性について自信を深めつつある」 と指摘。判断全体では「持ち直しを現時点で維持しつつ、自律性につ いて半歩前進させた」と語った。

デフレ脱却へ日銀と一体で努力

月例報告はマクロ経済運営について、18日午前の閣議で、新成長 戦略が決定したことを踏まえ、デフレからの脱却を「喫緊の課題」と して位置づけ、日本銀行と一体となって、強力かつ総合的な政策努力 を行うと強調。

日銀に対しては、「政府とマクロ経済運営に関する基本的視点を 共有し、デフレの終結に向けた最大限の努力がなされることを期待す る」とした。日銀は5月の金融政策決定会合で景気について「緩やか に回復しつつある」との認識を示している。

景気の先行きに関しては「当面、雇用情勢に厳しさが残る」とす る半面、海外経済の回復や政策効果などを背景に企業収益の改善が続 く中で、「景気が自律的な回復へ向かうことが期待される」と分析。 前月の「持ち直し傾向が続く」から表現を前進させた。

一方、欧州を中心とした海外経済の下振れ懸念、金融資本市場の 変動やデフレの影響など、景気を下押しするリスク要因は前月から維 持した。月例報告会議出席者の発言を紹介した津村政務官によると、 日銀の白川方明総裁は、仙谷由人官房長官の質問に答える形で、中国 は景気回復を強めており、バブルの懸念が高まっていると発言したと いう。

月例経済報告では、世界経済の判断については前月から変更はな く、「景気は緩やかに回復している」とし、先行きも「緩やかな回復 が続くと見込まれる」と指摘。一方、「ヨーロッパを中心とする金融 市場の変動の深刻化や信用収縮、雇用の悪化等により、景気回復が停 滞するリスクがある」との見方を示した。

--取材協力:伊藤亜輝 Editor: Norihiko Kosaka, Hitoshi Sugimoto

参考画面: 記事に関する記者への問い合わせ先: 東京 伊藤辰雄 Tatsuo Ito +81-3-3201-3655 tito2@bloomberg.net 記事に関するエディターへの問い合わせ先: 東京 大久保 義人 Yoshito Okubo +81-3-3201-3651 yokubo1@bloomberg.net 東京 Chris Anstey +81-3-3201-7553 canstey@bloomberg.net

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