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政府:法人税率の段階的下げや外資優遇を明記-新成長戦略

政府は18日午前の閣議で、2020 年度までの年平均で名目3%、実質2%を上回る経済成長率を目指す ため、法人税率の段階的な引き下げや外国企業の積極的な誘致促進の ための優遇税制などを盛り込んだ新成長戦略を決定した。雇用や所得 の源泉である企業の活動を支援する姿勢を鮮明にした。

新成長戦略では、昨年12月末にまとめた基本方針で全く触れてい なかった法人税率について、「主要国並みに引き下げる」と明記。財 源については「租税特別措置などあらゆる税制措置を抜本的に見直し、 課税ベースの拡大を含め確保していく」と指摘。税率については雇用 の確保および企業の立地環境の改善が緊急の課題であることも踏まえ、 「段階的に下げる」と述べている。

経済協力開発機構(OECD)加盟国の法人実効税率の平均は約 26%。先進国の多くはこの10年間で約10%引き下げているが、日本 は約40%で高止まりしている。このため、産業界は国際競争力の観点 から法人税率の引き下げを求めていた。同戦略を記した本文では、税 率や時期については触れていないものの、近藤洋介経済産業省政務官 は記者説明で、主要国並みとは25%程度であると説明した。

外資系の雇用200万人に倍増

また、日本を「アジア拠点」として復活させるために、外国企業 のアジア本社や研究開発拠点の誘致を促す税制面の優遇措置などにつ いて、2011年度からの実施を目指して検討することも盛り込んだ。こ うした措置を通じて、20年度までに外資系企業による雇用を200万人 に倍増させ、対日直接投資も倍増させるとしている。

新成長戦略は、菅直人首相が掲げる「強い経済」「強い財政」「 強い社会保障」を一体的に実現するための政策を盛り込んだ。20年度 までの期間に必要な政策が全く取られない場合には、実質成長率は 1%程度にとどまると想定。一方、環境、健康、アジア、観光などの 需要を重視する政策を通じ、成長率を追加で1%以上引き上げるとし ている。十分な経済成長がなければ、強い財政や強い社会保障も「絵 に描いた餅(もち)」になりかねない。

野田佳彦財務相は18日午前の閣議後会見で、新成長戦略に法人実 効税率の引き下げが明記されたことについて「時期や率は政府税調で 議論し、方向性を出していく。妥当な表現だ」と語った。

国際通貨基金(IMF)アジア太平洋地域事務所の石井詳悟所長 はブルームバーグ・ニュースに対し、「IMFは消費税引き上げと同 時に法人税を引き下げるということも言っている。法人税を引き下げ ることによって競争力をつけると同時に、国内の投資を高めることが できる。世界と比較しても日本の実効税率は高い。下げると競争力は 改善すると思われる」との見解を示している。

デフレ脱却と過度な円高回避

マクロ経済運営では物価について、今年1-3月期に前年同期比 で2.8%低下したGDPデフレーターの1%程度の安定的な上昇を目 指すとした目標も明記。デフレの終結を「最重要課題」として位置づ けた上で、第1の局面を「デフレ清算期間」とし、11年度中に消費者 物価上昇率をプラスにするとともに、速やかに安定的な物価上昇を実 現するとしている。

その間、金融面では「日本銀行にデフレ終結に向けた最大限の努 力を期待する」と指摘。為替についても「過度の円高を回避し、内需 とともに外需も下支えする経済成長を実現する」との表現も入れた。 またデフレが継続している中でも、社会保障の拡充と国民による税・ 社会保険の負担について、経済成長と財政健全化の双方に寄与する政 策として検討を進めるとしている。

デフレ終結後の第2局面では、「2度とデフレに戻ることのない よう」にさらに安定的な物価上昇を維持し、着実な経済成長を実現す ると指摘。財政面では「財政運営戦略」で示す財政健全化目標の実現 に向けさらなる取り組みを進めるとした。

16の国家プロジェクト

新成長戦略では環境・エネルギー、健康(医療・介護)、アジア、 観光立国・地域活性化、科学・技術立国、雇用・人材、金融の7つの 戦略分野に分類。昨年12月時点から新たに加わった金融分野では、証 券・金融・商品などの総合的な取引所の創設を掲げた上で、ユーロ市 場と比肩する市場を実現するため、プロ向けの社債発行・流通市場の 整備をすることなどを入れた。

さらに7つの分野から、需要と雇用の創出効果が高い21の「国家 プロジェクト」を採択し、今年度中、11年度中、13年度までに実施す る事項について工程表を示した。

具体的には、電力の固定価格買取制度の拡充による再生エネルギ ーの普及支援策を通じ、20年度までに再生エネルギー関連市場を10 兆円に拡大することや、パッケージ型インフラ輸出の促進(市場規模 の目標19.7兆円)、住宅・リフォーム市場の整備(同20兆円)、民間 資金を活用した空港・鉄道などの社会資本整備事業(PFI)制度を 活用した事業規模を倍以上の10兆円以上にすることなどを挙げてい る。

--取材協力 下土井京子 氏兼敬子 Editor:Hitoshi Ozawa, Norihiko Kosaka

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