コンテンツにスキップする

改正貸金業法が完全施行、「過払い再燃警戒」-生活苦増加も

改正貸金業法が18日完全施行され た。多重債務者問題の解決に向け、収入に応じた融資額の「総量規制」 導入や、貸出上限金利の引き下げなどが柱だ。この規制強化は、消費者 金融業者にとって大きな収益の圧迫要因となるだけでなく、特に適用当 初は利用者が生活資金の工面に苦しむ可能性がある。

総量規制は業界全体での総融資額を年収の3分の1までに制限す る内容だ。ただ、銀行融資は対象外とする。金利制限では出資法の上限 (29%)を利息制限法(20%)まで引き下げ、その中間で違法性の強い 「グレーゾーン金利」をなくすとともに、利用者の負担を軽減するのが 狙い。改正法は2006年に成立し、段階的に施行してきた。

日本貸金業協会の調査によると、キャッシングなどの利用者の5割 が総量規制に該当するという。これを5月末の利用者1545万人に単純 に当てはめると791万人が影響を受ける可能性がある。規制に抵触する と、①過払い請求に動く、②返済不能や自己破産となる、③消費を抑え 返済に回す、④ヤミ金融に流れる--などの行動が考えられる。

業界が一番に警戒しているのが総量規制で追加融資を受けられな い多重債務者が過去のグレーゾーン金利を「過払い金」として請求する 動きの再びの増加だ。プロミスの久保健社長は先月の決算会見で、過払 い請求に加え、回収不能な融資増加も見込まれ、「総量規制の影響は不 透明」と強調。同社は初めて通期の純損益予想の公表を見送った。

再び請求増えれば業績直撃

野村証券の大塚亘アナリストは、資金繰りに困った総量規制の対象 者による「利息返還請求が増加する可能性がある。ふたを開けてみない と分からないが、請求の再燃もありうる」と指摘した。一方、貸金業協 会の4月の利用者アンケートでは法改正の認知度は半年前と同じ49% にとどまり、困った該当者が一気に請求する可能性もあるという。

アコム、プロミス、武富士、アイフルの大手4社の2007年3月期 決算は過払い請求の増加で合計約1兆7000億円の巨額赤字を計上。こ の時期が第1次ピークと位置付けられる。貸金業協会によると、業界全 体の利息返還対策費用は06年度から3年で合計4兆4000億円に上り業 績を直撃した。再びピークが到来すれば業績悪化は避けられない。

今回の規制強化は、過払い請求以外でも、総量規制の影響で融資額 の圧縮を迫られたり、上限金利の引き下げで利息収入が減少するなど業 界にとってはマイナス要素ばかりだ。米格付け会社ムーディーズは5月 下旬までに「業界を取り巻く事業環境の不透明性は高い」などとしてア コムを除く大手3社を投機的等級に格下げした。

利用者に混乱も

法改正の影響は金融専業だけでなく、融資業務を提供するカード・ 信販会社や、傘下にノンバンクを抱える銀行グループの業績にも波及す る。三菱UFJニコスの佐々木宗平社長が指摘するように、融資と別枠 のカードで買い物をした商品を売却する「カード与信枠の現金化」が多 重債務者の増加につながるなどの新たな懸念も浮上している。

規制強化のマクロ経済への影響も懸念される。金融庁によると、改 正法成立直後の07年3月末からの2年で貸金業者による個人向け融資 残高は4兆5772億円減の15兆7281億円となった。この間、業者数は 7775社減の4057社と半分以下に減った。貸金業協会の飯島巌新会長は 「個人消費に少なからず影響しているのではないか」と指摘した。

大塚耕平金融副大臣は18日朝、東京・新橋駅前のSL広場で完全 施行を周知するため、金融庁職員ら約30人と1000個のティッシュを配 布。「常に副作用はあるが多重債務者問題に理解と協力をいただきたい」 と述べ、銀行などにも協力を求めた。ティッシュには「総量規制抵触者 は新規借入ができなくなる」などとし、相談窓口を明記した。

亀井静香前金融担当相は、18日の完全施行に伴って、利用者の混乱 回避に向け、返済期間延長や毎月の返済負担を軽減するための借り換え などを規制の対象外とすることを決めた。法外な高金利で融資し返済を 迫るヤミ金融業者への対策や、行き場を失い自殺を図ろうとする利用者 が発生した場合の対応も講じるが、実際の効果は未知数だ。

----取材協力 河元伸吾 Editors: Kazu Hirano Takashi Ueno

参考画面: 記事についての記者への問い合わせ先: 東京 谷口 崇子 Takako Taniguchi +81-3-3201-3048  ttaniguchi4@bloomberg.net 記事についてのエディターへの問い合わせ先: 東京 大久保義人 Yoshito Okubo +81-3-3201-3651  yokubo1@bloomberg.net

Philip Lagerkranser +852-2977-6626   lagerkranser@bloomberg.net

    最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中 LEARN MORE