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ドル売り優勢、米国の景気回復鈍化を懸念-ユーロは3週間ぶり高値

東京外国為替市場ではドル売りが 優勢だった。米国で経済指標の下振れが目立っており、米国の景気回復 鈍化や低金利政策の長期化の可能性が意識された。

一方、前日にスペインの国債入札を無事通過し、欧州債務危機への 不安が和らぐなか、ユーロは堅調に推移し、対ドルで前日に付けた5月 28日以来3週間ぶりの高値をわずかながら更新した。

三菱UFJ信託銀行資金為替部の井上英明統括マネージャーは、米 経済について「今までは底から上がってくる過程だったが、ここからの 回復はなかなか難しい」と指摘。「6月のFOMC(米連邦公開市場委 員会)は利上げに向けて地ならしが始まるのではないかとも言われてい たが、それはもうないだろう。来週の会合ではどの程度まで声明文が慎 重なのかを見極める感じになる」と語った。

ブルームバーグ・データによると、ドルは主要通貨に対してほぼ前 日終値を下回っている。主要6通貨に対するインターコンチネンタル取 引所(ICE)のドル指数は4週間ぶりの低水準に低下した。

ユーロ安からドル安へ

前日の海外市場ではスペイン政府が実施した国債入札が好調だった ことや、欧州連合(EU)首脳が金融機関を対象にしたストレステスト (健全性審査)の結果を7月に公表することで合意したことなどが好感 され、ユーロが上昇。一方、ドルは米新規失業保険申請件数の増加やフ ィラデルフィア連銀製造業景況指数の下振れが嫌気され、売りに押され る展開となった。

東京市場もそうした流れを引き継ぎ、ユーロが対ドルで1.23ドル 台後半と高値圏を維持して推移。ロシアのメドベージェフ大統領がユー ロの崩壊の可能性は否定できないと述べたことも伝わったが、午後には

1.24ドル台を回復し、一時、1.2414ドルまでユーロ高・ドル安が進 む場面も見られた。

井上氏は、「ユーロはだいぶ悪材料に対する反応が鈍くなってきた ので、いよいよユーロを売っていた人たちは焦り始めている感じだ。流 れはユーロ安からドル安に変わってきている」と指摘した。

ドルは対スイス・フランで5月13日以来の安値を更新。スイス国 立銀行(SNB、中央銀行)は前日、自国通貨高を抑制する姿勢を和ら げ、インフレを加速させずに中期的に政策金利を過去最低水準に維持す ることはできないとの見方を示した。

また、ニュージーランド・ドルやオーストラリア・ドルに対しては 約4週間ぶりの安値を付けた。

みずほコーポレート銀行国際為替部のマーケット・エコノミスト、 唐鎌大輔氏は、米国経済について、「在庫復元の効果も衰えてくるだろ うし、雇用の回復ペースも落ちてきている」ことから、今後、経済指標 の弱含みが目立ってくると予想。「次のFOMCではむしろ景気の上方 向よりも下方向を心配したいぐらい」と語った。

円は一進一退

ユーロ・円相場は1ユーロ=112円前半から半ばで一進一退の展開。 前日に5月27日以来のドル安値(1ドル=90円51銭)を付けたド ル・円相場は90円台後半を中心にドルの上値が重い展開が続いた。

クレディ・アグリコル銀行外国為替部ディレクター、斎藤裕司氏は 前日に菅直人首相が消費税の引き上げに言及したことについて「財政再 建への一歩として円買いと外国勢が言っている」と指摘した。

一方、日本銀行が18日公表した5月20、21日の金融政策決定会 合の議事要旨では、何人かの委員が「今後、欧州金融市場が一段と不安 定化し、円高・株安がさらに進展するような状況になれば、実体面、金 融面のさまざまなルートから、わが国の金融環境が逼迫(ひっぱく)化 する可能性には留意が必要」と指摘した。

また、政府がこの日の閣議で決定した新成長戦略には、「過度の円 高を回避し、内需とともに外需も下支えする経済成長を実現する」との 表現が盛り込まれた。NTTスマートトレード・工藤隆市場情報部部長 は、「『過度の円高』のレベルにもよるが、日銀議事録とともに材料的 には円売り」と話していた。

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