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中国から「黒船」、ペトロチャイナが重油の対日輸出へ-国内再編加速

時価総額で世界第2位の中国石油 (ペトロチャイナ)が、重油の対日輸出を虎視眈々(たんたん)と狙っ ている。日韓両国から重油を輸入している中国が一転して輸出国となれ ば、価格競争力で日本勢が劣勢に立たされることは確実だ。内需不振で 輸出に活路を求めている国内石油各社にとって中国が「黒船」になる可 能性が高く、国内石油各社の原油処理量や精製能力削減の計画見直しに もつながりそうだ。

ペトロチャイナは昨年末、朝鮮半島の対岸に位置する山東省青島に 超大型タンカーの受け入れが可能な貯蔵ターミナルを完成させた。船舶 用燃料を販売する子会社、中国船舶燃料有限責任公司のウェブサイトに よると、中国北部の港のほか日本や韓国の船舶用燃料(バンカー重油) 市場にも進出する考えだ。

中国が日韓市場への参入に動き始めた背景には、ベネズエラからの 重油輸入がある。ベネズエラのチャベス大統領と、今後の需要増を見越 して輸入先の多様化を目論んだ中国の思惑が一致し、両国は2005年、 原油や重油の中国向け輸出を増やすことで合意した。

中国のベネズエラ産重油の輸入量は増加を続けており、10年1-4 月期の輸入量は前年同期比27%増の197万トン。複数の重油トレーダ ーらによると、ペトロチャイナは現在、「VLCC」と呼ばれる超大型 タンカーで毎月約5隻、計100万トン程度の重油をベネズエラから購入 しており、一部をシンガポールに運んでいる。

ペトロチャイナはすでに韓国向けには、ベネズエラ重油の輸出を開 始。市場関係者によると、同社は6月中旬積みで約5万トンを販売し た。日本への輸出はまだ確認されていない。

阪和興業燃料部の石田和外氏は「ペトロチャイナの進出は日本や 韓国のバンカー重油市況にとって、非常にベアな材料。国内の石油元売 りは重油販売でマージンを確保するのが一層難しくなる」との見方を示 し、国内の石油各社にとってはまさに内外の市場を失いかねないダブル パンチだ。

ペトロチャイナの対日重油輸出計画について、石油元売り関係者は 情報がほとんど伝わってこないことから、現実化すれば大きな脅威とし て戦々恐々としている。

製油所能力削減

4月に新日本石油と新日鉱ホールディングスが経営統合して発足し たJXホールディングスは、今年度中に日量40万バレル相当の製油所 能力削減を計画している。さらに、14年3月末までに追加で20万バレ ルの削減も予定。コスモ石油や出光興産も削減を検討している。

中国がどの程度の対日輸出を念頭に置いているか不明だが、価格競 争力を武器に輸出攻勢をかけてきた場合、国内石油各社は一段の製油能 力削減を迫られかねない。

船舶やボイラーの燃料として使われる重油は、国内で最も急速に需 要が減少している。経済産業省によると、09年度の石油製品全体の需要 が3%減だったのに対し、重油は21%減少した。環境意識の高まりに合 わせて、クリーンな天然ガスに需要がシフトしていることや、価格上昇 で海運業界が船舶の燃費改善に向けた努力を進めていることなどが影響 した。

内需増が今後も見込めない石油各社は重油の輸出を積極化してい る。09年度の重油生産量に占める輸出量の割合は2ポイント増の35%。

重油の販売量がペトロチャイナの進出で一段と低下すれば、重油の 生産量だけを調整することは難しいため、石油製品全体の生産を見直す 必要が出てくる。精製能力削減を進める石油各社は「黒船」の影におび え、ペトロチャイナの出方を見極めようとしている。

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