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東芝と日本精工:合弁設立で交渉-欧企業にパワステ供給

国内総合電機会社2位の東芝が、 独立系自動車部品の日本精工と自動車部品の合弁会社設立に向けて交 渉に入ったことが明らかになった。東芝は自動車関連機器事業に本格 参入、日本精工は環境対応車に不可欠なエレクトロニクス技術の取り 込みを狙う。次世代自動車生産に最先端技術が必要となる中、部品メ ーカーと電機メーカーの合従連衡加速につながるとみられている。

事情に詳しい複数の関係者によると、東芝の持つ半導体技術やソ フトウエアなどのエレクトロニクス技術を、日本精工の電動パワース テアリング技術(EPS)などに生かし、自動車部品の生産・輸出を 行う。手始めに独フォルクスワーゲン(VW)や仏ルノーなどにEP Sシステムを供給する予定で、協議を進めている。

日本精工は北米や欧州の生産拠点を通じて、現在も各国の自動車 メーカーにEPSを供給している。自動車調査会社カノラマ・ジャパ ンの宮尾健ディレクターは「日本精工はEPSに必要なソフト制御部 分については外部調達している」のが現状と指摘した上で、「東芝の技 術を活用することで、高い技術を内部に取り込み、コスト削減につな げることができる」とみている。

宮尾氏は、日立製作所やパナソニックなどの電機メーカーが企業 買収や提携で自動車関連事業の強化を進める中、東芝としては「実績 のあるところと提携する必要」を感じたのではないかと指摘。日本精 工と組むことで自動車部品業界への参入障壁を下げた形になるとみて いる。

合弁会社設立について、東芝・広報担当の大森圭介氏は「車載事 業については常々、さまざまな検討はしているが、個別の憶測につい てはコメントできない」と述べた。日本精工・広報担当の佐藤智香氏 は「現状ではそういった事実はない」とコメントした。

環境技術対応に機械とエレクトロニクス融合

EPSはモーターなどを用いて電動で操舵を補助する方式。従来 の油圧方式に比べ、エンジンからの出力を機能的に使い燃費向上につ ながることから、市場が拡大している。調査会社IHSグローバルイ ンサイトのデビッド・スミス・ティリー・ディレクターは、乗用車へ のEPS搭載率について、2009年に世界で39%だったのに対し、15 年には57%になると予測している。

日本精工がEPS生産を始めたのは1980年代後半。同社の主要製 品である自動車部品「ベアリング(軸受)」について、大塚紀男社長は 09年3月期のアニュアルリポートで、電気自動車の普及で動力源が電 池に換わり需要減が懸念されているため、ステアリングの「新技術に よる新たなビジネスの機会を拡大する」必要性を強調している。

グローバルインサイトの調査によると、日本精工のEPSの世界 シェアは、10年予測で世界4位の13%(乗用車搭載分)。09年には欧 州と日本でEPS事業を新規に立ち上げた。世界各国の自動車メーカ ーに現地生産・供給する体制をとっており、生産拠点は世界で62カ所 に上る。今回の合弁事業では日本精工の拠点も活用するとみられる。

グローバルインサイトのスミス・ティリー氏は「欧州のEPS市 場で日本メーカーのシェアは3割を超えており、日本のEPS技術の 高さは認知されている」と述べ、欧州の自動車メーカーが日本から部 品調達をする意義を強調する。同社の調べで、世界シェアのトップは トヨタ自動車と資本関係にある日本のジェイテクト(33%)で、以下 は米TRWオートモーティブ(16%)、独ゼットエフグループ(14%) となっている。

東芝は自動車関連の強化が課題

東芝は自動車関連事業で、06年に当時の西田厚聡社長(現会長) が社長直轄プロジェクトを立ち上げるなど本格的な準備に着手。国内 電機メーカーでは日立、三菱電機、NEC、パナソニックなどが自動 車関連事業を展開。自動車用半導体では、トヨタグループが90年代に 主力取引先を東芝からNECに切り替えた経緯もあり、東芝は成長分 野の自動車市場に対応した事業強化が重要課題となっている。

東芝の自動車関連事業は、モーターやその出力を制御するインバ ーター、半導体、ハードディスク駆動装置(HDD)、ディスプレイな ど各種の部品、電子制御やエネルギーを最適化するソフトウエアなど を手掛ける。現在は、電気自動車など環境対応車向けリチウムイオン 電池の開発にも力を入れている。

東芝はリチウムオン電池や電気自動車用部品で、09年2月に独V Wとの共同開発で合意したと発表。さらに、佐々木則夫社長は今年5 月発表の中期計画で、リチウムイオン電池について「自動車メーカー への採用が内定した」と明らかにしていた。

--取材協力:岩谷多佳子、北村真樹子 Editor:Hideki Asai、Kiyo Sakihama

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