米国株:急落、ダウは一時約1000ドル安-誤発注の声も
Rita Nazareth and Lynn Thomasson米株式相場は急落。過去1年で最 大の値下がりだった。欧州債務危機が世界的な景気回復の足を引っ 張るとの懸念が背景。午後の取引で相場が一時暴落、時価総額1兆 ドル以上が吹き飛んだ。ダウ工業株30種平均は一時約1000ドル安 を記録。下落率では1987年10月19日のブラックマンデー以来最 大となった。ダウ平均はその後下げ幅を縮小した。
ダウ工業株30種平均は前日比347.80ドル(3.2%)安の
10520.32ドル。S&P500種株価指数は3.2%安の1128.15。一 時は2008年12月以来で最大となる8.6%下落した。両株価指数と も終値で昨年4月20日以来の大幅安だった。
LPLファイナンシャルの最高投資責任者(CIO)、バート・ ホワイト氏は「パニック売りだ」と述べ、「欧州の状況が世界的な経 済成長のペースを減速させ、信用市場が凍結するとの懸念がある」 と続けた。
多数の誤発注
NYSEユーロネクスト広報担当者、リッチ・アダモニス氏が 述べたところによると、午後の取引で相場が急落した際には「多数 の誤発注」があった。ニューヨーク証券取引所は米経済専門局CN BCにシステムに問題はなかったと述べた。ナスダックOMXグル ープは、相場急落について、ほかの市場と協力して検証しているこ とを明らかにした。
シティグループはこの日、同社が誤発注にかかわっていた「証 拠はない」と発表した。これより先、CNBCは「複数の情報源」 を基にシティが誤発注を出し、株価急落を招いた可能性があると伝 えていた。
消費財最大手、プロクター・アンド・ギャンブル(P&G)は、 電子取引でミスがあったがどうかを調査している。同社の株は一時 37%安まで売り込まれた。終値は前日比で2.3%安。
ユーロ大幅安
ギリシャ議会は欧州連合(EU)と国際通貨基金(IMF)か ら1100 億ユーロの支援を受ける見返りに打ち出した緊縮財政措置 を承認したが、ユーロの支援材料とはならなかった。ユーロは対ド ルで1年2カ月ぶり安値に落ち込んだ。
欧州中央銀行(ECB)はこの日、政策金利を過去最低に据え 置いた。トリシェECB総裁は会合後の記者会見で、ユーロ圏の債 務危機沈静化のためにユーロ圏諸国の国債をECBが購入する案に ついて政策委は議論しなかったと述べた。
BOA、HPなど
バンク・オブ・アメリカ(BOA)、コンピューターのヒューレ ット・パッカード(HP)、クレジットカードのアメリカン・エキス プレスを中心にダウ工業株30種平均採用銘柄はすべて値下がりし た。
S&P500種の通信サービス株価指数および資本財・サービス 株価指数は、日中取引としてはそれぞれ10%と11%の過去最大の 下げを記録したがその後下げ幅を縮小した。