日銀展望:11年度のコア消費者物価プラス0.1%へ上方修正

日本銀行は30日午後、半期に1度 の経済・物価情勢の展望(展望リポート)を公表した。2011年度の消 費者物価指数(除く生鮮食品、コアCPI)前年比上昇率は、政策委 員の見通しの中央値がプラス0.1%と、1月の中間評価のマイナス

0.2%から上方修正された。

10年度の見通しの中央値はマイナス0.5%と中間評価から据え置 かれた。日銀は高校授業料の実質無償化の影響で0.5ポイント程度押 し下げると試算しており、実際のコアCPI前年比はマイナス1.0% 程度になると見込んでいる。日銀は「11年度中にはプラスの領域に入 る可能性が展望できる」としている。

菅直人副総理兼財務相は20日の衆院財務金融委員会で、CPI上 昇率はプラス1-2%程度を実質的な目標とすべきだとの考えを示し た。日銀は物価安定を2%以下のプラスで、中心は1%としている。 いずれにしても、10年度と11年度の見通しは1%にはなお遠いこと から、日銀に対し追加緩和を求める声が今後も続く可能性が強い。

日銀は4月と10月の年2回、経済と物価情勢の先行きを示す展望 リポートを公表しており、3カ月ごとに中間評価を行っている。実質 国内総生産(GDP)成長率見通しの中央値は、10年度がプラス1.8% と中間評価(プラス1.3%)から大きく上方修正された。11年度はプ ラス2.0%と中間評価(プラス2.1%)並みの見通しが維持された。

デフレ克服へ幾条かの光

白川方明総裁は7日の会見で「景気持ち直しの持続傾向がより明 らかになってきた」と指摘。先行きにも「自律回復の芽が幾つか見ら れる」と述べた。西村清彦副総裁は21日の講演で「企業の価格設定態 度の変化や、景気持ち直しのずれを伴った影響を反映して物価の基調 的な動きに変化が見られる」と指摘。「デフレ克服へ向け、幾条かの 光が見え始めている」と述べた。

展望リポートは「新興国・資源国の力強い成長を背景に輸出は増 加を続けるほか、企業収益の回復に伴い設備投資も持ち直す可能性が 高い」と指摘。「企業活動が活発化するにつれて、雇用・所得環境の改 善も次第に明確化していくため、個人消費や住宅投資の伸び率は高ま っていく」とした上で、「10年度のわが国の成長率は、潜在成長率を 上回る水準となると見込まれ、11年度にはさらに高まる」としている。

「中長期的な物価安定の理解」については、「消費者物価指数の 前年比で2%以下のプラスの領域にあり、委員の大勢は1%程度を中 心と考えている」との考え方を据え置いた。

追加緩和の可能性も

三菱UFJ証券の石井純チーフ債券ストラテジストは「好況感を 伴った景気拡大と明確な物価上昇が達成されるまで、政府・民主党の 追加緩和要請が止むことは決してないだろう」と指摘。政府が新成長 戦略や中期財政フレームを決定する予定の6月にも「政策協調という 大義名分を傘にして、追加緩和を日銀に迫る可能性がある」とみる。

BNPパリバ証券の河野龍太郎チーフエコノミストは「デフレ脱 却は重要であり、輸出部門の回復を後押しするのは意味のあることだ が、政策にはメリットだけでなくコストも存在する」と指摘。「景気 回復傾向が強まれば政策の効果以上に副作用を注視すべきだ。こうし た点について日銀がどういった姿勢を示すか注目したい」としている。

見通しは次の通り(前年度比、%。は政策委員見通しの中央値)

                       【政策委員の大勢見通し】
                実質GDP   国内企業物価指数  コアCPI
【2009年度】     -2.2~-2.1        -5.2          -1.6
                   
1月時点の見通し -2.5~-2.5     -5.3~-5.2     -1.5~-1.5
                                     
【2010年度】     +1.6~+2.0     +1.1~+1.5     -0.5~-0.2
                                     
1月時点の見通し +1.2~+1.4     -0.5~-0.4     -0.6~-0.5
                                     
【2011年度】     +2.0~+2.2     +0.5~+0.8     -0.1~+0.2
                                     
1月時点の見通し +1.7~+2.4     -0.5~ 0.0     -0.3~-0.1
                                     

                      【政策委員の全員の見通し】
                実質GDP   国内企業物価指数  コアCPI
【2009年度】     -2.2~-2.0       -5.2            -1.6
1月時点の見通し -2.6~-2.3     -5.5~-5.0     -1.6~-1.5
【2010年度】     +1.5~+2.0     +1.0~+1.6     -0.6~-0.2
1月時点の見通し +1.0~+1.5     -0.9~-0.4     -0.7~-0.4
【2011年度】     +1.9~+2.4     +0.4~+1.0     -0.1~+0.3
1月時点の見通し +1.6~+2.5     -0.5~+0.2     -0.3~ 0.0

(09年度の国内企業物価指数と消費者物価指数(除く生鮮食品)は
実績値)

--取材協力 伊藤辰雄 Editor:Norihiko Kosaka,Hitoshi Ozawa

参考画面: 記事に関する記者への問い合わせ先: 東京 日高正裕 Masahiro Hidaka +81-3-3279-2894 mhidaka@bloomberg.net 記事に関するエディターへの問い合わせ先: 東京 大久保義人 Yoshito Okubo +81-3-3201-3651 yokubo1@bloomberg.net 東京 Chris Anstey +81-3-3201-7553 canstey@bloomberg.net

    最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中
    LEARN MORE