日銀、成長基盤強化へ資金供給面で銀行支援検討-現状維持

(発表内容を追加し、更新します)

【記者:日高正裕】

4月30日(ブルームバーグ):日本銀行は30日午後、同日開いた 金融政策決定会合で、政策金利を0.1%に据え置くことを全員一致で 決定したと発表した。議長である白川方明総裁は、成長基盤強化の観 点から、民間金融機関による取り組みを資金供給面から支援する方法 について検討を行い、あらためて報告するよう執行部に指示した。

新型オペによる資金供給額も20兆円に据え置いた。会合では、デ フレからの脱却と持続的成長軌道への復帰が極めて重要な課題である との認識の下、金融政策運営は極めて緩和的な金融環境を維持してい く方針を確認。併せて、現在の日本経済の状況を踏まえると、「成長基 盤の強化を図ることが必要である」との認識が確認された。

日銀は同日午後3時、半年に1度の経済・物価情勢の展望(展望 リポート)を公表し、実質成長率と消費者物価指数(除く生鮮食品、 コアCPI)の見通しを示す。11年度のコアCPI上昇率はゼロ近傍 に上方修正される見込みだが、日銀が物価安定の中心とする1%には 及ばないため、日銀は粘り強く緩和姿勢を続けていく構えだ。

日銀は先月17日の決定会合で、昨年12月の臨時会合で導入した 期間3カ月、0.1%の固定金利による共通担保資金供給オペを10兆円 から20兆円に拡充した。菅直人副総理兼財務相はプラス1-2%程度 を実質的な目標とすべきだとの考えを示しており、日銀はデフレ脱却 に向けて、なおも手を緩められない状況にある。

デフレ克服へ幾条かの光も

白川方明総裁は7日の会見で「景気持ち直しの持続傾向がより明 らかになってきた」と指摘。先行きも「自律回復の芽が幾つか見られ る」と述べた。西村清彦副総裁は21日の講演で「企業の価格設定態度 の変化や、景気持ち直しのずれを伴った影響を反映して物価の基調的 な動きに変化が見られる」と指摘。「デフレ克服へ向け、幾条かの光 が見え始めている」と述べた。

日銀は10年度の実質成長率を大きく上方修正する見通しで、11 年度のコアCPI見通しは小幅プラスとなる可能性もある。しかし、 10年度は高校授業料の実質無償化の影響で下落幅が1月の中間評価 (マイナス0.5%)から下振れる公算が大きい。デフレ脱却への道の りは遠く、日銀に追加緩和を求める声は今後も続く可能性が強い。

JPモルガン証券の菅野雅明調査部長は「政府が中期財政フレー ムと成長戦略の詳細を発表すると見られる6月に、政府との協調姿勢 を印象付けるため、さらなる緩和策を打ち出す可能性が高い」とみる。 HSBC証券の白石誠司チーフエコノミストも、重要政策会議が相次 いで結論を公表する参院選直前の6月が有力との見方を示す。

信認低下の恐れも

追加緩和に踏み切る場合、期間3カ月、0.1%の固定金利による資 金供給オペを20兆円からさらに拡大することが有力な選択肢になる。 オペ期間の6カ月への延長は、同期間の取引が少ないため市場機能を 損なう度合いが大きく、次の次の一手として温存する公算が大きい。

しかし、3月の追加緩和に対して、須田美矢子審議委員と野田忠 男審議委員が反対を表明するなど、さらなる追加緩和には慎重意見も 多い。信州大学の真壁昭夫経済学部教授は「日銀が政府からの圧力に よって追加的な刺激策を導入していると市場参加者がとらえることに なると、日銀に対する信認は低下せざるを得ないだろう。むしろ、日 銀に対する信認が低下するという副作用の方が大きい」と語る。

東短リサーチの加藤出チーフエコノミストは「新型オペの増額、 期間延長は『愚策』となる恐れがあり、行うべきではないだろう」と 指摘。「短期資金供給全体に占める新型オペの比率が高まると、短期 金利に上昇圧力が加わりやすくなる。それを避けるためには、日銀当 座預金全体を引き上げる必要があるが、そうなると、全体として日銀 は何を目指しているのか、分かりにくくなってくる」としている。

日銀は30日の金融政策決定会合で、長期国債の買い入れ額を月

1.8兆円に据え置いた。議事要旨は5月26日に公表される。白川方明 総裁は午後3時半に記者会見する。

会合開催       総裁会見  金融経済月報  議事要旨
5月20、21日   5月21日     5月24日     6月18日
6月14、15日   6月15日     6月16日     7月21日
7月14、15日   7月15日     7月16日     8月13日
8月9、10日   8月10日     8月11日     9月10日
9月6、7日   9月7日     9月8日     10月8日
10月4、5日   10月5日     10月6日     11月2日
10月28日       10月28日       -         11月19日
11月15、16日   11月16日     11月17日     12月27日
12月20、21日   12月21日     12月22日       未定

総裁会見は午後3時半。金融経済月報は午後2時、議事要旨は午 前8時50分。

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