3月の消費者物価は下落率横ばい-前年比1.2%低下

(発表内容とコメントを追加します)

【記者:日高 正裕】

4月30日(ブルームバーグ):3月の全国の消費者物価指数は、前 年同月比の下落率が前月から横ばいとなった。景気の持ち直し傾向が 明確になっていることを受けて、下落率は今後縮小に向かう公算が大 きいが、消費者の節約志向の強まりで食料品など身の回り品の値下げ は止まっておらず、デフレ脱却の時期はまだ見えていない。

総務省が30日発表した3月の全国の消費者物価指数(除く生鮮食 品、コアCPI)は前年同月比1.2%低下と13カ月連続のマイナス。 この結果、2009年度通年では前年度比1.6%低下と、下落率は比較可 能な1971年度以降で最大となった。4月の東京都区部コアCPIは同

1.9%低下。前月はそれぞれマイナス1.2%、マイナス1.8%だった。

菅直人副総理兼財務相は20日の衆院財務金融委員会で、CPI上 昇率はプラス1-2%程度を実質的な目標とすべきだとの考えを示し た。日銀は30日午後の経済・物価情勢の展望(展望リポート)で、2011 年度のコアCPI見通しをゼロ近傍に上方修正する見込みだが、デフ レ脱却にはほど遠いことから、日銀への圧力は今後も続くとみられる。

CPI総合指数は3月の全国が前年同月比1.1%低下、4月の東 京都区部は1.5%低下だった。前月はそれぞれ1.1%低下、1.7%低下 だった。変動の大きな食料(酒類除く)とエネルギーを除く「米国型 コアCPI」は、3月の全国が1.1%低下、4月の東京都区部は1.4% 低下だった。前月はそれぞれマイナス1.1%、マイナス1.2%だった。

デフレ克服へ光明も

白川方明総裁は7日の定例記者会見で「景気持ち直しの持続傾向 がより明らかになってきた」と述べた。日興コーディアル証券の岩下 真理チーフマーケットエコノミストは「1-3月の実質国内総生産(G DP)成長率は1月時点の想定よりかなり強く、年率で5%台に乗る 可能性が高まった」と指摘する。

白川総裁は物価の先行きについても、13日の衆院財務金融委員会 で「マイナスよりプラスの材料が出ている」と言明。西村清彦副総裁 も21日の講演で「企業の価格設定態度の変化や、景気持ち直しのずれ を伴った影響を反映して物価の基調的な動きに変化が見られる」と指 摘。「デフレ克服へ向け、幾条かの光が見え始めている」と述べた。

西村副総裁は一方で、10年度については「高校授業料の実質無償 化が消費者物価の変動率を0.5%前後押し下げるとみられる」と指摘。 「基調となる動きとは切り離して考えるべき」としながらも、「表面上 は当面の物価下落幅を拡大させるだけに、人々の物価観に影響を与え る可能性には注意しておく必要がある」と述べた。

なお追加緩和の可能性も

みずほ証券の上野泰也チーフマーケットエコノミストは「西村副 総裁が述べていたように、デフレ方向の動きに対して警戒感を強めざ るを得ない日銀としては、たとえそれが基調的な物価の下落要因では ないにしても、人々のデフレマインドを強めることにつながらないか を注視せざるを得ない」と指摘。「日銀は追加緩和に近く動かざるを得 ないだろう」としている。

西村副総裁は21日の講演で、3月17日の決定会合で行った追加 緩和について「馬を水辺に連れて行くことはできても、無理やり水を 飲ませることはできない」が、消耗していた馬が少し元気になったタ イミングで水辺に連れて行けば、「喜んで水を飲み、また元気に走り出 すようになる可能性が高まる」と言明。一段の追加緩和についても「ど ういう時期が一番よいのかを考えていく」と述べ、含みを残した。

--取材協力 Minh Bui Editor:Hitoshi Ozawa,Norihiko Kosaka

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