財政危機でユーロ売り加速、モルガンSはユーロ圏崩壊の可能性を指摘

欧州の財政危機悪化でユーロ圏崩 壊の恐れが出てきており、ユーロはリーマン・ブラザーズ・ホールデ ィングス破たん以来、最も速いペースで売られている。

米バンク・オブ・ニューヨーク(BNY)メロンによれば、年金 基金や銀行は今月、2008年下期以降最も速いペースでユーロを売 却した。08年7月半ばから10月末までの間、ユーロはドルに対し 25%余り急落した。対ドルのユーロ相場のオプション需給の傾きを示 すリスク・リバーサルは28日、ユーロのプット(売る権利)需要が、 コール(買う権利)需要との比較で08年11月以来の高水準に増加し た。

米カリフォルニア州職員退職年金基金(カルパース)の為替・世 界債券担当マネジャー、エリック・ブゼイ氏は「ユーロ圏とユーロの 創設時の想定事項に今では疑問が生じ、見直されつつある」と指摘。 「各国それぞれ相違がある。それも非常に大きな相違だ。それが今、 域内で表面化してきている」と述べた。

1999年の導入以来、ユーロはドルと競合する地位を獲得した 一方で、ギリシャから始まった債務危機は、ユーロ圏経済の2.6% に過ぎない一国によって域内全体がいかに動揺させられるかを示し ている。ユーロは過去半年で11%安と、主要16通貨中で最悪のパフ ォーマンスになっている。格付け会社スタンダード・アンド・プアー ズ(S&P)は、過去2日間でギリシャ、ポルトガル、スペインの信 用格付けを引き下げた。

ユーロ下落予想

クレジット・デフォルト・スワップ(CDS)市場では、ギリシ ャ、ポルトガル、スペインの国債保証コストが過去最高に上昇した。

ユーロは28日、ドルに対し1ユーロ=1.3115ドルと1年ぶ り安値に下落。ドイツのメルケル首相は、450億ユーロのギリシャ 向け支援パッケージが早急に実行されなければ、「ユーロ圏の安定」 が危うくなると発言した。昨年11月25日にはユーロはその年の最 高値となる1.5144ドルを付けていた。

為替ストラテジストは、この急速なユーロ下落についていけてい ないようだ。ブルームバーグ・ニュースが32人を対象にまとめた調 査の平均では、年末予想が1ユーロ=1.32ドルとなっている。2 月時点での予想は1.43ドルだった。

BNYメロンのチーフ為替ストラテジスト、サイモン・デリック 氏は、ユーロが2011年末までに1ユーロ=1.10ドルまで下落する 可能性があると指摘。モルガン・スタンレーは、今年末までの予想を

1.24ドルとしている。

中銀のユーロ保有

モルガン・スタンレーが国際通貨基金(IMF)のデータを基に 算出したところによれば、各国中央銀行は昨年10-12月(第4四 半期)、計8兆1000億ドル相当の外貨準備高のうち、ユーロの割 合を27.6%と、7-9月(第3四半期)の28%から低下させた。 11年前にユーロが導入された時は約17%だった。

モルガン・スタンレーの為替ストラテジスト、エマ・ローソン氏 (ロンドン在勤)は「中銀当局者や機関投資家は、ユーロ圏崩壊の可 能性を排除するのに10年かかったが、今またこの可能性を織り込む 必要が出てきた」と指摘。「もはやユーロはこの先、こうした支持を 得ることはできないだろう」と語った。

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