元切り上げでも米債急落は回避、一時4%乗せも-三菱東京の内田氏

三菱東京UFJ銀行市場営業部の 内田稔シニアアナリストは、米国債の最大の保有国である中国が人民 元の切り上げに踏み切った場合、一時的には米債相場の下落(長期金 利の上昇)要因となるものの、金融市場で懸念されている相場急落と いう事態は回避されるとの見方を明らかにした。

中国が元高容認に踏み切ると、元売り・ドル買い介入の規模が小 さくなる結果、外貨準備の伸びが鈍化しやすい。また、元高・ドル安 で中国保有の米国債に為替差損も生じるため、内田氏は「中国が米債 投資を手控えるとの思惑を呼びやすくなる」と指摘。このため、「米国 債の需給は若干悪化して、一時的に相場が下落してもおかしくない」 とし、米10年債利回り(26日終値は3.81%)は上昇、一時的に4% 台に乗せることもあり得るとの見方を示した。

ただ、内田氏は「利回りが上昇すれば、他の投資家が買いに入る」 として、相場は大崩れしないと述べた。その理由として、「米国債のよ うに格付けがAAAで、なおかつ市場規模など流動性が大きい資産は ほかにはない」点を挙げた。

また、財政悪化が懸念されるユーロ建て債の一部や英国債などは、 ソブリンリスク(国家の信用リスク)も意識されており、米国債に取 って替わる安全資産は見当たらないとの見方を示した。内田氏は23 日、ブルームバーグニュースとのインタビューに応じた。

米財務省の対米証券投資統計によると、2月の中国の米国債保有 額は前月比115億ドル減少して8775億ドルだったが、引き続き世界 最大の米国債保有国。中国が前回、元を切り上げた2005年7月21 日当時、これを嫌気した米国債相場は下落し、長期金利は4.27%と、 前日比0.11%も急上昇した。

元高は小幅、米債投資に影響なし

内田氏は中国の米国債投資について、「元切り上げに伴うドル安で 元本に為替差損が出ても、差損が運用資産の利息収入以下の範囲にと どまれば、賄える」と指摘する。

同氏によると、米国債(2年、5年、10年の各年限平均)の過去 10年の表面利率(クーポン)は平均で4%弱。内田氏は、中国が元高 容認に動いたとしても、元の上昇(ドルの下落)幅は年率3%程度と、 米国債の平均利回りを下回るだろうと予想。中国はインフレがよほど 加速しない限り、米債相場への影響を意識して元の上昇を小幅にとど めるとの見方を明らかにした。

ブルームバーグのデータによれば、1年物の元先物(ノンデリバ ラブル・フォワード、NDF)は、27日の日本時間午前8時現在、1 ドル=6.60元。現物相場の同6.82元と比べると、市場は年率3.3% の上昇を見込んでいる。

内田氏は06年5月から同行の市場営業部門のアナリストを務め、 今年からシニアアナリストとなった。特に中国など新興国通貨の分析 を中心に手掛けている。

    最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中
    LEARN MORE