【経済コラム】SECのゴールドマン提訴は買いのサイン-ドーフマン

【コラムニスト:John Dorfman】

4月26日(ブルームバーグ):米証券取引委員会(SEC)がゴー ルドマン・サックス・グループを提訴した後で、投資家は何をすべき だろうか。

わたしは今こそゴールドマン株の買い時だと考える。他にも選好 する金融機関が複数あるものの、まずはゴールドマンから始めたいと 思う。時価総額約860億ドル(約8兆1000億円)の同社は米銀最大手 であり、現在厳しい状況に置かれている。

SEC提訴で最終的にゴールドマンが勝訴するかどうかは不透明 だ。弁護士だとしたら、どちらの側の主張もできるだろう。

SEC側に立つとしたら、ゴールドマンは投資家に、価格が下落 するように作られたシンセティック(合成)債務担保証券(CDO) を組成・販売したと指摘する。同CDOでは、ヘッジファンド運営会 社のポールソンが反対取引を図り、組み込む証券を選定したとされて いる。

一方、ゴールドマン側に立つなら、重要なのはポールソンが証券 の選定で意見を述べたことではなく、そのリスクが適切に開示されて いたかどうかで、開示は適切に行われたとの主張を展開するだろう。

わたしは裁判前に両者が和解することはないとみており、大いな る興味をもって審理に注目するつもりだ。しかし投資家としては、ど ちらが勝つかは重要ではない。

裁判の行方は重要ではない

ゴールドマンが不正行為に関与したと判断が示されれば、ゴール ドマンの評判は損なわれるかもしれない。しかし同社はこの打撃を乗 り切れると考える。米石油会社エクソン(現エクソンモービル)のタ ンカー、エクソン・バルデス号が1989年に起こした原油流出事故でエ クソンの評判は傷付いたが、同社株のその後の21年間のトータルリタ ーンは約1000%に達した。

ゴールドマンが敗訴すれば、多額の制裁金を支払う必要が出てく る可能性があるが、マイクロソフトなど多くの企業がこうした打撃を 克服して業績を持ち直している。

ゴールドマンの収入と利益を振り返ってみよう。総収入は1995 年が45億ドル、2000年166億ドル、05年252億ドル、09年452億ド ルとうなぎ上りだ。利益も95年が13億ドル、2000年31億ドル、05 年56億ドル、09年134億ドルと極めて順調に伸びている。

このような高成長企業にふさわしい株価収益率(PER)はどの 程度だろうか。わたしは通常なら投資家が喜んで30倍ないしそれ以上 でも購入すると思う。

うなぎ上りの収入と利益

しかし現在は投資家が神経質になっていることから、PERはわ ずか6倍、株価売上高倍率(PSR)も1.5倍にとどまっている。こ れは格安に思える。

ゴールドマンの株価は約159ドルと、07年のピーク時の約247ド ルから3分の1も下げている。07-09年のリセッション(景気後退) と弱気相場、そしてSEC提訴がこの買いの好機を作り出したと考え られる。

懸念材料も存在することは確かだ。わたしが最も懸念するのは負 債資本比率が823%と、個人的に目安にしている100%を大きく上回っ ていることだ。

金融銘柄、特に証券会社では多額の債務は珍しくないが、危険性 がないとはいえない。米リーマン・ブラザーズ・ホールディングスや ベ アー・スターンズの例で明らかだ。

金融規制改革法のリスク

第2の懸念材料はもちろんSECの提訴だ。現在提案されている 金融規制改革法案で、高頻度取引や自己勘定取引、CDOなど同社の 高収益分野の一部が制限される公算が大きいからだ。

わたしはゴールドマンがどのような状況下でも、常に利益を上げ る方法を見いだせる創造的かつ意欲的で才能ある人材を集めてきたと 考えている。毎年必ず高収益を上げるとは言わないまでも、多くの年 は可能だろう。2年を超える期間を念頭に置くなら、ゴールドマンは 良い投資対象だと思う。わたし自身も先週、若干購入した。

米モルガン・スタンレーは選好しない。PERは46倍で、負債資 本比率は1391%と、ゴールドマンをはるかに上回っているからだ。米 チャールズ・シュワブも、PERが30倍でPSRが5倍と割高だ。

レイモンド・ジェームズに注目

それよりもわたしが選好するのは米金融会社レイモンド・ジェー ムズ・フィナンシャルだ。同社には証券と投資管理、バンキング事業 がある。わたしは同社の負債資本比率が64%と、証券会社にしては低 いことを評価している。PERは20倍だが、利益が一時的に落ち込ん でいるとみられることから許容できる。同社の株価は31ドル近辺で、 この価格では投資するつもりはないが、27ドル以下に下がった場合は 買いを推奨する。

米パイパー・ジャフレーは機関投資家向け証券仲介や投資銀行事 業を行っている。負債資本比率は85%と証券会社としては良好。PE Rは18倍、PSRが1.2倍で、約38ドルという株価はさしあたり適 正な評価かもしれない。アナリストは今後業績が改善すると予想して いる。

(株式保有に関する注記:わたしはゴールドマン、レイモンド・ ジェームズ、パイパー・ジャフレーの株を個人として、また顧客向け に保有している。このコラムで取り上げた他の銘柄のロングないしシ ョートのポジションを持っていない)。 (ジョン・ドーフマン)

(サンダーストーム・キャピタルの会長を務めるジョン・ドーフ マン氏は、ブルームバーグ・ニュースのコラムニストです。コラムの 内 容は同氏自身の見解です)

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