債券トレーダーは「インフレの死」を宣言、利回りは08年下回る水準

ここ数年政府の放漫財政を批判 してきた「債券自警団」が鳴りを潜めている。

バンク・オブ・アメリカ(BOA)メリルリンチのデータによ ると、ソブリン債利回りは1年前とほぼ同水準の平均2.385%で、 信用危機で投資家が国債の安全性を求めた2008年の平均3.08%を 下回る水準にある。米国やドイツ、日本を含む同指数構成の国債の 量は17兆4000億ドル(約1637兆円)と、2年前の13兆4000 億ドルから増加しているものの、借り入れコストは安定している。

国債増発は世界経済のリセッション(景気後退)脱却を支えた 一方、利回りからは経済成長によるインフレ加速を債券投資家は不 安視していないことが示されている。経済協力開発機構(OECD) 加盟30カ国の消費者物価指数(CPI)は変動の大きい食品とエ ネルギー価格を除いたコア指数が2月に前年同月比1.5%上昇と、 過去最小の伸びにとどまった。

ニューヨーク・ライフ・インベストメント・マネジメントで 1150億ドル相当の運用担当に携わるトーマス・ジラード氏は「イ ンフレが非常に落ち着いた状況であるため、中央銀行にとっては引 き続き静観して景気支援のための緩和策を追求する口実になってい る」と指摘。同氏はもはや米国債に弱気ではないという。

安定した債券利回りは、オバマ米大統領やメルケル独首相、ブ ラウン英首相、日本の鳩山由紀夫首相による財政赤字の穴埋めと景 気てこ入れを支援している。

米財務省によると、米国が09会計年度(08年10月-09年9 月)に支払った利払い費は3834億ドルと、前年度の4512億ドル から減少。対国内総生産(GDP)比は3.2%と、クリントン政権 で米国が財政黒字を計上していた10年前の4.6%を下回る水準。 米国債の需要は増加しており、米財務省による今年の10年債入札 の応札倍率は3.21倍と、09年の2.63倍や04-08年の2.41倍を 上回っている。

債券自警団とはインフレを招くような金融・財政政策に反発し て債券売りで抗議する投資家を指し、1984年にエコノミストのエ ドワード・ヤルデニ氏が名付けた。

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