【劇評】ミュージカル「エンロン」を元担当主任検事が鑑賞-高く評価

ニューヨークのブロードウエイ のブロードハーストシアターで上演中のミュージカル「エンロン」 のプレビューをエンロン事件を担当した元検察官、アンドルー・ワ イスマン氏が観劇した。

ワイスマン氏(52)は「ミュージカルを作ると聞いた時は冗談 かと思った」と振り返る。その2時間半後、これは創作劇だが、大 部分は悪名高い企業の破たんという事実に基づいたミュージカルだ として「エンロン」を称賛した。

ワイスマン氏は2005年7月まで検察官や米連邦捜査局(FBI) 捜査官らで構成する特別捜査チームを率い、破たんしたエネルギー 取引会社エンロンが関与した事件を捜査、起訴に持ち込んだ。今回、 ブルームバーグの招待でプレビューを鑑賞した。

脚本家のルーシー・プレブル氏はエンロンの物語を一種の悲劇、 つまりジェフリー・スキリング元最高経営責任者(CEO)が君臨 した企業が傲慢さゆえに内部から崩壊した物語として描いた。

事件の規模はキングサイズだ。01年12月2日、米国史上3番 目の大型破たんだった。その規模は08年のリーマン・ブラザーズ・ ホールディングス、02年のワールドコムに次ぐ。

魔法のような考え

ミュージカルはバブルのさなかの日々を生き生きと再現する。 ルシア・ストラスが演じる架空のアナリスト、シェリル・スローマ ンは、どう利益につながるのか理解できないにもかかわらずエンロ ン株を推奨する理由をこう説明する。

「飛行機に乗っていて、どのような仕組みで飛ぶか正確には分 からなくても飛ぶと思いますよね。席を立って『わたしは飛んでな い。どんな仕組みで飛ぶのか理解できない』などと言ったら変わり 者だと思われてしまうでしょ」。

この直後にエンロンが破たんしてしまうとこう言う。「飛行機が 飛べると信じていたことが飛べていた理由だ」。この時、ワイスマン 氏は「このせりふは上出来だ」とつぶやいた。

ノーバート・レオ・バッツ演じるスキリングは、レーザーによ る近視手術を受けトップに上り詰めるまでは、髪型は乱れ眼鏡をか けている。アンディ・ファストウ元最高財務責任者(CFO)は不 器用な野心家として描かれる。人といるよりは自ら「ラプター」と 名付けた特別目的事業体(SPE)にかかわっている方が落ち着く ようだ。

内部告発者は登場しない

01年4月に不正会計に関する文書をケネス・レイ元会長に渡し、 警告を発したシェロン・ワトキンス氏は劇中に全く登場しない。ワ イスマン氏は「立ち上がって問題提議したのは彼女だけだった。わ たしから見ればそれがこの事件の核心だ。声を上げたのがなぜたっ た1人だけだったのかという点だ」。

(この劇のウェブサイトに掲載されたインタビューでプレブル 氏は、観客が特定できるような真実を語るヒーローが登場する脚本 は書きたくなかったとし、「大部分の人々はそういうことはしないだ ろうし、私自身もそうだ。だから、内部告発者に関する筋書きは加 えたくなかった」と説明している)

ワイスマン氏は現在、法律事務所ジェナー・アンド・ブロック に弁護士として勤務しニューヨークを拠点としている。ここ数年の 金融危機とエンロン事件との因果関係はあまりないと考えている。

「今は個人による犯罪がないと言っているわけではない。ただ、 エンロンの場合はその中心部が腐敗していた」と語った。

ミュージカル「エンロン」はプレビュー中で、27日から上演開 始予定。公演情報:+1-212-239-6200; http://www.telecharge.com

(フィリップ・ボロフ氏はブルームバーグの芸術担当記者です。こ の記事の内容は同氏自身の見解です)

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