株式から超長期国債へ、生保がリスク縮小-三井住友海上・高野氏

三井住友海上火災保険投資部の高 野徳義グループ長は、保険会社の財務の健全性を測る基準が厳しくな ることに伴って、生命保険会社はリスク資産の株式から超長期国債へ 運用資金をシフトする流れが強まるとの見方を示した。

新発20年債利回りは19日に2.085%と約4カ月ぶりの低水準を 付けた。高野氏は、「保有債券を長期化する生保の買いに絡んで相場が 強くなっている」と指摘。過度の利回り低下は投資家の買いを慎重に させるとしながらも、「夏場にかけて買いがあぶり出されるかもしれな い」と述べ、昨年12月以来の2%割れの可能性もあると予想する。

金融庁は4月初めに保険業法施行規則の改正案を公表した。ソル ベンシー・マージン(保険金支払い余力)比率の算出で、国内株式の 価格変動リスクの係数を10%から20%に引き上げ、リスクを高くした 分、変動リスクが相対的に小さい債券に向かいやすくなる。国内債券 は1%から2%に小幅な上げ。2012年3月末の決算から適用されるが、 比率の開示は11年3月末から始まる。

高野氏は、「保有株が膨大な生保は今から行動を起こさなければな らず、売却資金が超長期債に流れることは明らか。負債側の終身保険 など予定利率が高いため、利回りが高い超長期債を増やさざるを得な い。ALM(資産と負債の総合管理)の調整が進められる」という。

ブルームバーグ・ニュースが大手生保各社に行った2010年度の運 用計画についての取材では、国内債を積み増し、保有債券の残存期間 (デュレーション)を長期化する方針が示される一方、国内株式は縮 小するなど慎重な対応が目立っている。

ソルベンシー・マージン比率の算出基準が厳格化された場合、生 保各社の比率は半減するとみられている。

時価会計とボラティリティ

一方、高野氏は、「国際会計基準による時価評価の流れが広がり、 バランスシートが市場価格の影響を受けやすくなる。債券投資も安穏 とはしていられなくなり、超長期債でも売買が活発化する可能性もあ る」と予想する。

高野氏は、「厳格な管理をしていくことで会計の透明性が高まる一 方、相場のボラティリティ(変動率)も高まり、市場参加者にとって リスク要因が増える。ここ1、2年は会計制度の影響で相場が想定外 の動きをすることが増えるだろう」と警戒する。

金融機関がリスク資産から安全な国債に傾斜する一方で、政府の 財政悪化によるソブリンリスクの高まりが意識されている。高野氏は、 「みんなが同じ方向のリスクを取ると、債券相場が売られたときの動 きが加速しやすくなる」と指摘している。

高野氏は、金利のデリバティブ商品を中心に現物債を含めて50 億-200億円程度のファンドを運用。1998年に入社して以来、一貫し て金利物のトレーディングを担当し、01年から投資部のグループ長を 務めている。トレーディング歴は前職の銀行員時代の91年からで20 年近くに及ぶ。

    最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中
    LEARN MORE