日本でも「悪い金利上昇」の確率80%、財政再建先送りなら-BNP

公的債務残高が国内総生産(GD P)の約1.8倍と先進国で最悪の日本が、財政再建に関する市場の信 認を失い「悪い金利上昇」に見舞われる確率は80%-。仏銀行大手B NPパリバは、鳩山由紀夫内閣は財政赤字の削減計画をさらに強化す る必要があると主張する。米国とユーロ圏はデフレに陥る恐れがあり、 利上げは2011年後半以降になると予想している。

BNPパリバ証券の河野龍太郎チーフエコノミストは21日、都内 で講演し、日本の財政再建と長期金利に関する3つの中長期シナリオ を提示。まず、民主党政権が7月の参院選までに市場の信頼に足る再 建案を打ち出し、財政リスクプレミアム(上乗せ金利)が抑制される 結果、長期金利が景気の実力を上回る「悪い」上昇に至らない確率を 20%とした。

次に、再建計画の先送りが市場の懸念を反映した長期金利の大幅 な上昇につながり、結局は政府が再建策の策定に追い込まれる可能性 を40%と予想。さらには、公的債務が歯止めなく増加しても、低成長 とデフレ、民間資金需要の低迷を背景に、長期金利が結果的に低位安 定するシナリオも確率40%とした。この場合「ある臨界点」を超える と、金利の急騰など「未曾有の危機」に襲われるという。

実際、世界的な金融危機後に巨額の公的債務を抱え、財政再建に 直面するギリシャでは10年物国債利回りが21日に8%を突破。域内 の指標とされるドイツ連邦債に対するプレミアム(上乗せ金利)は5% ポイントを超えた。ユーロの対ドル相場は一時1ユーロ=1.33ドル台 半ばに下落。3月25日につけた約10カ月ぶり安値1.3268ドルに近付 いた。

GDPの1.8倍、信認

日本政府が6日まとめた中期的な財政運営に関する論点整理によ ると、国と地方の長期債務残高は10年度末に862兆円と、国内総生産 (GDP)の181%に達する見通し。河野氏は21日の投資家向けセミ ナー後、ブルームバーグ・ニュースに対し、政府・与党は財政への信 認を高めるべく「さらに努力していく必要がある」と語った。

財政赤字は今のところ、国内の貯蓄が吸収。日本銀行によると、 海外勢の保有比率は昨年12月末時点で6.2%にとどまる。ただ、家計 の金融資産1456兆3740億円から負債を差し引いた純金融資産は1086 兆8868億円。公的債務を国内で消化できる余地は徐々に縮小している。

同セミナーで、BNPパリバの米国担当チーフエコノミスト、ブ ライアン・ファブリ氏は「米国経済は完全に回復局面に入った」と発 言。ただ、大幅な供給超過の需給ギャップを抱え、潜在成長率を下回 る回復にとどまるとも予想。消費者物価指数(CPI)の基調を示す、 食料品やエネルギーを除いたコアインフレ率が「来年半ばにはゼロ% へ」低下し、「デフレの可能性も若干ある」と分析した。

米利上げは11年後半

米連邦準備制度理事会(FRB)は、年内は利上げせず「11年の 後半から、非常に慎重に」政策金利の引き上げを始めると予想した。 米財政赤字は「今後10年間続き、19年頃には残高がGDP比100%に 達する」との見通しも示した。

欧州担当エコノミスト、アラン・クラーク氏は、ユーロ圏経済は 緩慢な回復にとどまると分析。コアインフレ率は今年末頃0.5%程度 に下がった後、「ゆっくりとマイナス領域に入っていく」と予想した。

欧州中央銀行(ECB)は、金融危機に対応した非伝統的な政策 は終えていくが、利上げは「11年10-12月期までしないと固く信じ ている」と述べた。ECBはFRBの後に利上げを始める事例が多い、 とも指摘した。

このため、米欧の金融政策見通しを背景に米国債利回りがドイツ 国債を上回り、ユーロ安・ドル高が進むと予想。ユーロは「デフレで 実質金利が高い日本の円に対しても下落するだろう」と語った。

ギリシャ「失われた10年」も

河野氏は、過去30年の例では「信用バブルが崩壊した国は通貨が 下がり、輸出主導で経済が再生した」と指摘。1990年代前半のバブル 崩壊後に円高に苦しんだ日本が唯一の例外だと述べた。

ところが、足元で財政悪化に直面するギリシャやポルトガル、ア イルランドは、日本の「失われた10年」を後追いする可能性があると いう。これらのユーロ導入国は、通貨安による輸出競争力の向上を図 れないため、代わりに国内物価の下落で対応するしかないと説明。デ フレは債務の実質的な返済負担を増す面があるため、さらなる窮地に 陥る恐れもあるとの見方を示した。

クラーク氏は、ギリシャのユーロ離脱は考えにくい半面、ポンド 安で輸出増を図れる英国は当面「ユーロに参加しないと確信している」 と述べた。

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