日本企業の韓国上場ことし5社も、成長と市場後押し-大宇証(訂正)

韓国最大手の総合証券会社である 大宇証券によると、同国市場に株式を新規公開(IPO)する日本企 業は昨年の1社から、ことしは5社程度になりそうだ。日本の景気が 成熟化し、海外に商機と資金調達を求める企業が増えているほか、2008 年秋の世界的金融危機以降の韓国株の順調な戻りも、こうした動きを 後押ししている。

大宇証の常務で、投資銀行事業部長を務めるチョン・ガブリエル (丁泰榮)氏はこのほど、ブルームバーグのインタビューに応じ、「日 本企業は成長力のある市場を求め、海外に活路を見出し始めている。 上場は必ずしも東京でなくても良くなっている」と述べた。

韓国取引所に上場している外国企業は現在12社。内訳は中国が 11社、日本が1社。チョン氏によると、上場外国企業は10年末まで に30社程度に増加、日本企業は5社増えると想定している。

昨年4月、ジャスダック市場に上場するネプロジャパンの子会社 で、インターネット広告会社のネプロアイティが日本企業としては初 めて韓国取引所に上場した。主幹事はサムスン証券。また今年夏には、 第2号銘柄としてネット証券のクリック証券が上場する見通しだ。今 年上場が見込まれる日本企業5社のうち、クリック証を含む2社を大 宇証が手掛けている。

クリック証経営企画部の兵頭一摩部長は、自己資本増強のため日 本での上場を検討していたが、FXのレバレッジ規制などをきっかけ に海外上場を検討し始めたと説明。今後については、「韓国でのビジネ ス展開を準備している。上場で知名度が上がるため、上場をきっかけ に準備に弾みが付きそう」としている。同社は株式公開を通じ、数十 億円の資金調達を見込む。

大宇証では、日本企業の韓国市場へのIPO業務を強化しており、 チョン氏は「当面は年間1-2社の日本企業のIPOを手掛けていく」 と話した。

韓国のIPO調達額は日本の5倍

09年の日本のIPO社数は19社と、前年から6割減った。資金 調達額は約540億円と、過去最高だった2000年の約30分の1に落ち 込んだ。一方、09年の韓国のIPO社数は66社。資金調達額は約2880 億円に達し、日本の約5倍だ。昨年1年間で韓国総合株価指数 がおよ そ5割上昇したのに対し、TOPIXの上昇率は5.6%だった。

チョン氏は、「韓国市場は豊富な流動性があり、IPOの後に転換 社債などの追加的なファイナンスを行ったり、多様なファイナンスを 行うことができる。企業にとってかなり魅力がある」と言う。韓国取 引所では、05年に海外企業の上場を認める方針に変更した。

韓国の運用会社ユリ・アセット・マネジメントのファンドマネジ ャー、ユ・ジェチョル(庾載哲)氏は「日本企業は中国企業に比べ情 報開示の信頼性があるので、韓国に上場し、もし値段が良ければ買っ ても良い。成長性の面からプレミアムが付くとは思えないが、韓国市 場の安定感が日本企業にとって魅力なのかも知れない」と述べている。

IPO動向に詳しい東京IPOの西堀敬編集長は、「日本企業のアジ ア市場へのIPOは増えるだろう。日本企業が、国内だけで成長する ことはもはや限界」と指摘。ビジネスの現場で資金調達をし、投資を することが必要になってきており、今年は海外資金調達の「元年」に なるだろうと予想する。

大宇証は1970年の設立、投資銀行業務や仲介(ブローカー)営業 業務などで国内シェアはトップだ。08年度(08年4月-09年3月) の韓国市場のIPO業務のシェアは、約21%で首位。韓国の大手証券 会社には、現代(ヒュンダイ)証券、ウリ投資証券、三星(サムスン) 証券などがある。

--取材協力:西沢加奈  Editor:Shintaro Inkyo

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