奥全銀協会長:新資本規制「邦銀には厳しい」-貸出余力低下も

全国銀行協会の奥正之新会長(三井 住友銀行頭取)は、自己資本の質を重視する国際的な新自己資本比率規 制について「邦銀にとっては大変厳しい」と、現在の自己資本では貸出 余力の低下につながると懸念を表明。国別の事情に配慮し、繰り延べ税 金資産なども状況に応じて主要な資本とみなすよう対応を求めた。

バーゼル銀行監督委員会が昨年12月に公表した新規制案では、金 融危機を教訓とし銀行などに、普通株と内部留保に限定した質の高いコ アTIER1(狭義の中核自己資本)の確保を求めている。数値基準は 未定だが、昨春の米当局によるストレステスト(健全性審査)ではコア TIER1比率は4%だった。詳細は年末にも決まる予定だ。

20日付で全銀協の会長に就任した奥氏(66)は、ブルームバーグ・ ニュースのインタビューに答え、新たな規制作りについて「規制当局が 経済のことを考えずにやっていいのか」と強調。こうした新基準案を大 手邦銀にそのまま適用すれば資本不足となる可能性があり、企業に資金 が回らなくなると指摘した。

奥氏は邦銀の資本について「量はあるが質が足りない。そこを狙い 撃ちされたような感じだ」とバーゼル委員会など国際規制当局に不満を 表明。その上で「資本からの控除項目を認定する上で税制など各国固有 の事情を考慮してほしい」と、不良債権を有税償却して積み上がった繰 り延べ税金資産なども的確に資本に算入できる基準作りを求めた。

郵貯・全銀システム見直しも

銀行再編に発展した不良債権抜本処理以降の大手邦銀の資本調達 は、1株当たり利益の希薄化を招かない優先株などが中心だった。UB S証券の試算によると、コアTIER1(連結)は昨年末時点で三菱U FJ5.78%、三井住友(1月の増資を加味)は4.50%、みずほは1.29% となっている。新規制は2012年から段階的に導入される予定。

奥氏は全国一律サービス提供のコスト吸収へゆうちょ銀行などの 業務拡大を促す亀井静香担当相主導の郵政改革案は、「官の肥大化で話 が違う」と民営化に備えていた前提が崩れたと指摘。昨年1月にゆうち ょ銀と接続した全銀システムについて「話が違うことをやってもいいと いう考えも出てくるかもしれない」と契約見直しに含みを持たせた。

亀井担当相はゆうちょ銀の預入限度額を2000万円に引き上げる代 わりに民間銀行などのペイオフ(預金払い戻し)保証額を同額まで引き 上げる案を示した。これについて奥氏は「ペイオフは少額預金の保護が 趣旨であり、郵貯限度額との連動では筋が違う。銀行、預金者双方のモ ラルハザード(倫理の欠如)を助長しかねない」と懸念を示した。

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