ポーランドの歌姫、タクシーでロンドンに移動-芸術界にも噴火の影響

ポーランドのオペラ歌手、アレク サンドラ・クルザックさんは、舞台衣装が約1000マイル(約1600キ ロメートル)かなたにあることに気付いた。時刻は現地時間15日午後 6時だった。

クルザックさんはポーランドの首都ワルシャワにいた。ロッシーニ 作曲の喜劇「イタリアのトルコ人」のフィオリッラ役で身に付ける予定 のその衣装は、ロンドンの王立オペラ劇場にあった。火山噴火の影響で 発生した雲が彼女と衣装を隔てていた。

アイスランドの火山噴火による火山灰の影響で空の便が乱れ、俳優 や歌手など演者たちも世界各地で予想外の足止め状態となっている。オ ランダを拠点とするニーウ・アンサンブルは香港で足止めされ、同国の アスコ・アンサンブルもニューヨークから近日中には出発できない状 態。

ドイツのアンサンブル・モデルンはまだトルコのイスタンブールに とどまっており、ドレスデン・フィルハーモニー管弦楽団はスペインの バルセロナでの演奏会の後、帰国を試みたがマヨルカ島で立ち往生して いるという。

ポーランド南部のカトウィツェで出会ったポーランド人のタクシー 運転手がクルザックさんと衣装を再会させてくれた。クルザックさんは 「同じくロンドンに向かわなければならないソプラノ歌手のジョアン ナ・ウォスさんを乗せ、15日の深夜に出発した」と振り返る。「タク シーで19時間かけて16日午後5時にロンドンに到着。滞在先に立ち 寄り衣装を着替える時間がぎりぎりある状態で、7時半からの舞台に立 った」。

アドレナリンのなせる技

クルザックさんによると、公演はうまくいった。「優に24時間は 起きていたけど、アドレナリンのなせる技だったと思う」と話す。

フェリー代金も含めた旅費は250ユーロ(約3万1000円)。「そ の運転手はいずれにしてもロンドンに向かう予定だったし、他人の不幸 を食いものにするようなことは望まなかった。心温まる出来事だった。 最終公演が終わったら、またポーランドまで送ってくれるよう頼んでい る」と語った。

(トンプソン氏とアプソープ氏はブルームバーグ・ニュースの批 評家です。この記事の内容は、両氏自身の見解です)

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