ローム社長:iPad、3DSで恩恵、今期業績上積みも

半導体製造、ロームの2011年3月 期の業績は、今年発売される米アップルの多機能携帯端末「iPad (アイパッド)」や任天堂の新携帯ゲーム機「ニンテンドー3DS(ス リーディーエス、仮称)」など大型商品の効果で例年の水準より押し上 げられる可能性がある。

沢村諭社長が19日、京都市にある本社でのインタビューで明らか にした。沢村氏は足元の電子部品の受注が「思った以上に好調に入り だしている」と引き続き順調なことを強調。パソコンや液晶テレビな どに加え、スマートフォン(多機能携帯電話端末)が市場を引っ張っ ていると述べた。

それに加え、iPadやニンテンドー3DSなど人気の高い新製 品が今期に集中的に投入されることで、「売り上げを伸ばさせていただ けるのは確かだと思う。大いに期待している」と業績の上振れ要因に なるとの見通しを示した。沢村氏はロームにとってアップルと任天堂 は「大きなお客さん」で部品を供給していることは認めたが、部品の 用途や取引の規模などについては明らかにしなかった。

ロームの10年3月期の業績予想は、リーマンショック後の電子部 品の世界的な需要急減からの回復を受け、売上高が前期比5.3%増の 3340億円、営業利益は同90%増の200億円。ブルームバーグ・データ によると、アナリスト16人の11年3月期売上高予想中央値は前期の 会社予想比7.8%増の3600億円、営業利益は同103%増の405億円。

任天堂の豊田憲広報室長は、部品をどこから調達しているかにつ いてコメントしないとの会社方針を理由にコメントを控えた。アップ ル広報担当のジル・タン氏(香港在住)のコメントは得られなかった。

「今年は良い方向」

東海東京センターの広瀬治アナリストは、「目立った商品が出てこ なかった昨年までに比べれば、新しい物が出てくる今年は良い方向に 進むだろう」との見方を示した。

ロームの株価は一時、前日比180円(2.6%)高い7040円まで上 昇したが、その後は売りに押され終値は同10円(0.2%)安の6850円。 年初の株価からは10%上昇している。

アップルは14日、今月3日の米国でのiPad発売から1週間で 50万台以上出荷したことを明らかにしたうえで、販売ペースが予想を 上回っているため、米国外での発売開始を当初予定より1カ月延期し て5月末に変更すると発表した。

一方、任天堂は3月、裸眼で3D(3次元)映像によるゲームを 楽しめるニンテンドー3DSを11年3月期に発売すると発表。米国任 天堂のレジー・フィセメ社長は12日のインタビューで、3DSのデビ ューは任天堂がゲームボーイからDSに移行した時と同じような状況 と例え、「新製品ニンテンドー3DSは次の携帯プラットフォームとな る」と話した。同社ウェブサイトによれば、04年11月のDS投入以降、 販売台数は1億2500万台を超えている。

広瀬氏は、ロームはこれまで任天堂に音声変換や画像処理の部品 を納めてきたとし、任天堂の3DSは「詳細が出ていないので外部か らは判断が難しいが、会社側(ローム)がプラスにみているのであれ ば、ある程度、寄与できるのだろう」と述べた。さらにアップルのi Padについては、「プロモーションが上手な会社なので、台数はかな り伸びるだろう」とみている。

また、独立系調査会社ティー・アイ・ダヴリュ(TIW)の服部 隆生アナリストは、ロームがiPadや3DSに部品を供給すること について市場関係者が「全員が絶対に知っているという話ではない」 と述べたうえで、「増収率が増えると利益の拡大余地も出てくるため、 iPadや3DSの実際の売れ行きに注目したい」と話した。

三洋の半導体事業「対象でない」

ロームは08年に情報通信機器メーカーのOKI(沖電気工業)の 半導体事業を買収。昨年も米国とドイツのメーカーを立て続けに買収 するなど、合併・買収(M&A)戦略を加速させている。

創業以来、半世紀以上にわたって経営トップを務めた佐藤研一郎 氏の後を継いで4月に社長に就任した沢村氏は、ロームにない技術を 持っている企業やシナジー効果が見込める企業へのM&Aについては 今後も「積極的にやっていきたい」と話した。

ロームはパナソニックに買収された三洋電機の半導体部門の売却 先候補として名前が挙がっていると、フィナンシャルタイムズが07年 に報じていた。三洋の半導体事業について沢村氏は、現時点では「ロ ームの手がける事業と重なる部分があり、私としては対象ではない」 と述べた。

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