ユーロ下落、ギリシャ懸念再燃で対円1週間ぶり安値―円は全面高

東京外国為替市場ではユーロが 下落。ギリシャ問題をめぐり、米証券会社がドイツのユーロ圏離脱を 警告したとの英紙報道などが売り材料となり、対円では1週間ぶり 安値を付けた。

ユーロは対円で1ユーロ=126円台前半から一時、125円6銭ま で下落。対ドルでは1ユーロ=1.35ドル台後半から一時、4営業日 ぶり安値となる1.3514ドルまで値を下げた。

ドイツ証券の深谷幸司シニア為替ストラテジストは、ギリシャ問 題について「救済案が決まっても、例えば緊縮財政をやらなければな らないし、経済的な意味でのプレッシャーは続くので、金繰りがつい たから大丈夫というものでもないだろう」と指摘。「ユーロの問題は 長引く可能性があり、まだ上値の重い展開が続きそうだ」と語った。

一方、円は主要16通貨すべてに対して前日終値から上昇した。 日本株やアジア株が軟調に推移したため、リスク回避に伴う高金利通 貨売り・円買いが強まった。中国の人民元切り上げや預金準備率引き 上げに対する警戒感も円を支えた。

ドル・円相場は1ドル=93円台前半から一時、92円53銭と3 月30日以来、約2週間半ぶりの水準までドル安・円高が進行。サン フランシスコ連銀のイエレン総裁は15日、米経済が「正しい軌道に 乗っている」との確信を一段と強めていると述べた一方、米国の財政 赤字に強い懸念を示した。

不安再燃

英紙テレグラフは、米モルガン・スタンレーがギリシャの債務危 機が一連の出来事を引き起こしており、ドイツのユーロ圏からの離脱 を引き起こす恐れがあると警告した、と伝えた。同社は、ギリシャ救 済は欧州の金融システムの危機回避のために必要かもしれないが、そ れは将来のより大きな問題の種をまく恐れがあると指摘した。

ユーロ圏財務相によるギリシャ救済の条件合意を受け、週明け以 降、外国為替市場ではユーロの買い戻しが進む場面も見られたが、 15日には10年物ギリシャ国債とドイツ国債のスプレッド(利回り 格差)が急拡大するなどギリシャ不安が再燃。この日の東京市場では、 テレグラフの報道を手掛かりにユーロ売りが加速する展開となった。

ギリシャ政府のドル建て国債発行計画に対する疑念が生じたこと もユーロ売りを後押しした。時事通信によると、ギリシャ公的債務管 理庁(PDMA)のクリストドゥル長官はインタビューで、支援枠組 み合意後も市場の緊張が続いていることについて不満を示し、20日 以降に米国でギリシャ国債に関する投資家説明会を実施した後も「ド ル建て国債を発行するかどうかは分からない」と語った。

みずほコーポレート銀行国際為替部のマーケット・エコノミスト、 唐鎌大輔氏は、「そもそもギリシャ問題が根本的に解決したとは思っ ていなかった」といい、「ユーロはショートカバー(買い戻し)を繰 り返しながら下値を切り下げていく展開が続くとみており、それが結 局、ドル・円の下押し圧力になっていく。今もそういう局面だ」と話 していた。

人民元切り上げを警戒

アジア開発銀行(ADB)の李鍾和チーフエコノミストは16日、 ブルームバーグ・ニュースとのインタビューに応じ、中国の人民元に ついて、かなり過小評価されていると述べた上で、中国当局による人 民元相場の早期の柔軟化が望ましいとの考えを示した。さらに、中国 はファンダメンタルズ(経済の基礎的諸条件)を反映した為替制度に 戻すべきだと語った。

ドイツ証の深谷氏は、「人民元切り上げはともかくとして、中国 が預金準備率を引き上げるとの観測があり、景気減速懸念からオース トラリア・ドルなど資源国通貨にとってネガティブに作用していると ころがある」と指摘。その上で、「ユーロはギリシャの話があるし、 ドルも失業保険申請件数の増加で米金利先高観がやや後退している。 円は特に買う材料はないが、失点がないということで消去法的に買わ れている」と説明していた。

円はオーストラリア・ドルに対して前日終値比で約0.8%上昇。 ポンドに対しては同1.2%高となっている。

    最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中
    LEARN MORE