米国債:上昇、失業保険申請の増加で-労働市場に懸念

米国債相場は上昇。先週1週間 の米新規失業保険申請件数が予想外に増加し、2月20日終了週以来 の高水準となったことから、米景気が回復しつつあるものの労働市 場に改善の兆しは見られないとの見方が広がった。

10年債は下落する場面もあった。米鉱工業生産指数が3月に上 昇したほか、ニューヨーク地区の4月の製造業活動が予想を上回る ペースで拡大したことが背景。海外投資家による中長期の米国債の 買越額は3カ月連続で減少した。

エスピリート・サント銀行の米金利トレーディング責任者、グ レゴリー・ファラネロ氏は、「経済指標が強弱まちまちでも背景にあ る労働市場が脆弱(ぜいじゃく)なため、この水準付近なら国債に はまだ強い需要がある」と指摘。「インフレの落ち着きや脆弱な雇用 情勢に対し、力強い製造業の指標が示されるなか、何らかのファン ダメンタルな変化が起こらない限り、国債は10年債利回り3.8- 4%のレンジでの取引となるだろう」と述べた。

BGキャンター・マーケット・データによると、ニューヨーク 時間午後4時38分現在、10年債利回りは前日比2ベーシスポイン ト(bp、1bp=0.01%)低下の3.84%。この日は3.82-3.89% のレンジでの取引となった。同年債(表面利率3.625%、2020年 2月償還)価格は5/32上げて98 8/32。

「引き続き不安材料」

米労働省が発表した10日に終わった1週間の新規失業保険申 請件数(季節調整済み)は前週から2万4000件増加して48万4000 件だった。これは2月20日終了週以来の高水準。ブルームバーグ・ ニュースがまとめたエコノミスト予想の中央値は44万件だった。

クレディ・スイス・グループの金利ストラテジスト、カール・ ランツ氏は、「成長を示す指標は一段と好調だが、失業保険申請件数 が雇用の増加と一致する水準にまで減少していないことが引き続き 不安材料だ」と指摘。「労働市場はまだエンジンを全開にしていない。 その状況にはまだ程遠い」と述べた。

米連邦準備制度理事会(FRB)が発表した3月の米鉱工業生 産指数(製造業、鉱業、公益事業の生産を対象、季節調整値、2002 年=100)によれば、製造業生産指数は0.9%上昇した。前月は0.2% 上昇に改定された(速報値0.2%低下)。

モルガン・キーガンの債券セールス・トレーディング・調査責 任者、ケビン・ギディス氏は顧客向けリポートで、国債市場は「『綱 引き』ゲームをしているようだ。一方は景気回復の力強さを確信す るグループで、もう一方は世界的な金融混乱により国債の安全需要 は続くことを確信するグループだ」と記述。「この堂々巡りにより、 利回りの急上昇は抑えられている」と続けた。

「強力な薬」

アトランタ連銀のロックハート総裁は、景気回復を促進させる ためにはなお低金利が必要であり、金融引き締め策を早過ぎる段階 で実施することはリスクをもたらすとの見解を述べた。

ロックハート総裁はフロリダ州ペンサコーラで講演。講演原稿に よると、同総裁は「金融引き締めのプロセスに早過ぎる段階で着手 するのはリスクが伴う。個人的な見解では、本来漸次的な調整プロ セスを促すには低金利という強力な薬を継続すべきだ」と続けた。

米財務省が発表した2月の対米証券投資統計によると、外国の 政府と投資家による中長期の米国債取引額は481億ドルの買い越し、 前月の614億ドルの買い越しから減少した。

中国は引き続き世界最大の米国債保有国だが、保有額は前月比 115 億ドル減少して8775億ドルだった。Tビル(財務省短期証券) の保有が27%減少の418億ドル。一方、期間の長い国債の保有額は

0.5%増えて過去最高の8357億ドルとなった。

一部投資家の間では、米財政赤字の持続可能性について懸念が 浮上している。同赤字水準は過去最大となった昨年の1兆4000億 ドルに接近しているためだ。オバマ米大統領の下、市場で取引され る米国債の総額は7兆7600億ドルと記録的規模に拡大した。

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