富士通:野副氏辞任は社長としての「適格性に問題」-見解

富士通は14日夕、昨年9月25日 の野副州旦氏の辞任について、トップとしての「適格性の問題」だっ たとする見解を示した。間塚道義会長らが本社での会見で表明したも ので、野副氏に密室で社長辞任を迫ったとの見方も明確に否定した。

発表文は、野副氏が子会社ニフティ売却交渉に関連し「好ましく ない風評のあるファンドの関与を考えていた」と経緯を説明。同ファ ンドについては、複数の金融機関や調査会社から「反社会的勢力との 関係が疑われるなど好ましくない」とする報告を受けたため、秋草直 之取締役相談役(当時)が昨年2月、野副氏に対し、同ファンドをニ フティ案件から外すよう注意したとしている。

富士通は、野副氏がそれを理解したにもかかわらず、その後も同 ファンドの代表者と連絡を取り合っていたことが、社長として「不適 格」と判断したという。間塚氏は「反社会的勢力の関係が疑われる企 業と、当社の代表取締役が関係すべきではない、との経営判断だった」 と述べた。

しかし、富士通の代理人を務める井窪保彦弁護士は、当該ファン ドが反社会的勢力に関係があるとの「疑い」の根拠となる調査結果に ついて「第三者に迷惑をかける可能性があるため、裁判以外の場では 公表できない」と詳細を説明しなかった。

調査委つくらず-逆提訴も

野副氏は7日の記者会見で「反社会的勢力と関係ある人たちと付 き合いがあるという虚偽の理由で辞任を強要された」などと主張。「密 室で社長が解任される異常事態が起きた結果、各分野で会社に損害が 生じている」と、同社の役員2人に株主代表訴訟などを起こす意向を 表明、真相究明に向け調査委員会の設置も要求していた。

これに対し、富士通は「当社として、特定の企業・個人を反社会 的勢力と言ったことはなく、反社会的勢力と関係があると断定した事 実もない」と真っ向から反論。さらに「取締役会を無視し密室で辞任 を迫った事実はない」と、9月25日の取締役会の直前に一部のメンバ ーで野副氏に辞任を要請し、本人も同意したとしている。

また、間塚会長は「外部の人による調査委を設ける考えはない」 と言明。野副氏の提訴表明を受けて、富士通が野副氏に対し逆提訴を 起こす可能性を問われ「そういうことも含めて検討していきたい」と 答え、争う姿勢を示した。

地位保全要求取下げは「疑問」

一方、野副氏は3月15日、横浜地裁川崎支部に対し取締役の地位 保全を求める仮処分を申し立てたが、2回の審尋を経た4月6日の結 審日に取り下げた。野副氏の代理人を務める畑・植松法律事務所の畑 敬弁護士は「富士通が提出した資料を精査するために時間が必要と要 求したが、審尋が打ち切られたため取り下げた」としていた。

これについて、富士通は、昨年9月に野副氏に辞任を求めた際の 録音データや調査結果などを裁判所に提出しており、「取り下げは非常 に疑問」と反論。「客観性・公正さが担保された、究極の外部調査委員 会」である裁判所の判断を仰ぐべきだったと主張した。

その上で、野副氏が7日の会見で「経営復帰を求めているわけで はない」と発言した点をとらえ「事実に反する主張をしている」と非 難した。

これに対し、畑弁護士は14日夕、ブルームバーグ・ニュース の取材に「富士通は野副氏に対し、某ファンドは『反社会的勢力と関 係がある』ため富士通が上場廃止になる恐れがあるとも言っていた」 と、富士通は「疑いがある」との表現ではなく断定したと説明。「これ をきょうの会見で否定しているのならば、でたらめだ」と語った。

理由訂正で「深くおわび」

富士通は、野副氏の辞任理由を昨年9月25日に「病気療養」と発 表。ところが、今年3月6日になって「好ましくない風評」のある企 業グループとの関係に訂正した。

異例の訂正を受け東京証券取引所は3月9日、富士通の昨年9月 時点の開示が「適正性に欠けていた」と判断、厳重注意した。同社は 14日の見解にも、株主・投資家や東証など「多くの関係者に迷惑をか け、深くおわびする」と謝罪の意を盛り込んだ。

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