富士通の岡田氏:半導体の今期黒字化に自信-5年ぶり

富士通の半導体子会社「富士通セ ミコンダクター」の岡田晴基社長は12日、2010年度(2011年3月期) の収益見通しについて「営業損益で100億円の黒字化を達成できる」 と自信を示した。09年度は約150億円の赤字を見込むが、大幅な費用 削減効果と半導体需要の回復で、通期では5年ぶりの黒字となる。

岡田氏は12日のブルームバーグ・ニュースとのインタビューで、 需要のバロメーターである工場の稼働率について、昨春は一時30- 40%台に落ち込んだが「1-3月期は平均で86-87%程度に回復した」 と説明。半導体事業の売上高も、09年度見込みの約3000億円を底に 反転するという。業界団体の世界半導体統計(WSTS)の予測でも、 10年の世界市場は前年比12.2%増と回復する見通し。

富士通の半導体の売上高は、07年度の5000億円超をピークに年々 減少している。事業規模に合わせた費用構造にするため、2年間で約 800億円の固定費用を削減する方針を発表した。岡田氏によると、09 年度は生産ライン集約や人員再配置などで約650億円を達成する計画 だったが、実際は約700億円を達成。10年度は約100億円を減らす予 定で、岡田氏は「構造改革は順調に進んでいる」と述べた。

同社はシステムLSI(大規模集積回路)メーカーで、米ハイテ ク調査会社アイサプライによると09年の世界ランキングで23位。岡 田氏は、注力分野を①スーパーコンピューター関連②デジタルカメラ など民生機器関連③自動車関連④携帯電話関連-の半導体だと説明し た。

成長が期待される次世代パワー半導体の事業に参入する計画も示 した。機器の省エネに貢献する同パワー半導体は窒化ガリウム(GaN) を用いて開発、5月にサンプル出荷を開始し、来年に量産を開始する という。

設備投資は抑制

富士通の半導体事業は08年3月に分社した。事業縮小で投資余力 も少なくなる中、自前で最先端の技術開発と生産を継続するのは困難 と判断。先端半導体の量産拠点である三重工場では、第1棟に約1600 億円、第2棟に約1200億円を投じたが、巨額投資が収益の足かせとな り、08年度までの減損処理につながった。このため分社後は、設備投 資を最小限に抑え、設計と開発に集中する「ファブライト」戦略に転 換している。

新戦略では、半導体ファウンドリー(受託生産)の世界最大手の 台湾積体電路製造(TSMC)と提携。先端品の製造の一部をTSM Cに委託することで、設備投資の大幅カットを可能にした。

岡田氏は、ピーク時は年1000億円程度だった設備投資の予算を今 後は年150億円程度に絞る一方、設計・開発などには年700億円程度 を割き、「商品力を強化したい」と強調。具体的には「商品を設計する 初期段階からコストマネジメントを徹底することで、安定的に利益を 出し続けられる体質にしていく」と語った。

富士通の12日終値は前週末比7円(1.1%)高の629円。

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