CPと国債の「官民逆転」、本格的な解消へ-日銀が企業支援を縮小

短期金融市場では、企業が発行す るコマーシャルペーパー(CP)の金利が短期国債利回りを下回る「官 民逆転」が本格的な解消に向かうと関係者はみている。日本銀行が企 業の発行するCPを担保にした資金供給を減らしているのに伴い、C P金利を下げる買い圧力が弱まるためだ。

CPは国庫短期証券(TB)より信用力が低いため、TB利回り を上回る金利水準で売買されるのが一般的。だが、2008年秋のリーマ ンショック以降に日銀が実施した企業金融支援を背景にCP金利が低 下した。昨年10月から11月にかけては、格付けが最上位から2番目の 企業のCP金利さえTBを下回る官民逆転が度々生じていた。

こうした官民逆転は今年に入って解消されつつある。東短リサー チの関弘研究員は、「CPを担保に思い通りに資金を調達できる状況が 終わり、官民逆転はようやく解消していく。企業の資金繰りの環境自 体は大幅に改善しており、過剰な支援の終了による金利水準の正常化 だ」と指摘する。

企業金融の改善を受けて、日銀はCPなどを担保として3カ月物 の資金を無制限に貸し出す企業金融支援特別オペを今年3月に終了し た。また、CPを日銀が一定期間買い取る買い現先オペの残高は一時 2兆8000億-3兆円程度だったのが、現在は1兆1000億円程度と08 年10月以来の低水準となっている。

東短リサーチの関氏は、CPを介した資金調達は「日銀に頼らず 市場から自力で資金を調達する本来の姿に戻る必要に迫られている」 という。

日銀が大企業200社を対象に実施したCP発行に関する3月調査 によると、発行が「楽である」と答えた企業の数から「厳しい」と答 えた企業の数を差し引いた判断指数(DI)はプラス32と昨年末から 8ポイント改善し、08年以降の最高値となった。金融危機下にあった 08年12月のマイナス55に比べて大幅な改善だ。

金利上昇圧力

日銀は、企業金融支援特別オペを終了する際の資金不足を補うの と同時に、ターム(期日)物金利の一段の低下を促すため、0.1%で貸 し出す新型オペで3カ月物の資金供給を20兆円まで拡大した。

都市銀行のCPディーラーは、日銀が特別オペから新型オペに変 更したことで、3カ月物の資金が確保しづらくなくなったと話す。ま た、CP市場で人気の高い3カ月以内の資金供給オペが減り、民間銀 行の企業に対する貸し出しの基準金利である3カ月物のTIBOR (東京銀行間貸出金利)に押し下げ効果が出ている半面、CP金利に は上昇圧力がかかりやすいという。

一方、短資会社のディーラーは、投資家からのCPの発行金利に ついての問い合わせが増えていると指摘する。CP金利の上昇に伴い、 投資信託や生命保険、損害保険保、地方銀行などの投資家が値ごろ感 から購入を検討し始めているという。

CP発行減少

しかし、企業側は投資家のリスク許容度の改善に伴い、社債など での資金調達も可能となり、CPの発行を減らしている。

3月末のCP発行残高は、14兆1186億円と取引方式が電子CP に移行した05年以降で最低を記録した。一方、09年度の普通社債の 発行額は10兆3002億円(日本証券業協会)と過去2番目の高水準を 記録しており企業が資金調達の期間を短期から長期にシフトしている ことが分かる。

東短リサーチの関氏は、「金融危機の経験を経て、企業は社債発行 による資金繰りの安定化や増資による財務基盤の強化を進めた」と分 析する。「設備投資資金や運転資金の需要も底を打ったにすぎない」と してCPの発行量は緩やかな増加にとどまり、金利の上昇圧力は限定 的との見方を示している。

--取材協力 上野孝司 Editors:Hidekiyo Sakihama, Hidenori Yamanaka,Takeshi Awaji

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