三菱電機の山西・新社長:成長重視に転換、海外拡大へ提携戦略促進

三菱電機社長に1日付で就任した山 西健一郎氏(59)はブルームバーグ・ニュースのインタビューで、新 体制の経営方針として従来以上に「成長性」を重視するとともに、海 外の事業拡大へ提携戦略などを積極化する考えを明らかにした。中国 やインドなど新興諸国を中心に、海外で収益増の活路を求める。

山西氏は成長を期待する重点分野として自動車、鉄道、電力、通 信、社会インフラ、環境・エネルギーなどを挙げ、「もっとグローバル 展開が必要だ」と強調。海外進出では「他メーカーとの連携を強くし なければいけないし、海外での生産も増えるだろう」と述べた。2009 年度に約34%だった海外売上比率は「早急に40%以上」を目指す。

国際通貨基金(IMF)が出した世界経済予測によると、10年の 日本の成長率は1.7%、中国10%、インド7.7%。成長率の高い海外 での事業拡大は、日立製作所、NEC、富士通、パナソニックなど日 本の電機メーカー各社にとって大きな課題だ。CLSA証券のアナリ スト、モーテン・ポールソン氏は「戦略は正しいが、いかに海外の市 場に適合できるかが問題。多機能過ぎるとも言われる製品の価格戦略 も考え直す必要がある」と指摘している。

三菱電機は、これまでも海外で、原子力関連機器や変電機器、鉄 道車両用電装品、自動車関連機器、ファクトリーオートメーション(F A)機器、エレベーター、エアコン、太陽光パネルや関連システムな どを売り込み、生産・販売の拠点整備にも取り組んでいる。

09年度の業績は、当初見込んでいた7年ぶりの最終赤字を回避し、 純利益は前期比2倍の250億円となる見込み。自動車関連機器やFA 機器が回復基調にあり、機器の省エネに不可欠な電子部品であるパワ ー半導体の需要増、コスト削減の積み増しなどが寄与するためで、株 価もこれを反映して3月31日は52週高値を更新。過去1年間の上昇 率は95%と、指標である日経225の上昇率37%を大きく上回る。

一段の体質強化

同社は経営方針として「成長性」「収益性・効率性」「健全性」を 標榜し、これらのバランスを重視。IT(情報技術)バブル崩壊後の 不況で779億円の最終赤字に陥った01年度からは3つの経営指標―― ①売上高営業利益率5%超、②ROE(株主資本利益率)10%超、③ 借入金比率15%以下を設定している。08年度までに営業利益率が2回、 ROEは4回達成したものの、目標は変えていない。

山西氏は「従来は3つの指標をバランスよく実現する正三角形的 な経営だったが、今後は成長性にウエイトを置いた二等辺三角形へ持 っていきたい」と説明。01年度以降の構造改革で「体質は強くなって いるが、まだまだ不十分」とみる。具体的な数字には言及しなかった が、製品の開発・設計・資材調達・製造・物流などあらゆる面で「原 価低減を徹底追及する」と語った。

受注は回復基調

足元の業況については、収益の先行指標となる産業メカトロニク スを含む全社の受注トレンドが、直近の過去最高だった07年度の平均 を100とした場合、「8-9割の水準に戻ってきている」という。09 年度に部門別で唯一営業赤字を見込む電子デバイスも、消費電力を効 率化するパワー半導体と呼ばれる製品の需要が引き続き伸びているた め、「10年度は黒字転換する」との見通しを示した。

45%を出資していたシステムLSI(大規模集積回路)メー カーのルネサステクノロジは、同業のNECエレクトロニクスと1日 付で経営統合し、新会社「ルネサスエレクトロニクス」として発足。 増資完了で、ルネサスエレに対する旧親会社3社(日立、三菱電機、 NEC)の持ち分比率は30.62%、25.05%、33.97%に、それぞれ下 がる。

ルネサスエレとの関係について、山西氏は「まずは新会社の経営 が強くなる必要があり、親会社としてそのために必要なサポートを継 続していく」と指摘。三菱電機の出資比率は当面、「変更しない」とし ている。

●山西健一郎(やまにし・けんいちろう)氏:1975年京都大学卒、同 年三菱電機入社、06年常務、08年上席常務。入社以来、全社的な生産 技術に携わり、社長就任直前は半導体事業本部長。51年生まれ。

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