【コラム】王様グロス氏が債券見限るなら、株の時代か-D・ポーリー

世界最大の債券ファンドを運用す るビル・グロス氏が、30年に及んだ債券の強気相場が終わりつつある と言う。それなら株の買い時なのかもしれない。

もちろん、米パシフィック・インベストメント・マネジメント(P IMCO)で2140億ドル(約20兆円)規模の「トータル・リターン・ ファンド」を運用するグロス氏は決して株買いを推奨したりはしない が、言っていることは同じではないだろうか。

同氏が共同創業者のPIMCO自体も昨年12月、大なり小なり同 じメッセージを発した。同社は「グローバル・オポチュニティーズ・ ファンド」を発表。このファンドは銀行融資やジャンク債、ディスト レスト証券も購入するものの、株式に投資するファンドだ。

米国株の指標であるS&P500種株価指数は昨年3月に付けたリ セッション(景気後退)期の底値から70%余り上昇した。米経済も2009 年10-12月(第4四半期)に5.6%成長と回復した。

製鉄会社USスチールの株価は今年2月4日からほぼ50%上昇 した。「iPod(アイポッド)」と「iPad(アイパッド)」の アップルは株価が300ドルに達する公算があるとクレディ・スイス・ グループは指摘する。コーヒー店チェーンのスターバックスは株式公 開後、初の配当を発表。保険のメットライフと英プルーデンシャルは 米アメリカン・インターナショナル・グループ(AIG)の資産取得 に合計510億ドルを支払う。

安全志向

長い株式上昇相場がやってきたと逆張りの発想に転じる投資家も 現れそうだ。少なくとも、グロス氏の発言までは皆、債券ファンドを 買っていた。最新の株暴落を受けた安全第一志向だったが、おかげで 株価の急反発に乗り遅れた。

調査会社エマージング・ポートフォリオ・ファンド・リサーチに よると、債券ファンドには今年これまでに約890億ドルが流入した。 前年同期に比べ5倍のペースだ。投資家が債券を見限れば、この資金 は株式に流れることになる。

債券投資家は神経質になっている。金利が上昇し保有資産の市場 価格が下落しているからだ。29日の10年物米国債の利回りは3.86% で、08年12月の約2%を大きく上回る。

米国債の利回り上昇は、財政赤字穴埋めの国債増発の影響だ。09 会計年度(08年10月-09年9月)の米財政赤字は1兆4000億ドルに 上った。投資家は政府支出拡大のインフレへの影響も懸念している。

今、そこにある・・

金利上昇とインフレ加速はもちろん、最終的には株式相場の重し にもなり得る。しかしそれはずっと先のことだ。一方、債券利回り上 昇・価格下落は今、そこにある事態だ。

情報開示の原則に基づいて、わたしは株式投資信託を保有してい ることを断っておく。賢明な人々は株式と債券をバランスよく保有す るものだ。新たな「株の時代」は夢に終わるかもしれない。米国の高 失業率が、景気悪化と株価下落をもたらすかもしれない。

グロス氏は間接的に株式を推奨しているとはいえ、依然として債 券を買っている。例えば、米国に比べて財政規律がしっかりしたドイ ツやカナダの長期債を勧めている。PIMCOの1兆ドル前後の資産 はまだ大半が債券だ。PIMCOがもう少し、株式に恵みの雨を降ら せてくれるのを期待して待とう。(デービッド・ポーリー)

(デービッド・ポーリー氏は、ブルームバーグ・ニュースのコラ ムニストです。このコラムの内容は同氏自身の見解です)

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