円が下落、株高で高金利通貨選好強まる-輸出の円買い先行も続かず

東京外国為替市場では午後の取 引で円が下落。国内輸出企業などの買い需要や中国人民元の切り上げ 観測を背景に円高が進む場面も見られたが、株価や商品相場が堅調に 推移する中、オーストラリア・ドルなど高金利通貨を中心に円を売る 動きが根強かった。

円は対ユーロで朝方に一時、1ユーロ=124円18銭まで買われ たが、午後には125円46銭まで反落。豪ドルに対しては1豪ドル= 84円台半ばまで強含んだ後、1月14日以来の安値となる85円38 銭まで下落した。

三菱UFJ信託銀行資金為替部の酒井聡彦営業推進役は、「今は 株価が比較的堅調なので、金利差に着目した動きになりやすい」と指 摘。「金利が上昇している通貨は買われやすく、そういう意味では円 が売られやすい地合いという印象はある」と語っていた。

ブルームバーグ・データによると、円は主要16通貨すべてに対 して前日の終値を下回っている。対ニュージーランド・ドルでは1N Zドル=66円3銭まで下落し、1月21日以来の安値を更新。対ポ ンドでは約1カ月ぶりの円安水準を付けた。

円買い続かず

前日の海外市場では商品高や米株高を背景に円が軟調に推移した が、この日の東京市場では円買いが先行。カナダロイヤル銀行債券為 替部の高安佳子部長は、輸出企業や一部国内投資家が円を買っていた 上、「大手生保のIPO(新規株式公開)に絡んで海外勢が円買いに 動くのではないかという見方もまだある」と指摘していた。

ドル・円は1ドル=92円台半ばから92円前半まで円買いが進 行。その後、円はいったん伸び悩んだが、正午すぎには92円13銭 まで上昇。中国人民銀行(中央銀行)貨幣政策委員会の委員に任命さ れた夏斌氏がロイター通信とのインタビューで、中国はできるだけ速 やかに人民元の段階的上昇を再開すべき、と発言したことが円買い材 料視されたという。

もっとも、円買いは続かず、午後3時前後からは追加利上げ期待 のある豪ドルや3月の住宅価格指数が予想を上回ったポンドなどに対 して円売りが活発化。ドル・円も92円72銭まで円安に振れる展開 となった。

高安氏は、クロス円(ドル以外の通貨の対円相場)での円売り意 欲が強いことに加え、「今週末に発表される米雇用統計に対する改善 期待が強く、対円でドルを売りにくいところがある」と説明。その上 で、「3月はレパトリエーション(自国への資金回帰)といった年度 末独特の需給で円買いもあるため、ドル・円の上値は抑えられている が、4月以降はその材料が消えるし、外債投資も出るのではないかと いう期待もあり、ドルが買いやすいという見方はあるだろう」と語っ た。

ブルームバーグがまとめたエコノミスト調査では、4月2日発表 の3月の米雇用統計で非農業部門雇用者数が18万4000人増加した と見込まれている。予想通りなら2007年以来で最大の純増幅となる。

ユーロ相場

一方、ユーロ・ドル相場は1ユーロ=1.34ドル台後半でもみ合 う展開が続いていたが、午後にはユーロ買いが活発となり、一時、

1.3537ドルと1週間ぶりの水準までユーロ高が進んだ。

前日にはギリシャ政府が、欧州連合(EU)首脳が同国支援の枠 組みで合意して以来、初めてユーロ建ての7年物国債、50億ユーロ (約6230億円)相当を発行。ギリシャは今回の起債により4月に必 要なすべての資金調達を終えるとしており、市場では当面の資金繰り に対する懸念が和らいでいる。

もっとも、三菱UFJ信託銀の酒井氏は、「ギリシャの資金繰り についてはある程度峠を越えたのではないかという見方もあるが、ポ ルトガルなど他の国についても常にこうしたリファイナンス問題が起 こる可能性があり、まだ警戒感は解けない」と語る。

カナダロイヤル銀の高安氏も「ギリシャの長期的な財務能力につ いては依然懐疑的で、ユーロ買いもある一定のところまでいくと勢い が衰える」と指摘。その上で、欧米は週末から祝日となるため、目先 は「ポジション調整的な動きぐらいしか出ず、相場が大きく動くとい うよりは動きが止まってしまう可能性がある」と話していた。

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