米利上げは来年1%まで、期待先行のドル高短命-野村証・田中氏

野村証券金融市場調査部の外国為 替ストラテジスト、田中泰輔氏は、米国の金融政策について、利上げ 開始は2011年とした上で、来年末までの政策金利引き上げは1%に とどまると予想する。今年は期待先行でドル高・円安が進む局面もあ るが、日米間の政策金利差が低水準に抑えられるため、持続的なトレ ンドにはならないとみている。

米連邦準備制度理事会(FRB)は現在、政策金利のフェデラル ファンド(FF)金利誘導目標を0-0.25%に設定。バーナンキ議長 は25日に下院金融委員会で行った証言で、「米経済には引き続き緩和 的な金融政策の支援が必要だ」と言及。「その一方で、われわれは現在 の非常に強力な金融刺激策を適切な時期に反転させるため、手段を確 保しようと取り組んでいる」と述べている。

田中氏は25日のブルームバーグ・ニュースとのインタビューで、 今年は米国で景気回復が進んでいくものの、過去の景気サイクルとは 違って、政策によるサポートが必要な「自律回復メカニズムが働いて いない」状態がまだまだ続くと予想。年内は政策支援が必要なことか ら政策金利の引き上げは難しく、来年の利上げ開始を見込んでいる。

野村証券では、来年の米国内総生産(GDP)成長率を2.6%と 予想。田中氏は、2.5%が景気回復の巡航速度とみれば、まずまずの 成長率ともとらえられるが、米国では今回の景気悪化で、来年もGD Pに対して4%程度のデフレギャップが残る可能性があると分析する。

その上で、田中氏は、インフレが発生しにくい状況下で、通常で あれば、FRBが利上げに踏み切る状態ではないとしながらも、日本 銀行がゼロ金利を実施して市場機能が失われたことへの反省があり、 「金利機能を確保するための正常化への道筋を付ける必要がある」と 説明。米経済が上向くとの見通しを背景に金利の正常化は見込まれる が、それ以上の実質引き締めには二の足を踏むとして、来年末までの 利上げは1%程度にとどまるとみている。

2010年はドル高・円安の芽も

ドル・円相場は昨年11月27日に一時1ドル=84円83銭と、 1995年7月以来の水準までドル安・円高が進行。今年1月に93円台 後半まで戻したものの、3月には再び88円台前半に落ち込むなど、 ドルの下値不安がくすぶっている。この日の東京市場では92円台で 取引されている。

田中氏は、来年にかけての大局観としては「ドル安・円高」だが、 今年に関しては、米国の利上げ観測が高まる程度に応じて「しばらく 円安になる芽がある」と指摘。今年の予想コアレンジを85-95円と して、年後半に米国の景気・金利見通しが上向いていく局面では、「95 円サイドを抜ける可能性が相対的に大きい」とみている。

ただ、田中氏は、持続的なドル高・円安トレンドになるためには、 日米間の政策金利差が2-3%程度まで広がる必要があるとした上で、 来年の米利上げが1%程度にとどまるという見通しの下では、ドルの 戻りは「かなり短い期間で終わる」と見込んでいる。

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