亀崎日銀委員:政策は先取りして実施-今後も最大限の努力

日本銀行の亀崎英敏審議委員は 25日午前、高知市内で講演し、日銀は必要な場合には情勢を「先取り して政策を実施していかなければならない」として、17日の金融緩和 措置もそうした方針に基づくものだ、と述べた。その上で、企業や家 計が先行きの持続的な成長に対する自信を取り戻すことができるよう、 今後とも「最大限の努力をしていきたい」と語った。

景気については設備投資が「次第に持ち直しに転じてくる」ため、 「緩やかな持ち直し傾向自体は続く」と述べた。ただ、「企業からは 先行きの不透明感から、国内での投資や雇用の拡大をちゅうちょする 声も多く聞かれており、慎重にみていかねばならない」と述べた。

日銀は17日の金融政策決定会合で、新型オペによる資金供給を 10兆円から倍増することを決定した。白川方明総裁は会合後の会見で 「景気の総括判断は変わっていないが、個別の需要項目をみると全体 に幾分上振れ気味に推移している」とした上で、「こうした措置は経 済、物価の改善の動きを確かなものにすることに資する」と述べた。

物価については「新興国の成長から国際商品市況が強めに推移し、 景気回復に伴い需給ギャップも縮小していくとみられることなどから、 CPI(除く生鮮食品)のマイナス幅は縮小していく」と述べた。

CPIはなかなか上昇基調に転じにくい

亀崎氏は一方で、「需給ギャップのマイナス幅の縮小は緩やかな ペースにとどまっている。また、家計が実感する現在の物価上昇率や、 1年後の物価上昇率の予想が低下しているほか、1年後に物価が下が るとみる人の割合もひところより上昇しており、こうした見方が企業 の価格設定行動にも影響する可能性もある」と指摘。従って、「CP I(除く生鮮食品)はなかなか上昇基調には転じにくい」と述べた。

世界経済については「さまざまなリスクがあるものの、全体とし て緩やかに回復しており、今後も回復傾向は続くとみられる」と指摘。 ただ、「各経済主体のバランスシート調整圧力が強く、自律的な回復 に向けた動きが緩やかにとどまる先進国と、そうした圧力がなく、世 界の金融・財政政策の間接的な効果もあって力強く成長している新興 国や資源国とのコントラストは、今後より際立っていく」と語った。

25日午前発表された2月の企業向けサービス価格指数(CSPI) は前年同月比1.3%低下し、前月(1.2%低下)からマイナス幅が拡大 した。マイナス幅の拡大は6か月ぶりで、バークレイズ・キャピタル 証券の森田京平チーフエコノミストは「企業のコスト削減姿勢は続い ている」としている。

デフレ特有のコスト

亀崎委員はデフレのコストについても言及。「デフレ特有のコス トには、名目金利がゼロ以下にならないことによって実質金利が経済 の活動水準に見合う水準まで下がらなくなることが挙げられる」と述 べた。

また、「負債の実質価値が上がることで債務者の負担が増し、景 気が悪化する面もある。債権者にとっては資産の実質価値が上昇する ことになるが、通常お金を貸す人より借りる人の方が支出性向、つま り収入のうち支出に回す分が高い傾向にあるため、経済全体としての 支出額の縮小につながるからだ」と指摘。「このように、デフレには インフレにはない特有のコストがあることに注意が必要だ」と述べた。

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