【コラム】これが独創的な危機解決、ギリシャ首相へ一筆啓上-Mリン

親愛なるパパンドレウ・ギリシャ 首相殿。

イースター(復活祭)休暇を使って子供たちを美しいギリシャの 島に連れて行こうと思っていましたが、ご承知の通り「英国クローナ」 (英国とアイスランドの連帯が強くなったため、今ではポンドをこう 呼んでいます)が、ユーロよりさらに弱い数少ない通貨の1つとなっ ているため、旅行を実現できず残念です。

ギリシャがユーロを離脱し、「新ドラクマ」の新札を印刷せざるを 得なくなれば、状況が変わるかもしれませんが、そうなるまでは英国 内で休暇を過ごすことにします。

今回は、決して頼まれたわけではありませんが、ギリシャ危機の 解決策について取り急ぎ一筆啓上しました。

今は徹底的に自己中心に考えるべき時です。人生には時としてそ ういう場面が訪れます。ギリシャは苦境に立っています。必要なのは 独創的な発想です。肝に銘じておかなければならないのは、財政難に 陥っている国にも切り札は常にあるということです。

欧州の連帯のことなどきっぱり忘れてしまいましょう。選挙の年 のフランスにとっては重要かもしれませんが、率直なところ、国益が すべてという考え方にお互い異論はないはずです。今のギリシャにと って、ユーロの信認が回復することなどほとんど必要のないことです。

ドイツをもっと怒らせよ

ギリシャがまず初めにしなければならないのは、ドイツをもう少 しいら立たせることです。ドイツがギリシャ救済を拒否するように仕 向けるのです。ギリシャはドイツの救いの手を全く必要としていませ ん。ドイツが最後に救済した国、旧ドイツ民主共和国(東独)が良い 例です。旧東独は、長年にわたりずっと問題を抱えたままでした。自 国民がそうなら、ギリシャがどうなるかは推して知るべしです。長年 にわたり過酷なデフレに陥ることになるでしょう。

ドイツの救済措置には、財政支出の厳格な上限設定や、汚職の一 掃、退職年齢の75歳への引き上げが含まれることでしょう。そんな 必要は全くありません。ギリシャの精神に逆行しています。ギリシャ の太陽は楽しむためにあるものです。楽しむ余裕がなければ意味はあ りません。ドイツをいら立たせ、救済措置を政治的に不可能なものに してしまいましょう。

次にすべきことはデフォルト(債務不履行)です。障害はないは ずです。債券保有者に資金が不足していることを伝え、債務1ユーロ につき0.5ユーロの返済を提示し、その責任を信用不安連鎖のきっか けを作ったドバイ首長国に押し付ければいいのです。イタリアとスペ イン、ポルトガル債の利回りは大幅に上昇するでしょう。投資家の間 でユーロ加盟国の債務は保証されていないとの見方が強まるためです。 だからといってギリシャが気にすべきことは何もありません。忘れて はならないのは自己中心的に考えることです。投資家がどのような反 応を示そうと、それは投資家自身の問題です。ギリシャ債がデフォル トすれば、その利回り動向などほとんど問題にならないでしょう。

もちろん、ギリシャ債が紙くず同然になれば、保有する銀行は打 撃を受けます。とはいえ、その大半はフランス、ドイツそして英国の 銀行です。こうした銀行の救済は今回もそれぞれの国の政府に任せま しょう。

電話の活用

もちろん問題もあります。ギリシャの財政赤字、貿易赤字、そし て財務省が抱える隠れた赤字をどのように穴埋めするかです。話はこ こから面白くなります。電話を活用すればいいのです。

最初の電話は、プーチン・ロシア首相にかけるべきです。ロシア は帝政ロシア時代から地中海の港をうまく手に入れる努力をしてきま した。外交政策に関していえば、プーチン首相は明らかに伝統主義者 です。具体的な約束をする必要はありません。原油相場が1バレル= 80ドル付近に戻り、ロシアに余剰資金があることを強調しさえすれば いいのです。ロシアはおそらく緊急資金を供給してくれることでしょ う。その際、電話の内容をマスコミに録音させ、すぐにCNNに報道 させることも忘れてはなりません。

IMFの支援

次に電話すべきはオバマ米大統領です。歴史的にみても、ギリシ ャがロシアの支援を受けることは米国にとって好ましくありません。 電話さえすれば、国際通貨基金(IMF)が直ちに無制限の支援を約 束してくれることでしょう。ドイツや欧州中央銀行(ECB)が要求 する厄介な条件なしに救済を受けられるわけです。

考えてみてください。ギリシャは過去10年間で積み上がった債 務を返さなくても済む上に、ユーロ加盟国の地位も維持できるのです。 まさに一挙両得です。

メルケル独首相がギリシャに財政規律について講義するのはしば らく先のことです。それが済めば、あなたはオリーブのつまみとウー ゾ(ギリシャの蒸留酒)でほっと一息つくことができるでしょう。わ たしもギリシャ旅行を楽しみにしています。ただこちらの方はしばら く時間がかかるかもしれません。英国クローナが持ち直すまでは。 (マシュー・リン)

(リン氏はブルームバーグ・ニュースのコラムニストです。この コラムの内容は同氏自身の見解です)

-- Editors: David Henry, James Greiff.

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