新国際会計、「のれん代」で日本企業の「M&A抑制か」-専門家

新たな国際会計基準(IFRS)の 適用をめぐり、専門家の間で「日本企業による大型M&A(合併・買収) が抑制される」との懸念が広がっている。「のれん代」が定期償却から 減損会計に変更されるのに伴い、突然巨大損失の計上を迫られる可能性 があるためで、企業経営の不安定要素とも受け止められている。

現行の日本基準では、企業の超過収益力を示す「のれん」は原則と して20年以内に均等償却する。時価会計を原則とする国際会計基準や 米国基準では、毎期ごとに価値を評価し、著しい低下があれば一括して 減損処理をしなければならない。日本では遅くとも新基準が強制適用さ れる2015年までに導入される。

IFRS導入が進む欧州の事情に詳しい会計助言会社ダフ・アン ド・フェルプス(ドイツ事務所)のフランク・ボールマン氏は、一括償 却を「いつ落ちるかわからない首の上のギロチンのようなもの」と指摘。 経営者は常に過去の買い物が「適正だったかの評価にさらされることに なる」と解説する。

バークレーズ・キャピタル証券の藤森裕司アナリストは2月のリポ ートで、パナソニック(米国会計基準)の株価のマイナス材料の一つと して、買収した三洋電機ののれんの減損リスクを挙げた。同社は2008 年12月に三洋買収を発表した。

RBSは巨額償却で赤字に

ダフ社(東京事務所)の渡辺敦郎社長は、新基準適用で「経営者の 買収目的が注目されるようになる」と分析。国際基準では日本基準での れん代に含まれる「受注残高」や「顧客リスト」は別計上となり、のれ んの中身が重視されるため「大きい買い物には慎重になるだろう」(同 事務所の竹埜正文氏)とみる。

2008年決算で241億ポンド(約3兆2849億円)と英史上最大の赤 字を計上した英RBSでは7割近くの162億ポンド(約2兆2080億円) が蘭ABNアムロ買収によるのれん代などの一括償却費だった。大和総 研の投資家調査によると、国際会計基準の導入による影響が大きい項目 としてのれん代の償却廃止が77%で1位となった。

一方、均等償却でなくなれば、「決算の見かけがよくなることを歓 迎する経営者にとってIFRS導入は、M&Aを促進する方向に働く」 (渡辺氏)との見方もある。

ブルームバーグ・データによると、直近1年の日本企業が関わるM &A案件は1808件。うち1000億円を超える大型案件は28件だった。

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