3月22日の海外株式・債券・為替・商品市場

欧米市場の株式、債券、為替、 商品相場は次の通り。

◎外国為替市場

ニューヨーク外国為替市場ではユーロが対ドルで下げから反転。 ギリシャ支援の準備が整っていないとの懸念を鎮静化させようと 欧州指導者らの発言が相次ぎ、高利回り資産への売り圧力が和ら いだのが背景。

ドイツのメルケル首相が投資家に対し、今週の欧州連合(EU) 首脳会議でギリシャ支援をめぐる合意が成立すると見込むべきでは ないと述べたのがきっかけとなり、ユーロは一時下落する場面もあ った。スイス・フランはユーロに対して、1999年のユーロ導入以来 の高水準に上げた。

バンク・オブ・ニューヨーク・メロン(BNYメロン)のシニア 為替ストラテジスト、マイケル・ウールフォーク氏は「ユーロはニ ュースに敏感に反応する」と語り、「ギリシャは救済を求めてはお らず、低金利での借り入れを望んでいる。市場参加者はユーロ相場 が1ユーロ=1.35ドル近くにとどまることを望んでいる」と語った。

ニューヨーク時間午後4時38分現在、ユーロはドルに対して前 営業日比0.2%高の1ユーロ=1.3554ドル(前営業日は同1.3530ド ル)。一時は今月2日以来の安値となる1.3464ドルまで売り込まれ る場面もあった。ユーロは対円では0.3%下げて1ユーロ=122円22 銭。一時は5日以来の安値となる121円6銭まで下げた。ドルは対 円で0.4%下落して1ドル=90円18銭(前営業日は90円54銭)。

ギリシャをめぐる問題

ギリシャのパパンドレウ首相は、EUの財政安定成長協定が定め る水準まで財政赤字を縮小すると言明し、同国がユーロ圏から離脱 するとの憶測は滑稽だと述べた。

パパンドレウ首相は同国議会で演説し、財政赤字削減に向けて金 融支援を要請したことはないと語った。ギリシャの昨年の財政赤字 は、EUの定める対国内総生産(GDP)比最大3%の水準を4倍 以上、上回った。

トリシェ欧州中央銀行(ECB)総裁は必要とあればECBは担 保基準をあらためて精査すると述べており、ECBの姿勢を軟化さ せている。

ギリシャのパンガロス副首相は、EU首脳らが早急にギリシャ支 援で合意しなければ、統一通貨ユーロは崩壊する可能性があると指 摘した。ロイター通信が報じた。同報道後、ユーロは一時下落した。

ソシエテ・ジェネラルの通貨ストラテジスト、グレッグ・アンダ ーソン氏は、「今は落ち着いてリラックスした市場ではない」と述 べ、「解決策が打ち出されつつあるとのニュースの見出しに相場は 振り回されているが、解決策など1つも打ち出されていない。ユー ロ・ドル相場が今のレンジを抜けるには、ギリシャ問題に関して恒 久的な材料が発表されなくてはならない」と述べた。ユーロは2月 8日以来、1ユーロ=1.3436-1.3839ドルのレンジで推移している。

フランが上昇

スイス・フランは対ユーロで上昇、最高値の1ユーロ=1.4309フ ランを記録した。トレーダーの間ではスイス中銀がフラン売り介入 姿勢を弱めつつあるとの見方が広がった。

スイス国立銀行(SNB、中央銀行)はこの日も「行き過ぎた」 フラン上昇を抑制するために必要に応じて「断固とした行動」を継 続すると述べたが、フランはなおも上昇した。

スイス中銀はフラン上昇を抑制したい姿勢を明確にしているが、 ギリシャやポルトガル、スペインの財政赤字問題を背景にスイス・ フランに対する質への逃避需要は大きい。

◎米国株式市場

米株式相場は反発。売り優勢で始まったものの、午前の取引で 上げに転じた。米下院が21日に医療保険改革法案を可決したこと を背景に、製薬株が上昇。アナリストによる投資判断引き上げを 好感して、米銀シティグループや航空機メーカーのボーイングも 買われた。

医薬品メーカーのブリストル・マイヤーズ・スクイブやファイ ザーがともに値上がりし、ヘルスケア株の上昇をけん引した。米下 院が可決した医療保険改革法案について、政府は数千万人が無保険 の状態を脱却できるとしている。ボーイングはダウ工業株30種平均 の上げを率いた。シティグループも高い。ロッチデール・セキュリ ティーズのアナリスト、リチャード・ボーブ氏はシティ株の買いを 勧めた。

フィラデルフィア・トラスト(フィラデルフィア)の最高投資 責任者(CIO)、リチャード・シーシェル氏は、「医療保険改革 法案の可決により、不透明感が晴れた」と指摘。「それに加えて、 株価はここ数日下落していたため、割安感もあった」と述べた。

S&P500種株価指数は前週末比0.5%高の1165.81。一時 は0.6%下落する場面もあった。ダウ工業株30種平均は43.91ド ル(0.4%)上昇の10785.89ドル。

米株式相場は下落して始まった。各国財政赤字の拡大や金利上昇 が世界的に景気回復の腰折れにつながるとの懸念が強まった。国際通 貨基金(IMF)のリプスキー筆頭副専務理事は21日、北京で開催さ れたフォーラムで講演し、先進国は高水準の公的債務削減に取り組む という「重大な」課題に直面していると指摘。その上で現在の景気刺 激策を解除しても財政状況を賢明な水準に戻すことにはならないとの 見方を示した。

政策金利

インド準備銀行(中央銀行)は19日、同国の金融市場が引けた 後に利上げを実施した。インフレ率が約1年ぶりの水準に加速するな か、1カ月後の定例会合を待たずに決定した。オーストラリアとマレ ーシアの金融当局も2月末以降、利上げを実施している。一方、中国 は同国の市中銀行に対し、預金準備率の引き上げを命じている。

S&P500種のヘルスケア株指数は0.6%高。救急医療などの特 別医療施設を運営するテネット・ヘルスケアは9%急伸し、S&P500 種の値上がり率トップ。ブリストル・マイヤーズは1.8%高。ファイ ザーは1.4%値上がりした。

一方、医療保険のウェルポイントやヒューマナを含む保険株は下 落した。

下院は上院が昨年12月に可決した法案を可決。同法案に一部修正 を加える法案も賛成220、反対211で承認した。上院はなお、この修 正案を可決する必要がある。議会予算局の見積もりによると、この2 つの法案を合わせたコストは今後10年で9400億ドルに上り、3200 万人の保険未加入者に保険が提供される。

シティグループのアナリスト、チャールズ・ブーレイディ氏はリ ポートで、ヘルスケア銘柄が再び物色され、バリュエーション(株価 評価)は高まるだろうと指摘した。

ブルームバーグがまとめたデータによると、ヘルスケア株の株価 収益率(PER、営業利益実績ベース)は約13倍。ほぼ19倍のS& P500種と比較した場合、これまでで最も割安な水準付近にある。

心臓用電子装置メーカー最大手、メドトロニックは2.3%高。 ボーイングは1.7%上昇。シティグループは3.6%上げた。

◎米国債市場

米国債相場は上昇。欧州の指導者らがギリシャ支援計画の詳細 や日程について合意せず、比較的安全な米国債への需要が高まった。

2年債利回りは1月以来の高水準から低下。あす23日には過去 最大規模の2年債入札が実施される。ドイツのメルケル首相は、今 週の欧州連合(EU)首脳会議がギリシャ救済案で合意すると期待 しないようにと投資家をけん制した。米下院は21日、約40年間で 最も包括的な医療保険改革法案を可決した。

ロイヤル・バンク・オブ・カナダの金利ストラテジスト、クリ スチャン・クーパー氏は「リスクの低い資産への需要が見られる」 と指摘。「ギリシャ救済策がまとまるというのが前提になっていた が、それはいつのことで、どれだけのコストがかかるのだろうか」 と述べた。

BGキャンター・マーケット・データによると、ニューヨーク 時間午後4時14分現在、2年債利回りは前週末比2ベーシスポイン ト(bp、1bp=0.01ポイント)低下の0.97%。19日には一時 1%と、1月8日以来の高水準を付けた。10年債利回りはこの日、 3bp下げて3.66%。

メルケル首相は独ラジオ局のドイツ放送局とのインタビューで、 EU首脳はギリシャ支援への期待を膨らませることで市場に「幻想」 を与えてはならないと述べた。インタビューは21日に放映された。一 方、ギリシャのパパンドレウ首相とEUの欧州委員会のバローゾ委員 長は、EUが25、26日にブリュッセルで開く首脳会議で救済案の詳細 を示すべきだと発言していた。

トリシェ総裁

欧州中央銀行(ECB)のトリシェ総裁は22日、欧州議会で、ギ リシャの救済策は、同国が支払う金利水準よりもむしろ、ユーロ圏が 直面する脅威の深刻さを条件にすべきだと発言した。

国際通貨基金(IMF)は、先進国が高水準の公的債務削減に取 り組むという「重大」な課題に直面していると指摘した上で、現在の 景気刺激策を引き揚げても財政赤字を節度ある水準に戻すことにはな らないとの見方を示した。

IMFのリプスキー筆頭副専務理事は21日、北京で開催されたフ ォーラムで講演し、主要7カ国(G7)でカナダとドイツを除くと、 公的債務の対国内総生産(GDP)比率は2014年までに100%に接近、 もしくはそれを上回る水準に拡大するとの予想を示した。

米財政赤字

財政赤字が対国内総生産(GDP)比で10%と、第2次世界大戦 後で最高となるなか、09年以降の国債発行額は2兆5900億ドルとなっ ており、供給過多の状態となっている。そのため、米国が「AAA」 格付けに値するかについて懸念する声が上がっている。

米下院は21日、約40年間で最も包括的な医療保険改革法案を可 決した。米議会予算局(CBO)は、向こう10年間で9400億ドル のコストがかかると試算している。

バークレイズの金利ストラテジスト、マイケル・ポンド氏は、市 場は欧州で続いている諸問題により注目しているため、現時点で同法 案の影響を計るのは難しいと指摘。「過去数カ月間、米国債の需要が 高いのは、欧州での問題のためだ」と分析した。

◎金先物市場

ニューヨーク金先物相場は下落。複数の主要移動平均を割り込ん だことで売りが優勢となり、3週間ぶり安値を付けた。

19日には、20日、50日、100日の各移動平均を割り込んで取引 を終了した。日中取引では、17日以降、毎日安値を更新している。 金は2009年に24%上昇。2010年の年初からはほぼ変わらずの水準 となっている。

ラサール・フューチャーズ・グループのトレーダー、マシュ ー・ジーマン氏(シカゴ在勤)は、「金のテクニカルは悪化しつつ ある。主要な移動平均をすべて割り込んだのは気がかりだ」と指摘 した。

ニューヨーク商業取引所(NYMEX)COMEX部門の金先 物4月限は前営業日比8.10ドル(0.7%)安の1オンス=1099.50ド ルと、中心限月の終値としては2月24日以来の安値。一時は

1092.10ドルと、2月25日以来の安値を付けた。

◎原油先物市場

ニューヨーク原油相場は3営業日ぶりに上昇。医薬品銘柄を中心 に米国株が上昇したことを手掛かりに買いが集まった。

原油は1ドル超下げる場面もあったが、上げに転じた。21日に 米医療保険改革法案が下院で可決されたことを受けて、S&P500種 株価指数が上昇したことがきっかけだった。ドルが下げたことも代替 投資先としての商品の魅力を強めた。

シティグループ・グローバル・マーケッツ(ニューヨーク)のエ ネルギーアナリスト、ティム・エバンス氏は「持続的な支援材料はS &P500種株価指数が堅調に推移していることで、景気回復を投資家 の意識にとどめている」と述べた。

ニューヨーク商業取引所(NYMEX)の原油先物4月限は前営 業日比0.57ドル(0.71%)高の1バレル=81.25ドルで取引を終了。 一時は78.57ドルと、2日以来の安値を付ける場面もあった。この 日

は4月限の最終取引日だった。

◎欧州株式市場

欧州株式相場は下落。国際通貨基金(IMF)のリプスキー筆頭 副専務理事が、先進経済諸国は債務問題で「深刻な」困難に直面して いるとの見解を示したことが背景。ヘルスケア株は上昇した。

インターバンク・ブローカー最大手の英ICAPは2.6%安。不 採算部門となっているキャッシュ・エクイティー事業を閉鎖すると明 らかにしたことが背景。アイルランドのアライド・アイリッシュ銀行 は4.5%安。金融株の下げの中心となった。一方、医療保険改革法案 が可決されたことを受けて、医療機器のエレクタや医薬品メーカーの エラン・コーポレーションなどが買われた。

ストックス欧州600指数は260.12で取引を終了。前営業日から の下げは0.1%未満となった。騰落比率は2対3。同指数はギリシャ の財政危機をめぐる懸念から1、2月にかけて下げた後、3月に入り 上げに転じたが、先週はインド準備銀行(中央銀行)が2年ぶりに予 想外の利上げを実施したことから週間ベースの上げ幅が縮小した。

IMFのリプスキー筆頭副専務理事は21日に北京で開催された 中国発展フォーラムで講演し、先進経済諸国は債務問題の取り組みに おいて「深刻な」困難に直面しているとし、現在の景気刺激策から引 き揚げても財政赤字を節度の取れた水準に近づけることはできないと の見解を示した。

フォルティス・プライベート・バンキングの株式ストラテジスト、 ギローム・デュシェスネ氏(ジュネーブ在勤)は「財政赤字問題が引 き続き相場を圧迫している。ギリシャの問題が解決して、市場が安心 感を取り戻したとしても、財政赤字は長期的かつ構造的な問題だ。投 資家にとり心配の種であり、市場センチメントを圧迫している。経済 成長の行方が問われる」と語った。

◎欧州債券市場

欧州債市場ではギリシャ10年債相場が下落。ドイツ10年債に 対するプレミアム(上乗せ金利)が拡大し、ほぼ1カ月で最大となっ た。欧州連合(EU)首脳会議がギリシャ財政危機の解決に役立たな いとの懸念が強まったことが背景。

独10年債利回りは約1年ぶりの低水準となった。今週のEU首 脳会議がギリシャ救済策で合意しないとの見方を複数のドイツ議員 が明らかにしたことを受け、安全資産としてのドイツ国債の需要が高 まった。財政危機がユーロ圏内のほかの国に波及するとの懸念から、 イタリアやアイルランド、ポルトガルとスペインなどのいわゆるユー ロ圏周辺国の国債とドイツ国債のスプレッド(利回り格差)は拡大し た。

ウニクレディトの債券ストラテジスト、コーネリアス・パープ ス氏(ミュンヘン在勤)は、「ギリシャ国債が周辺国の相場を押し下 げ、スプレッドを拡大させた。ギリシャへの資金供給源をめぐる不透 明感は極めて強く、ギリシャ債への支援とは成り得ない」と語った。

ロンドン時間午後5時5分現在、ギリシャ10年債利回りは前週 末比10ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)上昇の6.49%。 一時は先月26日以来の高水準となる6.64%まで上昇した。同国債 (表面利率6.25%、2020 年6月償還)価格は0.75ポイント下げ

98.21。

独10年債に対するスプレッドは15bp拡大の339bpと、先 月25日以降で最大となった。独10年債利回りは3.07%と、前週末 から4bp低下した。これは2009年4月2日以来の低水準。

◎英国債市場

英国債市場では10年債相場が7営業日連続で上昇し、1年余り で最長の続伸となった。英産業連盟(CBI)が英国の景気回復が 「遅々として進まない」との見通しを示したことが背景にある。

2年債も上昇した。CBIが今年の英経済成長率は1%を超え ないと予想を示したことを背景に、市場では利上げ観測が後退した。 ブルームバーグがまとめたエコノミスト調査によると、23日発表さ れる2月の英インフレ率は、1月の1年2カ月ぶり高水準から低下 したとみられている。株式相場の下落で相対的に安全とみられる国 債の需要が高まったことも、相場上昇の一因だった。

クレディ・アグリコルCIB(ロンドン)の債券ストラテジス ト、ピーター・チャットウェル氏は、「経済データは現時点で国債 相場への支援要因となっている。株式相場が小安くなり、国債相場 が上昇したのは驚くことではない」と語った。

ロンドン時間午後4時23分現在、10年債利回りは前週末比3 ベーシスポイト(bp、1bp=0.01%)低下の3.92%。最後に7 日続伸したのは2008年12月だった。同国債(表面利率3.75%、 2019年9月償還)価格は0.26ポイント上げ98.66。2年債利回りは 4bp低下し1.21%となった。

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参考画面: 記事に関する記者への問い合わせ先: ニューヨーク 楽山 麻理子 Mariko Rakuyama +1-212-617-4903 mrakuyama@bloomberg.net Editor: ニューヨーク 名子 知子 Tomoko Nago-Kern +1-212-617-2407 tnagokern@bloomberg.net Editor: Shigeru Chiba 記事に関するエディターへの問い合わせ先: 東京 大久保 義人 Yoshito Okubo +81-3-3201-3651 okubo1@bloomberg.net

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