【今週の債券】長期金利は1.3%台半ば、好需給と景況感改善の綱引き

今週の債券市場で長期金利は1.3% 台半ばでの推移が見込まれている。良好な需給を背景に金利が上昇す れば投資家の買い需要が膨らむとみられる一方、景況感改善に対する 警戒感も強い。

岡三アセットマネジメントの山田聡債券運用部長は、日銀の金融 緩和が今後も継続する見通しの下で短中期ゾーンの金利上昇は限界的 だと予想する。その上で、「期末接近で投資家は無理をしないとしても 10年債利回りが1.4%付近に上昇すればいったんは買いに動く」とも いう。

長期金利の指標とされる新発10年国債利回りについて、ブルーム バーグ・ニュースが19日に市場参加者4人に聞いた今週の予想レンジ は全体で1.30%-1.40%となった。

前週の取引で10年債利回りは上昇基調が続いた。週初こそ1.34% を中心にもみ合ったが、その後は金利水準を切り上げ、一時は2月5 日以来の高水準となる1.37%まで上昇し、結局は1.36%で終了した。

日銀が17日に事前の予想通り新型オペによる資金供給額を拡大 する追加緩和を実施したことを受け、材料出尽くしの見方から売りが 優勢となった。しかし、先物売りがけん引して金利水準が切り上がる 過程でも、現物市場ではろうばい売りは出ておらず、三井住友海上火 災保険投資部の高野徳義グループ長は、「今週は償還資金が入る投資家 から期末に向けた調整的な買いが見込める」という。

実際、先物市場では11日に中心限月が6月物に交代して以降、商 品投資顧問(CTA)などの売りが活発化して年初来安値を更新した が、現物市場では投資家の売りが出にくかったこともあって、10年債 利回りは2月初めにつけた今年最高水準の1.38%を上抜けなかった。

4月6日の10年利付国債入札まで長期や超長期ゾーンの発行が 途切れることも、需給悪化への懸念を和らげる公算が大きい。シティ グループ証券の佐野一彦チーフストラテジストは、25日の2年債が年 度内最後の利付国債の入札となるが、日銀の追加緩和もあって不安は 乏しいと予想。「足元の相場調整が継続するとは考えにくく、今週の 10年債のレンジは1.32-1.385%」とみている。

過去4年間の3月期末前の長期金利の推移は、2008年を除いて最 終週に上昇する直前のタイミングでいったんは低下する傾向があり、 08年についても3月中旬からほぼ横ばい推移が続いた。

景気楽観見通しや株高警戒も

一方、米国で景気の楽観見通しが広がっているほか、最近の株高 や為替安定もあって国内市場でも景況感が改善しつつある。このため、 日経平均株価が年初来高値である1万982円に接近すれば、長期金利 は昨年11月12日以来の1.4%台に上振れる場面もありそう。

大和住銀投信投資顧問の伊藤一弥国内債券運用第2グループリー ダーは、長期金利は市場で景気期待があるにもかかわらず、今月9- 11日に1.30%まで低下した反動が出ているといい、「株価が再び上昇 する局面で1.4%をつけにいく」とみる。

米国で景気回復期待から短い年限を中心に金利水準が切り上がる 場合も、国内債券市場で売り材料となる可能性が高い。シュローダー 証券投信投資顧問運用部の塚谷厳治債券チームヘッドは、バーナンキ 米連邦準備制度理事会(FRB)議長の証言で利上げ観測が抑えられ ても、強い経済指標が続くようだと金融引き締めを織り込む動きとな り、日本でも金利が上振れしやすくなるのではないかともいう。

市場参加者の予想レンジとコメント

3月19日夕までに集計した市場参加者の今週の予想レンジは以 下の通り。

◎三井住友海上火災保険投資部の高野徳義グループ長

先物6月物138円30銭-139円10銭

新発10年債利回り=1.32%-1.38%

「決算期末を控えて模様眺めの雰囲気が強まる。海外ファンドな どの取引で先物が上下に振れても現物債の動きは小さい。為替が安定 して株価も底堅く、相場の上値は抑えられるが、10年債の1.4%手前 では需要がある。償還資金が入る投資家から期末に向けた調整的な買 いが見込める。リスク要因はギリシャ問題で、長期的にくすぶり続け る」

◎シュローダー証券投信投資顧問運用部の塚谷厳治債券チームヘッド

先物6月物138円20銭-139円20銭

新発10年債利回り=1.30%-1.40%

「横ばい圏での推移。米国景気や世界的な株価上昇が続くのか注 目。バーナンキ米FRB議長の証言で利上げ観測が抑えられても、強 い経済指標が続くようだと金融引き締めを織り込む動きとなり、日本 でも金利が上振れしやすくなるのではないか。一方、金余りを背景に 銀行勢が短期ゾーンの買い意向を強めているので2年債入札は問題な い」

◎岡三アセットマネジメントの山田聡債券運用部長

先物6月物138円20銭-139円20銭

新発10年債利回り=1.30%-1.40%

「投資家の買い意欲を探る展開。先週には先物売りをきっかけに 思わぬ金利上昇となったため、期末前ということもあって様子見姿勢 が強まりやすい。ただ、来年度の10年債利回りの上限は1.5-1.6% 程度との見方も多い。いったんは1.4%付近でインカム(金利収入) 確保の需要が見込まれるほか、値上がり益を狙った買いも出てきそう だ」

◎大和住銀投信投資顧問の伊藤一弥国内債券運用第2グループリーダ ー 先物6月物138円00銭-139円00銭

新発10年債利回り=1.32%-1.40%

「長期金利は1.3%台半ばでのもみ合い。連休明けで手掛かり難 のタイミングだけに、先物、現物とも需給動向を見極める展開だ。先 週はCTAの先物買い持ち高がかなり解消されたようだが、相場の地 合いが今ひとつだけに株高などをきっかけに再び売りが膨らむ可能性 は残る。一方、現物市場では金利上昇時に押し目買いが見込まれる」

--取材協力:船曳三郎、池田祐美 Editors:Hidenori Yamanaka, Masaru Aoki

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