モルガンSからゴードン・ラムゼイに転身、女性シェフに共通点を聞く

注文を叫ぶ声が飛び交い、ていね いな言葉などはぜいたく品、一瞬の判断が勝敗を分ける-。

レストランの調理場の話だ。しかし金融のトレーディングフロア の話だと言っても通用するだろう。

ジュディ・ジョー氏は35歳にしてその両方を知っている。コロ ンビア大学の工学部卒業の同氏はゴールドマン・サックス・グループ でインターンを務め、モルガン・スタンレーで4年以上働いた。その 後、このデリバティブ(金融派生商品)営業社員は鉄人シェフに変身 した。

同氏は今、カナダ年金制度投資委員会(CPPIB)に勤める夫 のデービッド・アレン氏とともにロンドンのボンドストリート近くの 高級マンションに住む。ジョー氏は自宅でインタビューに答え、ウォ ール街の経験をこう語った。

「ウォール街は本当に長時間労働だった。特に2年間のアナリス トプログラムの時はほとんど24時間会社にいて徹夜もした。しばら くして、自分の情熱の赴く方に行こうと決めたの」

ジョー氏は韓国人の両親の娘として米ニュージャージー州サミ ットで生まれた。結婚後、仕事をやめニューヨークにあるフランス料 理の学校、フレンチ・キュリナリー・インスティテュート(FCI) に通い始めた。

一大転機が訪れたのは夫のデービッドさんが転勤になりロンド ンに引っ越した後だ。夫妻はレストラン・ゴードン・ラムゼイを訪れ、 ジョー氏はそこで名シェフ、ゴードン・ラムゼイ氏本人に出会う。「私 が、自分もシェフだと言ったら、ゴードンが『いつから働きに来てく れるかい』と聞いて、気が付いたらこの店のキッチンで働いていたわ。 今で2年半くらいになる」

同氏にウォール街とキッチンの違いを聞いてみた。「違うけれど、 絶対に似たところがある」という。「両方とも男性ホルモンいっぱい の世界だし、常に時間が最重要のかぎになる。女性がほとんどいない 職場で、しょっちゅう誰かが叫んだり怒鳴ったりしている。トレーデ ィングととてもよく似ているわ。と言っても結局、同じではないけれ ど。料理人は経済を崩壊させたり国や銀行などを破産させたりはしな いから」と同氏は言う。

「あと違うところは、調理場では目上の人に怒られても絶対に怒 鳴り返したりはしない。黙って言うことを聞いて『はい。分かりまし た』と言うだけ。トレーディングフロアでは、誰かが文句を言うとき は自分にも多分言い返したいことがあって、その意見を口に出すのを 禁じられてはいない」と同氏は続けた。

シェフとトレーダーで強いのはどちら、との問いには「多分トレ ーダー」という答えが返ってきた。「自分にすごく自信を持っている 人がとても多い。それぞれに取引を任されている2人のマネジングデ ィレクターがけんかをすることもあるし、トレーディングフロアにい たころは、かなりすごいことを目撃した」そうだ。(リチャード・バ インズ)

(リチャード・バインズ氏は、ブルームバーグ・ニュースのフー ド評論家です)

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