超高頻度取引の海外勢、日本株市場へ本格参入は夏以降に-大和総研

超高頻度取引(ハイ・フリークエ ンシ-・トレーディング、HFT)を行う海外投資家の資金が、今夏 以降に本格的に日本株市場へ入ってくる可能性がある。HFTには欠 かせない私設取引システム(PTS)で決済リスクが解消、また欧州 最大手のPTS業者が日本に参入する予定で、彼らにとっての日本の 使い勝手が良くなるためだ。

大和総研・情報技術研究所の古井芳美課長代理はこのほど、ブル ームバーグの取材に対し、東京証券取引所に超高速システム「アロー ヘッド」が導入されたことで、今後はPTSが拡大すると予想。海外 の「HFTの本格参入は、今夏以降ではないか」との見通しを示した。

PTSは現状、決済リスクの課題を抱える。取引所を通じた取引 では、日本証券クリアリング機構 (JSCC)が清算業務に当たり、 決済履行を保証しているが、現時点でPTSは対象になっていない。 しかしJSCCは、7月をめどにPTSでの約定も清算対象とする方 針。さらに野村ホールディングス傘下で、欧州最大手のPTS業者で あるチャイエックス(Chi-X)が10年夏までに日本で業務を開始 する予定で、古井氏の見方はこうした情勢を踏まえる。

アローヘッド導入から2カ月

東証に超高速システムが導入され、2カ月が経過した。取引処理 速度は欧米並みに向上、多様化したトレーディング手法や戦略の活用 が可能になり、海外のHFT資金の新規流入などが期待されたが、東 証1部の売買代金は昨年1年間の1カ月当たり平均30兆7315億円に 対し、1月は31兆7359億円、2月は26 兆7856億円と、新システム 移行後も劇的変化は起きていない。

大和総研の古井氏によると、昨年東証の売買代金が上海取引所に 抜かれ、取引が低迷する中でのアローヘッドの登場は市場活性化の切 り札、との意見もあった。しかし、現状の売買代金は「市場が活性化 したとは言い難い水準」と言う。

HFTは2000年代に入り誕生、発達した超高性能のコンピュータ を駆使し、1秒に1000回以上の取引注文・売買を行うプログラム取引。 HFTが米国並みになれば、東証の売買代金は現状比較で2倍、出来 高は3倍、約定件数は数倍に膨れる可能性があると同総研では見る。

実際、HFT先進のニューヨーク証券取引所(NYSE)の上場 銘柄の出来高、約定件数、売買代金の変化は、HFTが一般化する以 前の04年4月を1とした場合、06年4月は出来高が1.25倍、約定件 数1.99倍、売買代金が1.54倍となり、09年4月にはそれぞれ3.41倍、 12倍、2倍に拡大した。東証では、約定件数については公表してい ない。

コロケーション、SORなど周辺インフラも着々

東証では、取引所のデータセンター内に発注サーバーを設置する 「コロケーション」サービスを開始するなど、HFT向けのインフラ を整備してきた。コロケーションは、外部ネットワークを介さない分、 注文執行が早い。また、証券取引所とPTSの株価を比較し有利な市 場に瞬時に発注するスマート・オーダー・ルーティング(SOR)機 能を中心に、HFT向けのサービスを提供する証券会社も増え始めた。

大和総研では、今回のアローヘッド導入を契機にPTSが拡大し ていくと予想。HFTにより、SORを利用した東証とPTSとの市 場間裁定取引なども増えると見ている。

メリルリンチ日本証券では今年、海外のHFT投資家資金を呼び 込むため、米フィデリティ系通信会社のKVHらと提携し、東証のデ ータセンター近くにトレーディング拠点を設立した。拠点を物理的に 取引所に近づけ、より高速の取引を可能にした。みずほ証券は3月、 システムトレード、アルゴリズムなど先進技術を持つ米投資運用業者 のチューダー・インベストメントとシステム運用の分野で投資一任契 約を締結、HFT取引を開始すると発表している。

--取材協力:近藤 雅岐 Editor:Shintaro Inkyo、Tetsuzo Ushiroyama

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