3月17日の海外株式・債券・為替・商品市場(Update2)

欧米市場の株式、債券、為替、 商品相場は次の通り。

◎外国為替市場

ニューヨーク外国為替市場ではユーロがドルに対して5週間ぶり 高値から下落。ドイツのメルケル首相率いる与党キリスト教民主・社 会同盟(CDU・CSU)で広報担当を務める議員が、ギリシャが最 終的に支援を必要とするならば、国際通貨基金(IMF)に求めるべ きだと述べたことから、ユーロの魅力が損なわれた。

円とドルは下落。日本銀行が新型オペによる供給額を2倍に拡大 したほか、米連邦公開市場委員会(FOMC)が政策金利を据え置い たことをきっかけに、ニュージーランド・ドルや南アフリカ・ランド を含む高利回り通貨への需要が膨らんだ。カナダ・ドルは米ドルに対 して2008年7月以来の高値に上昇。原油や株式相場が値上がりし たことが背景。

ウェルズ・ファーゴの為替ストラテジスト、ヴァシーリ・セレブ リアコフ氏(ニューヨーク在勤)は「為替市場は明らかにリスク選好 の環境にある」と指摘。「ギリシャの財政問題を背景に、ユーロは最 も魅力のない通貨の1つとなっており、ほかの通貨を求める動きが広 がっている」と述べた。

ニューヨーク時間午後5時現在、ユーロはドルに対して前日比

0.2%安の1ユーロ=1.3738ドル(前日は同1.3766ドル)。ユ ーロは対円で0.2%安の1ユーロ=124円6銭(前日は同124円 31銭)。ドルは対円でほぼ変わらずの1ドル=90円31銭。

MSCI世界指数は0.7%高。S&P500種株価指数は0.6% 上昇。原油先物相場4月限も値上がりした。

「極めて大胆な実験」

ユーロは主要16通貨中14通貨に対して下落した。ドイツ与党 で金融問題の広報担当を務めるミヒャエル・マイスター議員はベルリ ンでのインタビューで、もし最終的に必要となった場合、「ギリシャ に対し資本市場へのアクセスを回復できるよう後押しできる手段を誰 が持っているのか、われわれは考える必要がある」と指摘。「IMF 以外にこうした手段を持つ者はいない」と語った。

米ハーバード大学のマーティン・フェルドシュタイン教授は13 日のジュネーブでのインタビューで、ギリシャが緊縮財政計画に失敗 し、財政危機を解消するためユーロを離脱する可能性があるとの見解 を示した。同教授は約20年前、欧州通貨統合が「経済的な負担」に なると警告していた。

インプライド・ボラティリティ

将来の相場の変動率の予想を示す1カ月物のユーロ・ドル・オプ ションのインプライド・ボラティリティ(IV、予想変動率)は

9.08%と、2008年8月以来の低水準となった。ブルームバーグの データによると、1カ月前のIVは11.305%、1年前は

16.248%で終了していた。

ドルは主要16通貨中11通貨に対して下落。円も値下がりした。 日本銀行は17日開いた金融政策決定会合で、新型オペによる供給額 を10兆円程度から「20兆円程度」に拡大することを賛成多数で決 定した。このオペは期間3カ月の資金を0.1%で供給する。

カナダ・ドルは米ドルに対して過去14営業日中13日目の上昇。 この日は一時1米ドル=1.0071カナダ・ドルと、08年7月23日 以来の高値水準となった。同国最大の輸出品目である原油の値上がり が手がかりとなった。

◎米国株式市場

米株式相場は上昇。ダウ工業株30種平均が2008年10月以来 の高値となった。景気回復がインフレにはつながっていない兆候が示 されたことが背景。

ダウ平均は7営業日続伸。アルコアやデュポンが上げを主導した。 17日に発表された2月の生産者物価指数(PPI)全完成品は前月 比0.6%低下し、インフレは抑制されているとする米連邦準備制度 理事会(FRB)の判断が裏付けられた。ブラックロックは大きく上 昇。クレディ・スイス・グループが投資判断を「アウトパフォーム」 に引き上げたことが好感された。フォード・モーターも高い。ムーデ ィーズ・インベスターズ・サービスが債務格付けを引き上げたことを 受けた。

S&P500種株価指数は前日比0.6%高の1166.21。ダウ工 業株30種平均は47.69 ドル(0.5%)上げて10733.67ドルと、 17カ月ぶり高値。

ウェルズ・キャピタル・マネジメントの主任投資ストラテジスト、 ジェームズ・ポールセン氏は「株価の上昇を止める要因はない」と分 析。PPI統計は「楽観的な材料になった」とし、「これは、インフ レが問題ではないことから引き締めを行う必要はないとする連邦公開 市場委員会(FOMC)の声明に続いて示されたものだったからだ」 と説明した。

米政策金利

FOMCは、景気回復を下支えするため、長期にわたって政策金 利をゼロ付近にとどめる方針をあらためて表明。これを手掛かりに米 株式相場は前日上昇した。

声明では、労働市場は安定化しつつあり、企業の設備投資は増加 したと言及。銀行融資は縮小を続けているが、金融市場は引き続き経 済成長を支援する状況にあると指摘した。

また「低レベルでの資源活用とインフレ抑制トレンド、安定した インフレ期待を含む経済状況が長期にわたって、フェデラルファンド (FF)金利の異例な低水準を正当化する可能性が高いと引き続き想 定している」と続けた。

「より明るい見通し」

コンスタンティア・プリバトバンク(ウィーン)のファンドマネ ジャー、ワルター・ハレッカー氏は「マクロ経済データの一部は、こ こ1カ月で改善してきている」と分析。「FOMCは、高リスク資産 に関して良い機会が増えると示唆したようなものだ。これは株式相場 にはプラスだ。若干のインフレなら問題はない。すべてがより明るい 見通しにつながる材料だ。現時点では、状況は改善している」と述べ た。

ブラックロックは4.9%高の222.80ドル。クレディ・スイス は投資判断を「ニュートラル」から「アウトパフォーム」に引き上げ た。

エネルギー株や資源株は、需要回復期待から商品相場が値上がり したことに反応し上昇した。米最大のアルミメーカー、アルコアは

4.8%高。エネルギー最大手のエクソンモービルは1.2%上げた。

S&P500種の自動車株指数は、24業種中で最大の上げ。フォ ードは4.5%高の14.10ドルとなった。ムーディーズはフォード と、フォード・モーター・クレジットの格付けを引き上げたほか、一 段の格上げの可能性も検討している。

◎米国債市場

米国債市場では2年債と10年債の利回り格差が過去約2週間で の最小に縮小した。午前に発表された2月の米生産者物価指数(PP I)でインフレ圧力の高まりがほとんどみられなかったことが背景。

米労働省が発表した2月の生産者物価指数全完成品は前月比で

0.6%低下。10年債は同指数の発表後に上値を伸ばした。2年債は 3日ぶりに下落。米財務省は来週実施する3度の国債入札の詳細を 18日に明らかにする。

ロイヤル・バンク・オブ・カナダの米国債トレーダー、ダン・マ ルホランド氏は「PPI統計は予想以上の低下であり、インフレがし ばらくの間は抑制されていることが示唆された。一部の資産が長期債 に振り向けられている」と述べた。

2年債と10年債の利回り格差は最大で0.02ポイント縮小し て2.72ベーシスポイント(bp、1bp=0.01ポイント)。今月5 日以来で最小となった。BGキャンター・マーケット・データによる と、ニューヨーク時間午後4時14分現在、2年債利回りは0.92%。 10年債利回りは前日比1bp低下の3.64%。

借り入れコスト

期間の短い国債の利回りは、フェデラルファンド(FF)金利誘 導目標に追随する傾向がある。

3カ月物Tビル(財務省短期証券)利回りは0.165%と、昨年 8月24日以来の最高を記録した。

実効FF金利は今月15日に0.31%と昨年10月以来の最高を 記録。前日は同0.25%だった。

連邦公開市場委員会(FOMC)は前日、FF金利の誘導目標を 0%から0.25%のレンジで据え置くと決定した。

ドル建て3カ月物ロンドン銀行間取引金利(LIBOR)も約6 カ月ぶりの大幅上昇を記録した。英国銀行協会(BBA)によれば、 同金利は昨年11月19日以来の最高となる0.266%に上昇した。 前日は0.261%。上昇幅は2009年9月29日以来で最大だった。

PPI

2月の生産者物価指数(PPI)は食品とエネルギーを除いたコ ア指数が前月比0.1%上昇した。

グッゲンハイム・パートナーズの米金利トレーディング責任者、 トーマス・ディガロマ氏は「インフレ見通しは予想よりも弱く、利回 りを押し下げる材料になっている」と語った。

ブルームバーグ・ニュースがプライマリーディーラー(政府証券 公認ディーラー)7社を対象にまとめた予想平均値によると、23日 実施の2年債入札の規模は440億ドル、24日の5年債は420億ド ル、25日の7年債は320億ドルとなっている。いずれの予想も前 月と同じ規模。

ロイヤル・バンク・オブ・スコットランドの米国債ストラテジス ト、ウィリアム・オドネル氏は「毎回入札規模が発表されるたび、国 債発行は実際の需要以上に膨れ上がり、財務省はどこかの時点でこれ を縮小し始めることを検討するだろうと考えさせられる」と述べた。

◎金先物市場

ニューヨーク金先物相場は3日続伸。ドルが下落するとの見方か ら、代替投資先としての金の魅力が増した。

主要6通貨のバスケットに対するドル指数は下落。16日には、 米連邦公開市場委員会(FOMC)が「長期にわたり」異例の低金利 を維持することをあらためて表明したことで、0.6%安まで売られた。 2009年にはFOMCが政策金利を過去最低に維持するなか、金は年 間ベースで24%上昇した一方、ドルは4.2%下落した。

ラサール・フューチャーズ・グループのシニアアナリスト、ケビ ン・ダビット氏(シカゴ在勤)は、「FOMCは時期尚早な利上げに は極めて消極的だ」と述べ、「金融緩和政策はドルを弱める一方、金 を強める可能性がある」と続けた。

ニューヨーク商業取引所(NYMEX)COMEX部門の金先物 4月限は前日比1.70ドル(0.2%)高の1オンス=1124.20ド ルで取引を終了した。前2営業日では1.9%上昇している。

◎原油先物市場

ニューヨーク原油相場は上昇。原油輸入と石油製品在庫の減少を 手掛かりに、1バレル=82ドルを突破した。

米エネルギー省エネルギー情報局(EIA)が発表した在庫統計 によると、3月12日終了週の原油輸入は0.8%減少し、2002年以 来の低水準となった。ガソリン在庫のほか、ヒーティングオイル(暖 房油)とディーゼル油を含む留出油在庫も減少。減少幅はアナリスト 予想を上回った。石油輸出国機構(OPEC)加盟12カ国の閣僚は、 ウィーンで開いた総会で生産上限枠の据え置きを決めた。

エネルギー顧問会社、オイル・アウトルックス・アンド・オピニ オンズのカール・ラリー社長は「原油輸入は本当に極めて低い水準ま で減少した。原油はほかの国に回っており、米国は望んでいるほどの 原油を輸入できずにいる」と語った。

ニューヨーク商業取引所(NYMEX)の原油先物4月限は前日 比1.23ドル(1.51%)高の1バレル=82.93ドルで取引を終了 した。

◎欧州株式市場

欧州株式相場は続伸。1年5カ月ぶり高値に上昇した。米連邦公 開市場委員会(FOMC)が前日に政策金利の据え置きを決定、長期 にわたり低金利政策を維持する姿勢を示したのが材料視された。

英豪系鉱山会社リオ・ティント・グループを中心に鉱山株が上昇。 FOMCは会合後に発表した声明で、景気が引き続き回復していると 指摘しながらも、低金利政策を維持する方針を示した。イタリアの銀 行最大手、ウニクレディトは大幅高。同銀が発表した四半期純利益は アナリスト予想を上回った。英鉄道事業者アリバも高い。同社が買収 打診を受けたと述べたのが手掛かりだった。

ストックス欧州600指数は前日比0.9%高の261.34。2008 年10月3日以来の高値をつけた。

キャンター・フィッツジェラルドのロンドン在勤チーフ・グロー バル株式ストラテジスト、スティーブン・ポープ氏は「FOMCが声 明で示唆した、必要なら緩和的な金融政策を必要に応じた期間継続す るという姿勢は投資家心理にとっては強材料だ」と述べ、「多くの好 材料が表れつつある」と続けた。

リオは1.9%上昇。ロンドン商品市場では銅相場が続伸した。

ウニクレディトは5.8%高。同行の第4四半期純利益は3億 7100万ユーロ。ブルームバーグ・ニュースがまとめたアナリスト 予想では2600万ユーロの赤字が予想されていた。配当は1株当た り0.03ユーロを予定している。

アリバは17%高と、2000年7月以来で最大の上げだった。同 社は1社から買収を打診されたと述べたが、企業名は明らかにして いない。

◎欧州債券市場

欧州債市場ではドイツ10年債相場が4営業日続伸。米連邦公開 市場委員会(FOMC)が16日に「長期にわたり」低金利を維持す ることをあらためて表明した。これが、この日のドイツ債入札に対す る意欲を高めるのに役立った。

独10年債利回りは1日以来の低水準を付けた。ドイツは17日、 41億ユーロ相当の国債を入札した。欧州連合(EU)の行政執行機 関である欧州委員会が、ドイツなどの一部諸国に対し財政再建の目標 を達成できなくなると警告したほか、フランスとスペイン、アイルラ ンドに財政赤字削減策の詳細の提出を求めたことも、ドイツ債への支 援要因だった。

ウニクレディトの債券ストラテジスト、コーネリアス・パープス 氏(ミュンヘン在勤)は、「FOMC会合後の市場見通しは、各国の 中央銀行が年内に利上げしないというものだ」と述べ、「これがドイ ツ債を支援した。入札結果も市場のセンチメントを支える一因だった」 と語った。

ロンドン時間午後4時29分現在、独10年債利回りは前日比3 ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)低下の3.11%。一時 は3.09%まで下げる場面もあった。同国債(表面利率3.25%、 2020 年1月償還)価格は0.23ポイント上げ101.15。独2年債 利回りは4bp低下の0.97%となった。

◎英国債市場

英国債市場では10年債利回りが前日比2ベーシスポイント (bp、1bp=0.01%)低下の4%。一方、2年債利回りは1b p上昇し1.22%となった。

イングランド銀行(英中央銀行)が17日公表した議事録による と、キング総裁ら9人から成る金融政策委員会(MPC)は4日、債 券買い取り規模を現状で維持することを全会一致で決めた。一部のメ ンバーはインフレリスクの高まりを指摘したという。MPCはまた、 政策金利を0.5%に据え置くことも全会一致で決定した。

各種統計で戦後最悪の景気低迷からの英経済の回復が示される中、 インフレ期待は高まりつつある。英中銀のビーン副総裁は16日のロ ンドンでの講演で、インフレは予想に反して強いと発言した。

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参考画面: 記事に関する記者への問い合わせ先: ニューヨーク 名子 知子 Tomoko Nago-Kern +1-212-617-2407 tnagokern@bloomberg.net ニューヨーク 大塚 美佳 Mika Otsuka +1-212-617-5823 motsuka3@bloomberg.net Editor: Akiko Nishimae, Shigeru Chiba 記事に関するエディターへの問い合わせ先: 東京 大久保 義人 Yoshito Okubo +81-3-3201-3651 okubo1@bloomberg.net

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