白川日銀総裁:景気改善を確かなものにする-新型オペ拡充

日本銀行の白川方明総裁は17日午 後の定例記者会見で、同日決定した新型オペ拡充の狙いについて、や や長めの金利の低下や企業マインドへの影響を挙げた上で、「このとこ ろ景気は幾分上振れ気味で推移しているだけに、こうした措置は経済、 物価の改善の動きを確かなものにすることに資する」と述べた。

白川総裁は「日本経済がデフレから脱却し、物価安定の下での持 続的成長経路に復帰することが極めて重要な課題であると認識してい る。そのために中央銀行としての貢献を粘り強く続けていく」と言明。 「今回のやや長めの金利の低下を促す措置の拡充は、こうした日銀の 政策運営方針をあらためて明確に示すものだ」と語った。

日銀は同日開いた金融政策決定会合で、新型オペによる供給額を 10兆円程度から「20兆円程度」に拡大することを賛成多数で決定した。 企業金融支援特別オペの残高が4月以降減少することに対応した。新 型オペは昨年12月1日の臨時の金融政策決定会合で導入したもので、 全適格担保を対象に期間3カ月の資金を0.1%で供給する。

新型オペの拡充には須田美矢子委員と野田忠男委員が反対した。 その理由について、白川総裁は「詳しい考え方は議事要旨等で公表す るのでご容赦いただきたい」と述べるにとどめた。日銀は今回、新型 オペを10兆円から20兆円に増やしたが、具体的な規模については採 決をとらず、執行部が判断した。

資金供給額は「現場にゆだねる」

白川総裁はこの点について問われ、「かつての量的緩和は、量それ 自体を誘導目標として設定し、それを達成するように調節した」が、 今回採用している金融政策は「そういう意味では量的緩和ではない」 と指摘。金融調節方針は「あくまでも無担保コール翌日物金利を0.1% にするように促すこと」であり、「やや長めの金利の低下を促していく ことがわれわれの考えだ」と述べた。

さらに、これを実現するために「どの程度のオペの金額が必要か は、さらなる金利の低下を促すという要請と、短期金融市場の機能を 維持していくということとのバランス」を取る必要があると指摘。「金 額をいくらという形で設定すると、結果としてバランスをうまく達成 できない」ため、「そこは金融市場の調節の現場に委ねる」と語った。

白川総裁は新型オペ拡充の効果については「やや長めの金利の低 下に加えて、現在の金融緩和が経済に一段と浸透し、貸出金利は企業 マインドなどにも好影響を与えることを期待している」と指摘。その 結果として「民間需要を下支えし、経済、物価が改善する動きを確か なものにすることに資すると考えている」と述べた。

量的緩和ではないが、追加緩和

今回の措置により円安が進むのか、との質問に対しては「極めて 低い金利を維持するという日銀の姿勢を明確に示すものなので、こう した姿勢に対する市場の見方がさらに浸透していけば、もちろん為替 相場にも相応の影響があるのかもしれない」としながらも、「このこと 自体を目的にして今回の措置を決定したわけではない」と述べた。

今回の措置は広い意味での量的緩和と受け止めてよいのか、との 質問に対しては「当座預金残高を目標に金融政策を運営していくとい う運営方式はとっていない。そういう意味で量的緩和政策の拡充とい うことではそもそもない」と語った。その一方で、「やや長めの金利の 低下を促す措置を拡充するという意味で追加緩和措置だ」と述べた。

景気については「先月と同様、国内民間需要の自律的回復力はな お弱いものの、内外における各種対策の効果などから持ち直している。 景気の総括判断は変わっていないが、個別の需要項目をみると、全体 に幾分上振れ気味に推移している」と述べた。

物価は想定通りに推移

山口広秀副総裁は先月24日の講演で消費者物価(除く生鮮食品) 前年比について「下落幅が縮小するテンポは若干遅いような印象を受 けている」と述べた。白川総裁はこの点について「1月の中間評価で 示した日銀の想定におおむね沿っているとふうに判断した。先行きの 中心的な見通しとしては、マクロ的な需給ギャップの改善に伴って、 前年比の下落幅がさらに縮小する可能性が高いとみている」と語った。

白川総裁は一方で、「需給ギャップの変化が物価に表れてくるには かなり長い時間がかかることは冷静に認識しておく必要がある」と指 摘。「短期間の物価上昇の多くは景気改善ではなく、国際商品市況の大 幅な上昇など、いわば外生的なショックが原因であることが過去の経 験だ」とした上で、「そのような物価だけが上がることが国民生活にと って望ましいかというと、それは望ましくない」と語った。

    最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中
    LEARN MORE