日本初ピンクスリップパーティーから1年、外資投資銀の雇用様変わり

解雇通知(ピンクスリップ)を 受け取ったバンカーたちが六本木に集まった日本初の「ピンクスリ ップパーティー」から約1年。パーティーの主催者で、自らもモル ガン・スタンレーのバンカーだった南壮一郎氏は先週、2億円の小 切手を手にした。

同氏は2009年4月に六本木ヒルズのバー、ハートランドで日本 初のピンクスリップパーティーを開いた主催者。リセッション(景 気後退)で職を失ったバンカーら約300人が500円のビールを自腹 で飲みながら、人材あっせん会社や企業の採用担当者たちと交流し た。それから約1年。外資系投資銀行を取り巻く雇用環境は大きく 変化している。

プロ野球の楽天イーグルス設立に参画後、07年に転職支援会社、 ビズリーチを設立した南氏(33)は先週、ベンチャーキャピタルの 野村ホールディングス系のジャフコから2億円の出資を得た。金融 機関が採用を再開する一方で、現職バンカーらもボーナスを受け取 って転職を模索しているため、事業は絶好調だという。南氏はこの 資金を活用し、同社の有料求人情報サイトの加入者を3倍にしたい と考えている。

同氏はインタビューで、「自分が1年前にビジネスを始めた時は、 多くの顧客が失業したばかりだった。今は外国銀行が採用を再開し て、現役バンカーが当社を利用して自分のマーケット価値を診断、 将来の転職の機会を探している」と語った。

最初のピンクスリップパーティー当時はTOPIXが26年ぶ りの安値から回復し始めた時期。国内では外国銀行によるバンカー 解雇の嵐が吹き荒れていた。

ブルームバーグのデータによれば、ゴールドマン・サックス・ グループとJPモルガン・チェース、バンク・オブ・アメリカ(B OA)、クレディ・スイス・グループ、シティグループ、BNPパリ バ、モルガン・スタンレー、ドイツ銀行は09年3月31日までの1 年間に日本で人員を12%削減。昨年3月末の人員数は7846人に落 ち込んだ。

まだら模様

株式相場の反発と、株式・債券の発行増加で、株式アナリスト から企業合併のアドバイザーまで、あらゆる人材への求人が回復し た。人材あっせん会社、コトラの代表取締役、大西利佳子氏は、「米 国と欧州の投資銀行で特に、アナリストやアソシエイトのジュニア クラスを中心にM&A(企業の合併・買収)やカバレッジバンカー 採用を再開するなどの動きが見られる」と述べた。ただ、こうした 現象は急激なリストラに対する「反動に過ぎないかもしれない」と 指摘、採用地図はまだ「まだら模様だ」と付け加えた。

ビズリーチが運営する加入者専用の有料の求人サイトでは、年 俸約1000万円以上の職を紹介する。国税庁の統計によれば、日本の 勤労者の08年の平均年収は429万6000円だった。

南氏はジャフコからこのほど得た資金で宣伝を強化し、営業ス タッフも増やす計画だ。有料の求人情報サービスの登録者数を年末 までに5万人に増やすことを目指す。現在は1万6000人。

ジャフコの第二投資運用本部投資運用三部の藤井淳史部長代行 は、「日本ではハイクラスの求人はこれまで、縁故や人を介しての紹 介が主だったが、ビズリーチはこれらに市場性を持たせることに成 功した」と述べ、高報酬の金融業界の人材あっせんに特化したビジ ネスモデルが投資を決断した理由と説明した。

バンカーから客室乗務員まで

同社の登録者は主に金融機関関係者だが、最近は航空会社の客 室乗務員もおり、多岐にわたる。企業再生支援機構の管理下で再生 を図る日本航空(JAL)は現在、早期退職者を募集中。ビズリー チの今年1月の新規登録者数は2500人と、前月から倍増しており、 3月は約3500人に達する見込みだと南氏は予想している。

そういうわけで、ピンクスリップパーティーは当分お休み。南 氏によると、ビズリーチは昨年7月に2回目のパーティーを主催し、 160人ほどが参加した。しかし次の開催は予定していないという。 なぜなら、もはや需要がないからだ。

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