トヨタ:苦戦の中国市場でリコールが追い打ち-戦略見直しの必要も

中国でトヨタ自動車の車の人気に 陰りが見え始めた。リコール(無料の回収・修理)の影響だけでない。 長期的な戦略の見直しも必要となりそうだ。

「半年前、トヨタの顧客は人気車種「RAV4」の納入期限を早 めるためだけに5000元(約6万6000円)を喜んで定価に上乗せして 払っていた」。中国・北京でトヨタ車を販売するニール・フーさんはト ヨタ車の人気の移り変わりを感じている。

2カ月ほど前から、5000元を上乗せするならシートなど内装をサ ービスするよう求められるようになり、2月20日にはそのサービス料 金の上乗せすらやめた。「リコールの影響はあるが、料金の上乗せ分を やめたら顧客は戻ってくる」と言う。

トヨタの2月の中国乗用車販売は約4万5000台で、前年同月比 30%伸びた。市場全体の伸びが55%であることを考えると、決して順 調とは言えない。「リコールの影響で、トヨタは強気の販売価格を維持 できない」とインテリジェンス・オートモーティブ・アジアのマネジ ングディレクター、アシュビン・チョータイ氏は指摘する。

トヨタの豊田章男社長は今月2日、米公聴会の証言後すぐ北京に 立ち寄り記者会見を開いた。中国市場重視の姿勢だ。しかし、トヨタ の中国市場戦略にはすでにひずみが生じ始めていると指摘する声があ る。

得意セグメント、得意地域でシェア低下

自動車産業専門調査会社、フォーインの統計によると、09年の中 国での登録車販売台数の伸びはトヨタが前年比20%で、トップ15社 のうち最も伸び率が低い。セグメント別のシェアでもスポーツ型多目 的車(SUV)を除くすべてで低下している。

フォーインの中国調査部長、周政毅氏は「トヨタの主力モデル、 カムリがある得意分野のセグメントでシェア低下が進行しているから 問題はかなり深刻」と指摘する。カムリなどの乗用車セグメントのシ ェアは09年、前年比で4.6%減となっている。

また、周氏は華東、華南など中国の沿岸地域でのトヨタの09年販 売シェアは、それぞれ2.8%減、2.9%減となっていることに言及し、 「成長著しい内陸部の伸びについていけないことも懸念だが、本来ト ヨタが強い沿海地域でもシェアが後退している」と指摘した。

戦略の見直しが必要

中国自動車工業協会は10年の販売予測を前年比10%増の1500万 台と見込んでおり、伸び率は09年の46%増からは大きく後退する。 中国の自動車メーカーが力をつけつつあることから、アドバンストリ サーチジャパンの遠藤功治マネージングディレクターは「今後、海外 メーカーのシェア低下が見込まれる中、トヨタは海外メーカー同士の シェア争いにも苦戦する」という見方をしている。

トヨタは今月、カムリやクラウンなど主力車種を対象に無利子ロ ーンを提供するなど販売促進策を強化した。チョータイ氏は「競争が 激化する中、販売台数だけを気にすると利益が犠牲になる」とそのバ ランスの難しさを強調する。

トヨタは中国向けの低コスト車の開発を進めているが、この戦略 がトヨタの利益を脅かす可能性も指摘されている。フォーインの周氏 は「リコールで品質不安が高まる中、現地調達部品を多く取り入れる 低コスト車の見直しが進めば、結果として販売価格が高くなり競争力 の低下につながりかねない」と指摘。

その上で、経営資源を得意分野のセグメントに集中して「収益重 視路線をとるか、リスクをあえて冒して引き続き低コスト車プロジェ クトを進めてシェア拡大路線を維持するか見極める必要がある」とし ている。

Editor:Hideki Asai、Takeshi Awaji

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