3月16日の海外株式・債券・為替・商品市場

欧米市場の株式、債券、為替、 商品相場は次の通り。

◎外国為替市場

ニューヨーク外国為替市場ではドルがほとんどの主要通貨に対し て下落。米連邦公開市場委員会(FOMC)が政策金利を「長期に わたり」ゼロ近辺に維持するとあらためて表明したことから、リス ク資産への買いが活発化した。

ユーロはドルと円に対して上昇。欧州連合(EU)の財務相理事 会でギリシャ緊急融資への基本戦略がまとめられたことや、格付け会 社スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)がギリシャの長期信用 格付けを維持したことが追い風になった。米ドルはカナダ・ドルに対 してほぼ2年ぶりの安値、南アフリカ・ランドに対しては2カ月ぶり の安値に下落した。原油や金先物相場に加え、株式相場の値上がりが 背景。

フィッシャー・フランシス・ツリーズ・アンド・ワッツ(ニュー ヨーク)の資産運用担当者、デービッド・ティーン氏は「FOMCの 『長期にわたり』という文言は、今後の約3、4会合では政策金利に 変更がないことを意味する」と指摘。「これが新興国や周辺国の通貨 を支えている」と述べた。

ニューヨーク時間午後3時25分現在、ドルはユーロに対して前 日比0.7%安の1ユーロ=1.3776ドル(前日は同1.3677ドル)。 ドルは対円で1ドル=90円29銭(前日は同90円53銭)。ユー ロは対円で0.4%高の1ユーロ=124円38銭(前日は同123円 83銭)。

CMEグループの取引所の金利先物動向によると、米金融当局が 9月の会合までに少なくとも0.25ポイントの利上げを実施する確 率は39%。1カ月前は46%だった。

FOMCは声明で、「低レベルでの資源活用とインフレ抑制トレ ンド、安定したインフレ期待を含む経済状況が長期にわたって、FF 金利の異例な低水準を正当化する可能性が高い」と言及した。

資産購入

金融当局は政府機関発行の住宅ローン担保証券1兆2500億ド ルと、政府機関債約1750億ドルの購入を今月末までに完了すると あらためて言明。「これらの購入は近く終了を予定しており、残りの 購入は今月末までに完了する」と述べた。

FOMCは08年10月以来、政策金利であるフェデラルファン ド(FF)金利の誘導目標を0-0.25%に維持。また、09年3月 に使用し始めた「長期にわたり」という文言は、それ以降毎回の声明 で繰り返している。カンザスシティー連銀のホーニグ総裁は2会合連 続で決定に反対票を投じた。

ウエストパック銀行のシニア通貨ストラテジスト、リチャード・ フラヌロビッチ氏(ニューヨーク在勤)は「結局FOMCは、長期に わたりという文言を維持した。一部にはこの文言が声明から外される との見方もあった」と指摘。「当局が平穏を乱すことはしないと示唆 する限り、リスク選好の動きには好材料となりドルには弱材料となる」 と述べた。

ユーロへの支え

ユーロ圏財務相会合は15日、ギリシャ緊急融資への基本戦略がま とめられた。パパンドレウ首相率いるギリシャ政府は財政赤字削減に 苦慮している。同国の財政赤字は対国内総生産(GDP)比率3%以 下とする欧州連合(EU)の基準を4倍余り上回っている。

ギリシャへの支援は恐らく同国に直接融資するための基金に各国 が資金を拠出する形になるだろうと、当局者の1人は匿名を条件に述 べた。

格付け会社のS&P)はギリシャの長期格付け「BBB+」と短 期「A-2」を維持した。アウトルック(見通し)は「ネガティブ」 に指定した。

◎米国株式市場

米株式相場は上昇。S&P500種株価指数は17カ月ぶり高値を付 けた。米連邦公開市場委員会(FOMC)が、景気回復を下支えす るため、長期にわたって政策金利をゼロ付近にとどめる方針をあら ためて表明したことが好感された。

シティグループやウェルズ・ファーゴなど金融株が高い。FO MC声明では、景気は回復しつつあるものの、低金利は長期にわた り正当化されると説明した。インテルも上昇。10万個余りの新型半 導体を出荷したとの発表に反応した。ゼネラル・エレクトリック (GE)は、来年増配を再開する可能性があるとの発表を受け買わ れた。ハーレー・ダビッドソンは大幅高。買収観測が再燃したこと が背景にある。

S&P500種株価指数は前日比0.8%高の1159.46と、2008年 10月以来の高値。ダウ工業株30種平均は43.83ドル(0.4%)上げて

10685.98ドルと、6営業日続伸となった。

ソーンバーグ・インベストメントのマネーマネジャー、クリ フ・レミリー氏は「FOMCの声明にこれまでとの実質的な違いは ないが、市場を支援するニュアンスが一部に見られた」と指摘。 「今回の声明は景気の回復をあらためて確認するもので、労働市場 や設備投資に対するFOMCの見方がプラスになったことは確かだ」 と述べた。

FOMC声明

この日のFOMC声明では、労働市場は安定化しつつあり、企 業の設備投資は増加したと言及。銀行融資は縮小を続けているが、 金融市場は引き続き経済成長を支援する状況にあると指摘した。

また「低レベルでの資源活用とインフレ抑制トレンド、安定し たインフレ期待を含む経済状況が長期にわたって、フェデラルファ ンド(FF)金利の異例な低水準を正当化する可能性が高いと引き 続き想定している」と続けた。

IGマーケッツのシニアマーケットアナリスト、ダン・クック 氏は「市場はFOMCの声明を非常に好感し素早く動いた」とし、 「かなり速いペースで注文があった」と語った。

朝方発表された2月の輸入物価指数は前月比0.3%低下。前月比 でのマイナスは7カ月ぶりとなった。

ギリシャ格付け

格付け会社のスタンダード・アンド・プアーズ(S&P)は、 ギリシャの財政赤字削減に向けた取り組みを踏まえ、長期格付けを 「BBB+」で維持。また長期格付けの「クレジットウォッチ・ネ ガティブ」を解除した。これは、格下げの可能性をもはや検討して いないことを意味している。

クリスティアナ・バンク・アンド・トラストのマネーマネジャ ー、トーマス・ニューハイム氏は「ギリシャの件も投資家のセンチ メント改善に作用している」と指摘。「ギリシャの格付けが安定し たことを考えると、問題が欧州全体に広がることはなさそうだ」と 述べた。

シティ、インテル

シティグループは4.1%高の4.05ドル。事情に詳しい複数の関 係者の話によれば、同行は株式の自己勘定取引部門の1つを強化し ている。政府が自己勘定取引の規制案を打ち出した後、同部門では 従業員22人のうち8人が退社したという。ウェルズ・ファーゴは

1.3%高の30.28ドルで、5カ月ぶり高値。

インテルは4%高の22.01ドルと、08年9月以来の高値。値上 がり率は昨年8月以降で最大となった。同社は16日から正式に発売 される新型プロセッサー「Xeon(ジーオン)5600」をすでに10 万個余り出荷したと発表した。

GEは4.5%高の18.07ドル。ハーレー・ダビッドソンは7%上 昇の28.35ドルだった。

◎米国債市場

米国債相場は上昇。今月に入り最大の上げとなった。連邦公開市 場委員会(FOMC)は会合後の声明で、長期にわたって低金利を 維持するとあらためて示した。

10年債利回りは約1週間ぶりの低水準。FOMC声明のほか、オ バマ政権が、失業率を先月の水準(9.7%)から大きく押し下げるほ ど十分な雇用は確保されないとの見通しを示したのが背景。

モルガン・スタンレー・スミス・バーニーの債券ストラテジスト、 ケビン・フラガナン氏は、「短期債が上昇している」と述べ、「F OMCは経済およびフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標に 関して政策スタンスを変更する段階にないとみている。そのため、 短期債の懸念材料が今のところ弱まっている」と続けた。

BGキャンター・マーケット・データによると、ニューヨーク時 間午後2時26分現在、10年債利回りは前日比4ベーシスポイント (bp、1bp=0.01%)低下の3.66%。一時は2月26日以降で最 大となる5bp低下した。10年債価格(表面利率3.625%、2020年 2月償還)は11/32上昇して99 23/32だった。2年債利回りは4b p下げて0.91%だった。

FOMC声明

FOMCは声明で「低レベルでの資源活用とインフレ抑制トレン ド、安定したインフレ期待を含む経済状況が長期にわたって、FF 金利の異例な低水準を正当化する可能性が高いと引き続き想定して いる」と繰り返した。

ブルームバーグ・ニュースがまとめたエコノミスト調査では、調 査対象となった90人全員がこの日の金利据え置きを予想していた。

10年債利回りは一時、3月5日以来の低水準をつけた。ガイトナ ー米財務長官、米行政管理予算局(OMB)のオルザグ局長、米大 統領経済諮問委員会(CEA)のロマー委員長は共同声明を発表し、 「失業率は長期にわたり高い水準で推移する公算が大きい」との見 解を述べた。

住宅着工件数

米商務省が発表した2月の住宅着工件数(季節調整済み、年率換 算)は57万5000戸に減少。ブルームバーグ・ニュースがまとめた エコノミストの予想中央値は57万戸。前月は61万1000戸と、速報 値の59万1000戸から上方修正された。

格付け会社ムーディーズ・インベスターズ・サービスのアナリス トらが、米英に付与した最上級格付けを引き下げる可能性は低いと の認識を示すと、米国債に買いが入った。

前回(1月27日)のFOMC声明で、緊急景気刺激策を解除する 意向があらためて示されたほか、カンザスシティー連銀のホーニグ 総裁が金利据え置き決定に反対票を投じたことを背景に、米国債は 騰勢を失っていた。

バンク・オブ・アメリカ・メリルリンチのデータによると、今月 の米国債投資リターンは0.5%のマイナス、前月は0.4%のプラスだ った。

◎金先物市場

ニューヨーク金先物相場は上昇。ドルが下落したことで代替投資 としての金への魅力が強まり、2週間ぶり大幅高となった。

主要6通貨のバスケットに対するドル指数が一時0.7%下落した ほか、エネルギー相場が商品の上げをけん引した。金先物の通常取引 終了後、米連邦準備制度理事会(FRB)は連邦公開市場委員会(F OMC)会合の結果を発表。政策金利であるフェデラルファンド(F F)金利の誘導目標を0%から0.25%のレンジに据え置く方針をあ らためて示した。2009年にはFRBが借り入れコストを過去最低に 維持するなか、ドルは年間ベースで4.2%下落した一方、金は24% 上昇した。

インテグレーテッド・ブローカレッジ・サービシズのヘッドデ ィーラー、フランク・マギー氏(シカゴ在勤)は「景気回復がこれ ほど脆弱(ぜいじゃく)な状況では、FRBは利上げに踏み切りに くくなるだろう」と述べ、「ドルが下げているため、金と原油が押 し上げられた」と続けた。

ニューヨーク商業取引所(NYMEX)COMEX部門の金先 物4月限は前日比17.10ドル(1.5%)高の1オンス=1122.50ドル で取引を終了した。中心限月の上げ幅としては2日以降で最大。

◎原油先物市場

ニューヨーク原油相場は上昇。ドルの対ユーロ相場が下げたこと で、代替投資先としての大半の商品の需要が押し上げられ、原油は一 時、4週間ぶり大幅高となった。石油輸出国機構(OPEC)加盟国 の石油相らが増産の公算は小さいとの見方を示したことも買いを誘っ た。

原油は一時2.8%高と、2月16日以来の大幅高となった。格付 け会社のスタンダード・アンド・プアーズ(S&P)がギリシャ長期 信用格付けを維持したことで、ドルの対ユーロ相場が下落した。OP EC最大の産油国であるサウジアラビアのヌアイミ石油鉱物資源相は 15日、現在の原油価格は適切な水準にあるとの見解を示した。

食糧やエネルギー関連の商品に投資するヘッジファンド、ラウ ンド・アース・キャピタルのパートナー、ジョン・キルダフ氏は 「ドルはユーロに対してかなり下げた。これが確実に原油相場に勢 いをもたらしつつある。OPECの決定も相場に織り込み済みだ」 と語った。

ニューヨーク商業取引所(NYMEX)の原油先物4月限は前 日比1.90ドル(2.38%)高の1バレル=81.70ドルで取引を終了。 一時は82.04ドルを付けた。

◎欧州株式市場

欧州株式相場は上昇。8週ぶり高値をつけた。米格付け会社スタ ンダード・アンド・プアーズ(S&P)がギリシャをクレジットウォ ッチの対象から除外したことが好感された。

英銀2位バークレイズと仏銀最大手BNPパリバを中心に銀行株 が上昇。モルガン・スタンレーが両行の株価予想を引き上げたことが 材料となった。スイスのチョコレートメーカー、リンツ・アンド・シ ュプルングリーも上昇。2011年以降、利子・税引き前利益の伸び率 が8-10%になるとの見通しを示したことが手掛かり。

ストックス欧州600指数は前日比1%高の259.03。1月19日 以来の高水準だった。S&Pはギリシャの長期格付け「BBB+」を 維持し、同国の「クレジットウォッチ・ネガティブ」を解除した。

ロベコ・アセット・マネジメント(パリ)の投資部門ディレクタ ー、イブ・マイヨ氏は「ギリシャについては、一種の安堵(あんど) 感がある」と述べた。

バークレイズは2.5%高、BNPも2.5%値上がりした。モルガ ン・スタンレーは、基本事業での収入減や業界の規制改革などが予想 されているなかで、投資銀行にとっては今年が「極めて重要」な一年 となると述べた。

リンツは3.5%高。同社の2009年利益は前年比26%減の1億 9310万スイス・フラン。チョコレート市場が10年ぶりに縮小したの が影響した。

◎欧州債券市場

欧州債市場ではギリシャ国債が大幅上昇した。米格付け会社スタ ンダード・アンド・プアーズ(S&P)がギリシャの財政赤字削減へ の取り組みを理由に、早急なギリシャ格下げの予定がないと明らかに したことが背景。

S&Pはギリシャの格付けを「BBB+」に維持し、さらなる 格下げの可能性のある「クレジットウォッチ・ネガティブ」から解 除した。

ドイツ国債も上昇。米連邦公開市場委員会(FOMC)が政策 金利をゼロに近い水準で「長期にわたり」維持する方針をあらため て表明するとの観測が広がったことがきっかけ。

クレディ・アグリコルCIB(ロンドン)の債券ストラテジス ト、ピーター・チャットウェル氏は、「ギリシャが講じた緊縮策の 明らかな効果が一部で表れ始めるだろう。ギリシャは差し迫った危 機を脱した。現在は計画した内容を順守する必要がある」と語った。

ロンドン時間午後3時55分現在、ギリシャ2年債利回りは前 日比24ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)低下し4.61%。 同国債(表面利率4.3%、2012年3月償還)価格は0.44ポイン ト上げ99.43。ギリシャ10年債利回りは16bp低下の6.17%。

独10年債利回りは3.14%と、前日をほぼ2bp下回った。 ギリシャ10年債との利回り格差は303bpとなり、前日の319b pから縮小した。独2年債利回りは2bp低下の1.01%。

◎英国債市場

英国債市場では、10年債相場が上昇した。同利回りは前日比4 ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)低下の4.02%。

2年債利回りは1.21%にとどまった。両国債のスプレッド(利 回り格差)は4bp縮小の281bpと、今月8日以来の最小となっ た。

バンク・オブ・アメリカ(BOA)メリルリンチがまとめた国 債指数によると、英国債の過去1年のリターン(投資収益率)はマ イナス1.7%。これに対しドイツ国債はプラス4.5%、米国債はプ ラス0.9%となっている。

ニューヨーク・ニューズルーム   1-212- 617-3007

参考画面: 記事に関する記者への問い合わせ先: ニューヨーク 名子 知子 Tomoko Nago-Kern +1-212-617-2407 tnagokern@bloomberg.net Editor: Shigeru Chiba 記事に関するエディターへの問い合わせ先: 東京 大久保 義人 Yoshito Okubo +81-3-3201-3651 okubo1@bloomberg.net

    最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中
    LEARN MORE