不況期に高級ワイン市場に参入する米醸造業者の心意気-工夫次第

ワイン醸造業者のベン・シャープ 氏が昨年、ニューヨークのカフェで卸売業者と待ち合わせていると、 近くのテーブルに有名女優のキャメロン・ディアスがいるのに気付い た。

シャープ氏は「『ワインの商談も本当に重要だが、有名人を間近に 見ると不安で落ち着かないものだ』と思った」と振り返る。同氏はカ リフォルニア州ナパバレーにあるワイナリー、キャプチャー・ワイン ズのオーナーだ。

シャープ氏は素早く落ち着きを取り戻し、白ワインのソーヴィニ ヨン・ブランを卸売業者に印象付けた。自身のワイナリーで手掛けた 初の高級ワインだ。ところが、最大の困難はそれからだった。1930年 代以降で最も深刻な景気低迷期に1本当たり32ドル(約2900円)の 「トラディション・ソーヴィニヨン・ブラン2008年」を6500本販売 しようというのだから。

ワイン業界を対象とするコンサルタント会社ゴンバーグ・フレド リクソン・アンド・アソシエーツ(カリフォルニア州)のジョン・フ レドリクソン社長は「多くの業者にとって間違いなく厄介な時期だ」 と指摘する。

実際には、ワインメーカーにとって悪い知らせばかりではない。 20ドルを超えるワインの売り上げは落ちているが、割安ワインの人気 はかつてないほど高まっている。

フレドリクソン氏は「2種類の市場がある。小規模で高級ワイン を生産するワイナリーにとっては最悪期だが、7-10ドルより安いワ インを販売する大量生産の大規模業者にとっては絶頂期でもある」と の見方を示す。

米調査会社ワイン・オピニオンズが昨年8月、ワイン小売業者や 生産業者、卸売業者を対象に実施した調査では、回答者のうち77%が 1本当たり50ドルを超えるワインの売り上げは過去1年間に少なく とも25%減少したと答えた。

ニュージャージー州在住のマーケティングコンサルタント、マイ ケル・ジアルラプト氏は2007年にワイナリー「シンクタンク・ワイン ズ」を創業した。割高な60ドルの赤ワイン、ピノ・ノワールや昨年 12月に70-80ドルで発売したカベルネ・ソーヴィニヨンとのバラン スを取るため、今年は20ドルのロゼを製造することに決めた。

値下げやワインの質を下げるようなことはしたくないと話すジア ルラプト氏は、試飲会などで定価購入する買い手に対し、高級ワイン を値下げする代わりにボトルの上部にフィットするデカンター機能の 「ワイン・ソワレ」などの付属品をサービスとして提供している。

オレンゴン州ウィラメットバレーにあるトライサエタム・ワイナ リーのジェームズ・フライ氏は「素晴らしいマーケティングを行って も、ワインの品質がそれを裏付けていなければ面倒なことになる」と 指摘。「良質なワインを作ることが先決だ」と述べた。

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