米上院金融改革法案:金融機関の規模制限や自己勘定取引禁止盛り込む

米上院銀行委員会のドッド委員長 (民主、コネティカット州)は、大手金融機関の解体や自己勘定取引 の禁止、ヘッジファンドとデリバティブ(金融派生商品)監視の各権 限を当局に付与する金融規制改革法案を発表した。

15日に公表した法案要旨によると、米経済の安定に「重大な脅威」 となりかねない大手金融機関を解体する権限を米連邦準備制度理事会 (FRB)に付与するほか、運用資産が1億ドル(約90億円)を超え るヘッジファンドの当局への登録や、デリバティブ取引に関して中央 清算機関を通じた決済を義務付ける内容だ。

ドッド委員長は首都ワシントンでの記者会見で、「企業は断じて大 き過ぎたり複雑過ぎたりすべきではない」と語り、「新たな資本規制や 厳格な監督制度を通じてこうした状況を阻止する」と述べた。

ドッド委員長の法案に盛り込まれた「金融安定監督協議会」は9 人の委員で構成、財務長官が統括する。金融システムのリスクを特定 し、対応する。また、7000億ドル規模の問題資産購入計画(TARP) に基づき公的資金を受け取った大手の銀行持ち株会社は、銀行を売却 してもFRBの監督を避けられないとしている。

さらに、公開企業の株主に幹部報酬について拘束力を持たない投 票権を与えることや、取締役会メンバーの指名で株主の発言力を強化 することなども法案に明記された。

法案には、自己勘定取引に加え、ヘッジファンドやプライベート エクイティ(PE、未公開株)投資ファンドの関与を制限するいわゆ る「ボルカー・ルール」も盛り込まれた。

金融安定監督協議会

法案の要旨によると、創設が提案された金融安定監督協議会の投 票で3分の2の同意が得られれば、FRBは企業に保有資産の売却を 求めることが可能になる。「ただし、最終手段としてのみ適用する」と 追記した。

金融安定監督協議会は、金融機関が金融システムを脅かすほど大 きく複雑化することを阻止するため、資本やレバレッジ、流動性、リ スク管理に関する「厳格な」規則の採用をFRBに提言できる。また、 FRBに対し、金融安定の脅威となる非銀行金融機関の規制も義務付 けることが可能で、FRBによって「次のAIGは規制される」よう になると、法案要旨で説明されている。

一方、証券取引委員会(SEC)と商品先物取引委員会(CFT C)には店頭デリバティブを規制する権限が与えられる。ヘッジファ ンドはSECへの登録や、システミックリスクを査定するため取引や ポートフォリオに関する情報提供を義務付けられた。

不正な融資を取り締まるためFRBに「消費者・金融保護局」を 創設することも法案に盛り込まれた。同局は独自の予算を持ち、銀行 やノンバンク向けの規則策定や、資産100億ドル以上の銀行や信用組 合向け規則の精査・施行を手掛けることになる。

法案では貯蓄機関監督局(OTS)の廃止や、監督対象の企業数 を減らし、州法銀行に関する権限を米連邦預金保険公社(FDIC) に移管することでFRBによる銀行監督権限を縮小することも盛り込 まれた。

今回の法案はドッド委員長が昨年11月にまとめた法案の修正案。 前回の法案は共和党議員の反発を受けて取り下げた。

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