【書評】ルイス氏、再びウォール街描く-サブプライムの勝者が主役

わたしは20年前にソロモン・ブラ ザーズで働いていた時、マイケル・ルイス氏の「ライアーズ・ポーカ ー」を読んだ。

同氏のデビュー作で、同氏がソロモンで働いていた4年間を描い たものだ。ルイス氏はその後、政治やシリコンバレーについてのベス トセラーも出したが、やはりマネーとそこに群がる人々についての作 品が有名だ。同氏が20年後に再びウォール街に目を転じ、最新のバブ ル崩壊劇を描いたのも無理はない。

同氏は「ザ・ビッグ・ショート(原題)」で、米サブプライム(信 用力の低い個人向け)住宅ローン危機の勝者となったプレーヤー、4 者を描く。4者には、最も高リスクの住宅ローン関連証券を空売りす る先見の明があった。

4者とは、フロントポイントのスティーブ・アイズマン氏、ドイ ツ銀行のグレッグ・リップマン氏、コーンウォール・キャピタルの3 人のパートナー、そしてサイオン・キャピタルのマイケル・バーリー 氏だ。彼らは皆、危機が残したがれきの跡から、たっぷりの金と天才 の評判を手に歩み去った。

空売り筋は通常、市場の悪役として登場する。だがルイス氏は、 金融業界にまん延していた誤った安心感と対比させることで、彼らを 勇気と良心の象徴のように描いた。

CDS

2011年9月11日の同時多発テロ事件から米経済を回復させ、ウ ォール街のすべての企業に巨額利益をもたらしたサブプライム証券の 空売りは冒険だった。

ヒーローの1人、バーリー氏は2003年に住宅価格が過大評価され ていることに気付く。徹底した調査を経て、サブプライム証券は当初 の低金利期間が終わる2年後には暴落し始めると予想した。同氏はさ らに、サブプライム証券を空売りする方法としてクレジット・デフォ ルト・スワップ(CDS)が適切だと思い付き、ゴールドマン・サッ クスを説得してサブプライム証券のCDSを売らせた。これらのスワ ップの特徴は、CDSが保証する証券を保有していなくても購入でき る点だった。

05年6月までにはバーリー氏は、1億ドル規模でそのようなCD Sを購入していた。ただ、その賭けも順調ばかりではなかった。同氏 の崩壊予想が早過ぎたためなかなか現実にならず、同氏は自身のヘッ ジファンドの顧客つなぎとめに苦労した。ローンのデフォルト(債務 不履行)率が上昇し始めた後も証券価格は下がらず、サブプライム証 券の指数が初めて1ポイントの下落を記録したのは07年1月31日に なってからだった。ルイス氏はこの日のことを「市場にひびが入った」 日と書いている。

もっとも、ルイス氏自身同月30日のブルームバーグ・ニュースの コラムで、危機を警告したダボス会議参加者らをやゆしていた。同氏 は「ザ・ビッグ・ショート」の中で自らの誤りを認めている。(マイケ ル・オシンスキ)

(オシンスキ氏はウォール街を引退し、ニューヨーク州グリーン ポートでウィドウズ・ホール・オイスターを経営しています。この書 評の内容は同氏自身の見解です)

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